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【福祉】文部科学省『聴覚障害のある児童のための音楽指導資料』を読んで

こんにちは🌞
七香です。

アークシップ活動紹介Vol.3 で紹介しました、
『聴覚障害のある児童のための音楽指導指導』
を読みました。

原本はこちら▽
https://www.mext.go.jp/content/20210317-mxt_tokubetu01-100002897-3.pdf

目次としては、

基礎編:聞こえとその障害
第1章 1聞こえの仕組み 
    2音楽の要素と特徴
    3聴覚障害について

指導編:音楽科の指導に当たって
第2章 1指導に当たっての心構え
    2音楽科の指導における配慮や工夫
    3具体的な配慮や工夫例

このような構成となっています。

今回は、「聞こえとその障害」について
学んだことや疑問を述べていきたいと思います。

1.聞こえの仕組み

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          (P4 図1.聞こえの仕組み より引用)

聞く ということ行う際、

ボトムアップ処理…底(ボトム)から器官を経由して、脳(トップ)に情報      をあげていく処理
トップダウン処理…音を記憶として残し、この記憶を活かすことによって聞く力
自己音声フィードバック…言葉を発したり自分の発音や話し方が正しいかどうか、自分の歌声の音程が合っているかどうかの確認

この三点が行われます。

つまり、「ボトムアップ処理」だけではなく、他の感覚との共同や、特にそれまでに聞いた音の記憶が脳内にあるからこそ、全体として「聞く」作業ができるのです

✔️そこで気になったのは、生まれた時から 存在する聞こえの障害
言語習得期前難聴)の方は、
太鼓の「ドンドン」や ドアの「コンコン」を
どういうふうに処理・理解しているのだろう
ということです。

💡また「難聴」にも違いがあり

図1の、②〜⑤の外耳や中耳に原因がある 伝音難聴
    ⑥の内耳以降に原因がある 感音難聴
この両者が併存する 混合性難聴

があることを知りました。

この違いによって、音を聞く際にどんな違いが生じるかというと、
伝音難聴は、補聴器の効果が上がりやすい
感音難聴は、旋律の認識が難しい
など配慮すべきことが違ってくるのです。

また、自己音声フィードバックに関して、これらは聴覚障害の方も同様で、補聴器・人工内耳を通して行われますが、感音難聴の場合は、自分の声を明瞭に聞くことができないため、困難なのです。

✔️私は、インターンで聴覚障がいについて学んだ際、
聴覚障がいの方が全員話せないのではない
ということを学び、誤った認識を修正しましたが、
話せる・話せないに違いが出るのは、自己音声フィードバックが可能か不可能かの違いが関係しているのかなと、疑問に思いました。


2.音の要素と特徴

音には三つの要素として

「音の大きさー音圧ー」
「音の高さー周波数ー」
「音色ー周波数特性や時間特性ー」

があります。

《 音圧 》
簡単に言うと物理的な振動の強さです。
音が大きい小さいということではないのです。

音の強さは、楽曲のリズムを聴取する手がかりになることが多く、また強い音は振動を含むことがあるため、聴覚障がいのある児童が音楽を楽しむ上で重要な要素となります。

《 周波数 》
よかったら、耳年齢診断をしてみてください。👂🏻
人間の聴覚は、20Hz〜20kHz の音を聞くことができます。
私は、18,000Hzまで聞き取れました。

《 音色 》

ピアノの「ラ」とリコーダーの「ラ」は、同じ音階でも異なった音に聞こえます。これは、主たる周波数の音が同じでも、倍音となる音の強さの違い、周波数のズレや音の減衰の程度により、楽器音の違いが生まれます。


このように、「音」について理解することで、
・補聴器は3kHzまでが上限であるために 聞き取れない音があること
・周波数の違いにより、聞こえやすさがある⇨それらに配慮した楽器選び(例えば金属製の楽器よりも木製の楽器)
和音は聴取するのが難しい
など、聴覚障がいの方が困難と思うことについて根拠的に学ぶことができました。


3. 補聴器と人工内耳等について

聞こえの障がいとは、環境音や言葉の音が聞こえないことによって本人や周囲に様々な困難が生じることをいいます。

そこで、「様々なことに配慮しないといけない」のです。

この、「様々な」というのは具体的に、

1)難聴の程度と状態
2)補聴手段の状況と効果
3)聴取環境と音源の状態・掲示方法

などが挙げられます。

《 補聴器 》

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(P15 図7.耳かけ型補聴器 より引用)

補聴器のような、音のデジタル処理は、騒音を除去できるノイズリダクションというものがあります。

これは、騒音環境で言葉の聞き取りを改善することには有利ですが、
音楽を聴取する際には不利益なこともあります。

そこで、補聴器には複数プログラムを使い分ける機種もあり、
💡「音楽モード」が使用可能な機種もあります。


《 人工内耳 》

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(P16 図8. 人工内耳 より引用)

人工内耳は、補聴器で音を聴取できない程の高度難聴であっても、音声による言語刺激を解することができます。

そのため、歌を聞いた際、歌詞やリズムを聞き取ることは可能になることが多いのです。
一方、旋律を聴取することに困難が伴うこともあります。


インターンで人工内耳を利用の方にお話を伺った際、
ずっと人工内耳をつけているのは、しんどくなってしまうので、外してリラックスすることがある 
ということを伺いました。

補聴器や人工内耳の進歩には、利点もありますが、リクルートメント現象(内耳性難聴に伴って小さな音の変化を大きく感じる現象)のように、まだまだ困難な点もあると知りました。そしてわたしたちがそれら理解しておくことも、大切なことではないかなと思いました。

最後に

これらの学びを通して、次は、

聴覚障がいの生徒も主体的に学ぶことのできる
ICTを活用した音楽の授業』

を考案し、音楽指導案を作成してみようと考えました。


P.S.

資料を読んでいる際、インターンで学んだこと大学で学んでいる音楽科教育法を振り返りながら読むことができ、大変興味深かったです。

そのように、大学で数年かけて取り組んできた別々の分野が、ある時ピタッと繋がることがあり、 そんな連理木のような経験や学びが、今の私にとってはすごく面白くて楽しいです。

これからも、木の枝を伸ばしていきたいと思います。🌳💫

本日も読んでいただきありがとうございました。



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