オムツからパンツへ  日記2

 島にやってきた当初三歳だったココは、その年まで一度もトイレトレーニングをしたことがなかった。


 幼稚園もいっていないし、まだいいだろうと親も甘えていたが、保育所が決まって面談に言ったときに、
「え!オムツなの!?」
と担任となる先生に驚かれた。
 ココの入る四歳児クラスではみんながパンツだと先生は言った。


「周りの子の目もあるし、なんとかパンツになるようにお家でがんばって」的なことを言われた。
 面倒なことになったと思った。

 何度も一緒にトイレに行って、できたら褒めてあげて、おしっこに気づいてお漏らしする前に連れて行ってあげてを何回も繰り返して覚えさせるとかいう、アレでしょ?

トイレトレーニング。


 パンツもお漏らししていいような厚みのあるものとか売っているけれど、そんなの面倒くさいな。

と思ったので、思い切って、次の日から、あたしのパンツを履かせた。


「いいか、ココ。これあたしのパンツだから、ウンチとかおしっことかもらさないでね。出そうになったら、トイレ行こうね!」

ちょっとブカブカのあたしのパンツ姿で、ものすごーく不安そうな顔をして、チンチンの先をつまんで立っているココ。

「紙おむつは金がかかるからね。
もしお菓子やジュースを買って欲しいんだったら、オムツをやめてパンツにしようね」

と言い聞かせて一度もオムツを履かせずにすごした。
 毎日のように、チンチンの先をつまみながら、遊んだりしていたものの、あたしのパンツを汚したくないという思いがあったからか、昼間に一度粗相をし、夜に一度粗相があったが、一週間でオムツ離れした。

そして、二週間目には、チンチンをつまむこともなくなり、保育所で便ができるようになった。

頼もしいわが子!

一週間で、トイトレ終了。

 本人が一番自信をつけたようで、おしっこをしたくなると、道端や草陰や電柱や、あらゆるところで、立ちションまでするようになった。たくましい!

そして、
さらに自信をつけて、調子もついたのか、夏の暑い頃には、
「なな!ちょっとおしっこしてくる~」

と言って、素っ裸で、家の門の前の道路の真ん中で堂々とおしっこをするようになっていた。両手をあげて。

ふるちんフリーダム on the 手放し。

もはや、どこでも立ちションができる俺を見てくれ!パンツすら、いらないぜ!

そんなココの心の声が聞こえそうで、その後姿にわたしの胸もふるえた。
よく、ここまでたくましく育った!島に来た甲斐があった!

 が、横にいたデッテのひとことで我に返る。
「さすがに、家の前はヤバイんじゃない?
そういう島のオジイって結構みかけるけど」

あ!


ココ三歳 in 宮古島暮らし





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