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【広島4コマ】広島で深夜に放送されていた通称「呪いのハープ」とは?

イラスト担当のかわずです。
今回は広島の放送史を語るに外せない「呪いのハープ」のお話をします。ずいぶん物騒な名前ですが、これは地元RCCテレビ(TBS系列)が過去に放送していたいわゆる「テレビの放送終了時に流れる映像(クロージング)」です。

全国各地で異なる「放送」の世界

僕の長年の趣味に「放送趣味」があります。基本的なフォーマットが全国で統一されたNHKとは違い、全国各地に存在する民放局は東京キー局にはないローカルさが第一、ということもありどの局も特色で溢れ、魅力に満ちています。各局で放送される「ローカルCM」「局独自のジャンクション映像」もその1つ。

僕が少年の頃のネット界隈はまだ動画共有サイトもなかった頃。ようやくネット上にアップされた動画データを、メディアプレイヤーで視聴ができるようになりはじめ、特に個人個人が楽しむ目的のためのアップロード掲示板が大人気でした。各地でしか見られないローカルCMや各局の放送開始・終了映像はどれも広島のTVしか知らなかった自分には衝撃だった記憶・・・もちろん当時からあまりよろしくなかったことなのでしょうけども。(画箱ってサイト、覚えてる人どのくらいいるのかな・・・


一部広島県民のトラウマ「呪いのハープ」

そんなアップロードサイトとともに、当時2ちゃ●ねるに存在した放送趣味の人々が集まる掲示板でも人気だったのが、今回ご紹介するRCCの「呪いのハープ」。

動画を見てもらった方が早いですが、内容は真っ暗な部屋で、スポットライトにあたる女性がハープで「中国地方の子守唄」を奏でる・・・といういかにも1日の終わりらしいシンプルなもの。

ところが、ハープ演奏以外には演出もアナウンスも皆無という無機質な内容で、極め付けはラストに徐々に徐々に迫り来る「おやすみなさい RCCテレビ」の文字・・・放送時期によってはこの映像の直後にいきなりピー音付きのカラーバーが流れるということもあったためか、視聴した県民の中にはこのクロージングにトラウマを植え付けられた人もいて、ネット界隈ではずいぶん前から「呪いのハープ」という通称が存在していたようです。

むかし父親にこの呪いのハープ・・・というか、ハープ映像のRCCのクロージングの話をすると、「自分が若い頃から夜更かししたら必ず流れてたので、見るたびに”1日も終わりか”と思っていた」と話していたことから、一定年齢以上の県民にはお馴染みのクロージングだったのではと思います。


「中国新聞文字ニュース」開始で流れなくなるも、その後復活

そんな僕自身は、この「呪いのハープ」に触れる機会は実は少なかったのです。それはかつてRCCが「中国新聞文字ニュース」というケーブルテレビ向けの番組を深夜放送(いわゆるフィラー番組)で行っていたから。90年代によくあった、新聞記事をコンピューターで打ち込んだ字幕テロップで延々と流す番組。むかし商業施設のモニター(アルパークとか)や、広島駅の街頭ビジョンでも流れていたような・・・。この間は「このあとは文字ニュースをお送りします」的な静止画が文字ニュース前に流れるだけで「呪いのハープ」は流れなくなりました。

「文字ニュース」終了後、不定期に復活

「文字ニュース」のフィラー放送自体は数年後に終了し、その後もRCCは深夜、テレビショッピングやTBSの24時間ニュースチャンネルなどで枠を埋め、24時間放送を本格的に行うようになりました。

点検等で終夜放送をお休みする際はその旨を伝える静止画を流し終了していたので、どうやら「呪いのハープ」は時代の流れとともに引退へ・・・。

と思いきや、地デジ完全移行が迫る2000年代中期、まさかの復活。
前述の点検等で放送休止を行う場合のみ、なんと「呪いのハープ」をまた流すようになったのです。とはいえ・・・かつてのように毎日流れるわけではなく、あくまで点検等の休止時のみだったので、僕がリアルにTVで「呪いのハープ」を見たのは本当に数えるだけだった気がします(そんなに夜更かし、早起きできませんし💧)

ちなみにこの間、オープニングはどうだったのかというとクロージングと違い、ほぼ毎日1日の起点にきちんとした映像が継続して流されており、僕が印象深いのは広島の美しい四季を用いたもので、RCC本社そばにある広島城や厳島神社などの風景がクラシック音楽と共に流れていました。


「謎の伝統」としてリメイクされ、そして終了へ・・・

呪いのハープはその後、新マスコット「ツキぐま」の登場でオープニング・クロージングが同キャラを用いたアニメーションにリニューアルしたのを機に今度こそ引退。ただあのテイスト自体は、わざわざ新作アニメを制作してまでしっかり受け継がれたという・・・。

この何故か「呪いのハープ」を踏襲したクロージングは比較的最近まで流れていたようですが、僕が広島を離れている間に、現キャッチコピーをイメージした実写映像にオープニング・クロージングともに変わったようです。(若い男女2人による希望に満ち溢れた作品で、いわゆる「君の名は。」っぽい雰囲気・・・)そんなわけで、「呪いのハープ」の長い歴史はこれにて完全に幕を閉じたのでした。

とはいえ半世紀近くにわたり形を変えながら「呪いのハープ」を継続してきたことや、アナログ放送終了時に特別に「呪いのハープ」が締めくくりとして放送されたこともありますし、「RCCの伝統」として県民に認知されてきたトラウマ映像クロージングを、またこの先何らかの形で復活してくれることを僕は期待しています。

「呪いのハープ」以外にも広島テレビの「夜の平和公園の噴水を延々と流すクロージング」や、テレビ新広島の「もしもひろしまに」など広島の放送ネタはまだまだ数多くあり、本サークルのナナさんの故郷、和歌山県にある「テレビ和歌山」もローカルCMを中心にネタの宝庫なのですが、今回はこの辺りで・・・

「もしもひろしまに」・・・これももう、古いネタなのだろうか;

過去の広島4コマ作品はpixivで全て読めます。ぜひどうぞ!↓