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不登校とアタッチメントと育て直し①

この3つのお話は息子に対して私がやってきたことで、全て繋がっているので一気に書きたいところなのですが、とても長くなるのでいくつかに分けて書こうと思います。

アタッチメントと自閉症

私は専門家ではないのでざっくりと概要しかわからないのですが、一般的にはアタッチメントは「愛着形成」と言われていますね。
泣くことでしか意思表示のできない赤ちゃんが、その不快を取り除いてくれる人に対して、安心感を得てゆく過程に形成されるものと言われています。
自閉症を持つ子供全てに見られるわけではないですが、息子はこの愛着形成、安心感をうまく獲得ができていなかったようでした。
知的障害は伴わないタイプのため頭では親とわかっているのですが、常に遠慮をしている子供でした。親というよりなぜかたまたま親切にしてくれる人くらいに思われているようでした。
抱っこをせがんできたこともない、自分から構ってくれと寄ってきたこともない、おもちゃ屋に連れて行って好きなものなんでも買っていいと言っても「何もいらない」と言う子供でした。
(ちなみに娘に同じことを言うと店ごと買えと言うタイプです)
なので出来るだけこちらからちょっかいを出しかまって遊んでいました。とてもよく笑う子なので構えばゲラゲラと楽しそうにするのですが、それでも息子から構ってもらおうとやってくることは一度もありませんでした。

子供たちが小学生の頃、愛着形成の研究をされている方からアンケートを頼まれたことがありました。私と子供たちそれぞれが答えました。
それに対しての評価を送ってくださったのですが、娘は愛着形成できているが、息子は出来ていないという結果でした。当時は娘ばかり手がかかって息子はこちらの手を煩わせることは一切なくちょっと意外に思ったのですが、今になればよくわかります。娘がわがままを言えるのは言っても大丈夫という安心感が育っていたからであって、息子にはそれがないからわがままも言えないのです。

子供の成長過程において、親などの身近な人間(親でなくても良い)とスキンシップやお世話をしてもらうことで、特定の養育者を認識し、甘え、受け入れられることで子供は人を信頼していきます。
そしてその場を安全基地とみなすことができて初めて外の世界への好奇心や行動を起こすことができるのです。何か不安なこと困ったことがあっても戻ることのできる安全基地があるのですから。
なので子供の成長にとって土台となるアタッチメントはとても重要なものなのです。

同じように世話をして育ててきたはずが娘はアタッチメントができていて息子はできなかった、これは息子の持つ自閉症の特徴によるものであると考えるのが自然なのかなと思います。娘も自閉スペクトラム症を持っていますが全く違うタイプで、同じ診断が付いていても必ずしもそうなるわけではない話です。

とにかく息子は自分とそれ以外の世界にくっきりとした境界線を持っていました。硬い卵の殻のようで簡単には交わることのない世界でした。彼は卵の中の一人の世界で色々なことを考え(主に数学や物理)自分の世界を極めようとしていました。

カナータイプの自閉症(知的障害を伴うタイプ)のお子様には目が合わない、模倣をしない、親を認識していないなどの話をよく聞きますが、息子はそれに近い感覚の子供だったと思います。

かと言って、こちらからいくら構っても彼の殻を突き破ることはできませんでした。

そこから一つの転機になったのが不登校でした。

不登校の原因は

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