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締め切り1ヶ月後に出願?!NYのアート系トップスクールに奨学金付きで合格できた話


あけましておめでとうございます。ニューヨーク、ブルックリンにあるアートスクールのPratt Instituteの大学院にて、彫刻を専攻し、いきものらしいロボットを主なテーマに作品制作をしている近藤那央です。昨年の大学院受験にて、なかなか聞かないプロセスで合格することができ、これから目指す方に役に立てばと思い、noteを書くことにしました。志望理由書の方も、興味のある方に向けていたします。(こちらだけ有料$7になります🙏)翻訳前後の志望理由書全文はこちら

美大未経験から、現代アートを学ぶためにニューヨークに1人で移り、彫刻を中心としたアート制作やそれに必要な座学の知識などを勉強し始めて早5ヶ月です。現在一学期目が終わり、再来週から二学期目である春学期が始まります。毎月2回公開している、現代アートや美大生の生活を語るポッドキャスト”近藤那央のNYアート日記”を配信していたり、活動を応援してくださる方向けに、月額$7の支援サイトでコンテンツ配信をしています。

日本ではお正月が明けかけているこの時期、実はアメリカの大学院の出願を控えている人にとっては出願最後の時期だったりします。
といっても、おそらく多くのしっかりされている志願者の方は、年末に余裕を持って出願を終えられていることと思いますが、、、。

昨年のこの時期は私もまさに受験生であったわけなのですが、最後まで出願を悩んでいたという事情があり、なんと出願期限を1ヶ月過ぎての出願になりました。ですが、日本では考えられないことですが、合格をいただき、しかも奨学金までいただきました。そして、志望理由書などを準備するプロセスも、全て1人で行い、出願にかかった費用は英語試験を含めて108ドルでした。

日本からの美大受験の情報がほぼなく、また真面目な方だと期限を過ぎてしまいそうで諦めてしまう方もいるのではと思い、このギリギリの時期ですが昨年(2022年)の経験を紹介できればと思います。

美大受験に必要な書類

美大受験に必要な書類は、4つあります。

  1. 志望理由書(Statement of Purpose)

  2. ポートフォリオ

  3. 推薦書

  4. 履歴書

  5. 英語能力証明書

学校によってまちまちですが、Prattの場合は、志望理由書は2ページ程度、ポートフォリオは学校が指定したサイトにアップロード、推薦書は2通、履歴書は自由、英語能力証明書は、TOEFL/IELTS/Duolingo でした。ちなみに、私が受験した学校はPrattの彫刻専攻だけです。

1の志望理由書は1人で書きました。2のポートフォリオは今まで制作したものを、学部生の頃のロボットの研究や、独立してからのアプリ開発までも含めてアップロードしました。指定のサイトに画像・動画と説明をアップロードする方式のため、美しいビジュアルを作る必要はありません。3の推薦書は、Prattの場合は2通必要でした。私は、ローカルでよくしてもらったギャラリーのギャラリストの方と、メディアアートの3ヶ月のワークショップに参加した時の先生にお願いしました。こちらもお願いするのが年明けになってしまったため、いただくまでの時間もあり、結果的に締め切りを過ぎての出願になりました。
4の履歴書は2ページくらいに収まるように書きました。
そして、5の英語能力証明書ですが、私は、値段が安く、受験時間と結果を受け取れるまでの時間が短いDuolingoを受け、その点数を使いました。ちなみに、アートスクールはMBAなどに比べると点数の要求が低めなので助かります。

締め切りは米国大学院受験にどのくらい重要なのか

日本人の感覚からすると、締め切りに1秒でも遅れてしまったらゲームオーバーな印象がありますが、アメリカでは多くの場合にどうにかなる場合が多いです。特に、受験に関しては、締め切り(Deadline)は、「この日までに来たアプリケーションは絶対に見ます」「この日以降の出願は学校からの奨学金が出せない場合があります/出せません」という日である場合が多いです。Prattもそうでしたし、私が調べていた他の学校にも、同じようなことが注意書きとして書いてありました。なので、基本的にまずは注意書きを全て読んだほうがいいです。

ちなみに、もちろん全ての書類を締め切り前に揃えることができれば素晴らしいですが、五月雨に出しても大丈夫の場合が多いです。注意書きによると、基本的には全ての書類が揃ってから出ないとレビューしないようです。しかし出願をしたことは把握されているようで、私の場合はすでに遅れていたこともあり、できた書類から出したため、”出てないけど早く出せよ”的なメールがきました。

ですが、もちろん締め切り前に余裕を持って出すことに越したことはありません。また、美大院の倍率はあまり高くないですが、情報系やMBAトップスクールなどの、かなり倍率が高いような学校は、書類を見る方の余裕がないことが予想できるので、Deadline後は本当に見てくれてない可能性もありますが、締め切りをすぎるというだけの理由で諦める必要はないと思います。また、学校によっては、早く出願したことで、早く合格が出るケースもあるようです。

奨学金については、私は実は無いことを覚悟していました。理由は、すでに別の財団から奨学金を得ていたためです。ですが、結果的に25%ほどの奨学金をもらえました。

ちなみに、大学院に入ってから聞いた話ですが、学校からの給付型奨学金は、交渉で変えられます。周りの日本人の話だと、為替の影響で窮地に立っていることを交渉材料にしたところ、かなり金額があがったようです。また、全額の奨学金を得るために、初年に合格していたものの次の年に再チャレンジし、無事全額の奨学金を得て合格したというアーティストも知っています。社会人からの大学院の挑戦は、自分の状況や財布事情から、見送るというのも良い選択の一つであると思います。
ちなみに、私が今回のタイミングでの受験を決めた理由は、合格済みの奨学金の利用期限が大きな理由でした。

美大院受験における、志望理由書の書き方

志望理由書を書け、そして英語で!と言われると、普通にビビりますよね。実は私は出願の一年前にも挑戦しようとして、結局しなかったという過去がありまして、その当時はネットにあるデザイン系やMBAなどの合格体験記を読みながら、何か専門家に添削もらう必要があると考え、お試しでお願いしてみたことがあります。しかし、彼らはMBAなどの実用的な学部へキャリアアップのために進学する受験生に向けた専門家。アートの志望理由書に関しては、歯車が噛み合わず、うまくいきませんでした。卒業後にどのような仕事につきたいだとか、アート作品の制作を無理矢理社会へどのようなインパクトと実利があるか、、みたいな方向へ繋げるようなアドバイスをされたので、これは違うな、、と思いました。

そこで、昨年は、しっかり学校のサイトに書いてある、志望理由書に関する項目を読むと、「Your statement should discuss your long-range goals and interest in the chosen discipline and reason for applying to the program.」と書いてありました。長期的なゴールと、そのプログラムになぜ応募するかということですね。このふたつをできるだけ具体的に、自分の背景と交えて書ければ、構成などは何でもいいと思います。
そして、Prattの場合は500ワードと少なかったため、先生に面白く読んでもらうために、リズム良くブログを書くような構成にしました。(ちなみにちょっとくらい少なかったり、多くても大丈夫です)
簡潔に自分の経験を伝え、学校を選んだ具体的な理由をあげました。私の場合は、バックグラウンドが、テック系、スタートアップ系でありながら、ファインアートの彫刻専攻に応募したため、そこの理由を一番丁寧に説明しました。

そして、もう一つ、実は日本語で書きました。そして丸ごと翻訳しました。
翻訳は、人間が翻訳してくれるサイトでワードをアップロードしてお願いしました。アメリカの大学院生を選び、初めて読む方が翻訳間違えを起こさないよう、できるだけ主語と述語を簡潔に書き、翻訳しやすいように英語的に日本語で作文しました。そして、最後に出来上がった英語の文章を読み、ちょっと単語使いなどの変更を加えて提出しました。


実際の志望理由書は、こちらでご覧いただけます。$7ですが、私のNYでの生活・制作の助けにさせたいただきます。リンク先は月額制のサイトですが、志望理由書だけ見て退会されても大丈夫です!
こんな感じでいいのか、とどなたかの助けになれば幸いです。

おまけ:志望校を決めるために絶対に行ったほうがいいイベント

これは、もうこの時期だと難しい話ではありますが、アメリカの美大受験を目指している方にぜひ行って欲しいイベントがあります。マジで、めちゃくちゃにお勧めします。
National Portfolio Dayです。

これは、一年を通して全米さまざまな場所でやる、全米の美大の学事や先生が、一挙に集まるイベントです。受験を考えている志望者が、自分のポートフォリオを持って直接話すことができます。時期や場所によって参加する学校の数や種類が変わると思うので、是非確認して会場を決めてください。日本からは遠いですが、留学を考えているなら絶対にお勧めです。

私は、このイベントで最終的にPrattを目指すことを決めました。私が行った時期はまだコロナの厳戒態勢であったため、志望者よりも関係者の方が多く、1日かけて20校弱の担当者や先生と話すことができました。そこの会話の雰囲気で学校の雰囲気もなんとなくわかりますし、カリキュラムに関することもなんでも直接聞けます。
Prattに関しては、もともと知っていたものの、かなりファインアートの学校だという認識で、デザイン・テック・アートの学際分野に当初は興味があったために最後にいっとくか!的な感じだったのですが、たまたまそこにいたのがMFAの彫刻専攻の先生で、1時間近く話し込むほど素敵な人で、この人がいるような学校に行きたい!と終わった後には思っていました。この会話から、志望理由書でどのようなことを注目して書いたらいいのかわかりましたし、読み手のイメージがついたために書きやすくなりました

そして何と、面接の際の面接官もこの先生でした!運命!

興味がありましたら、有料にはなりますが、実際に合格と奨学金をもらった志望理由書も見ていただけます。翻訳前の日本語バージョン付きです。料金設定は他の公開されている方の1/4ほどにしました。

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長くなりましたが、アメリカの美大受験を考えている方の一助になれば嬉しいです

アーティストとして世界でしっかり自立できるよう、2年間のMFAプログラムを頑張ります!


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