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サヨナラハッピーバースデー(2011年に書いた短い1場面物語)


これは、閲覧注意です。
なぜなら『死ぬ』物語だから。

感受性の高い方、特に他人が選ぶ死に関して痛みを感じる方、強い悲しみを感じる方は読まないことをおすすめします。

また、そういったものを題材にしたもの全般に嫌悪感のある方も読まないことをおすすめします。
そういったものを間接的に経験された方にもおすすめしません。

怒りの感情に支配されやすい人にも向かないと思います。


それでも
『読むよ』と言うあなたへ。

これを書いた『当時の私』は今の私よりずっと、ずっと鋭かったです。
誰かの幸せを願ったり、親への怨嗟を吐き出したり感情も、とても忙しかったのです。

私の思考はフラットだねと言われます。
フラットが故に触れてしまう面も多くあるのだと思います。

若い頃は特に。
なんにしても…色々鋭いと思います。


私は私の好きな人達が選ぶものを見つめます。
もちろん、その中で、必要だと思えば色々な事を試すでしょう。

けれど
最終決定を
私は大切にしたいとも思うのです。

他の誰が、どんなに下げずんでも。
世の中がそれを許さなくても。

私はその人の選択そのものを、みつめたい。


たぶん、そんな気持ちで書いたのだと思います。

登場人物の彼女は誰に追い詰められたわけでも、それしか選べなかったわけでもありません。


彼女は彼女の世界の、その時を選択しただけ。


………ここまで読んでくださって有難うございます。

下に『サヨナラハッピーバースデー』を載せますのでお読みください。
とても拙い文書なので変なところがチマチマありますが、加筆も修正もいたしません。

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2011年06月25日


景色が逆さに降ってきた。


* 1ヶ月前。私は会社をリストラされた。

リストラされたといってもパートだったので、“まぁしょうがないかぁ”くらいの気持ちだった。

のに 申し訳なさそうな社長やみんなに疲れた。明日は我が身なんだから、もう少しそっちを心配すべきじゃないだろうか?
なんて思った。


その二週間後 、付き合っていた人にふられた。
『正直、お前がよく解らない』

はぁ。まぁ。難解だよね。私も自分が解らないくらいだし。


リストラされました。と両親に告げたら、憤慨していた。相変わらず、面倒な方々だなぁ。



私は19歳。来月には“大人”になる。


自分の人生に不満はない。満ち足りてるわけではないが、 まぁ 、 ほら?人並みって感じ。


唯一、不満をあげるならば自分が『人間』であること。

人間とはとても面倒な生き物だなぁと思う。

そして、その面倒な生き物に私は来月なってしまう。

“大人”は私にとって人間の完成だ。



だから 私



死ぬことにしました。


1ヶ月の私。

精一杯生きることにした。

両親にプレゼントを買った。今まで貯めたお金で。

数少ない友人には とりあえず誕生日プレゼントを買って クローゼットに手紙を入れて閉まった。

高級なお肉を食べてみた。が、もとからお肉は好きでないので良さがわからなかった。

高級なフルーツも食べてみた。ほら、よく東京とかで数千するパフェみたいな感じのを。正直、畑から直接もぎった方が美味しい。

そう。自然には勝てないのだ。

私は彼らの話声をよく聞いた。
普通の人間は彼らの声は聞こえいらしい。

まぁ そんなこんなで

誕生日 2日前。

私は私が終わる場所に来てみた。

廃ビル。の、屋上。

夕方に来て正解だ。

なんて美しいのだろうか。


死ぬのは 人間になると同時くらい。

誕生日がくる零時に私はサヨナラする。


当日。部屋を整理していたら懐かしい

『進路希望の紙だぁ…』
当時の私が 未来を書く為に学校から渡された紙が出てきた。

私は 何度も未来を書き 消しては また 書き 消して また書き 消して

最終的に紙の存在を消してしまったらしい。


私。それだけが 可哀想だったなぁ。


あの頃なら まだ夢を書き綴れた。


でもね。残念。もう、就職先、決まっちゃったんだ。


私はペンで

第一希望に『地獄』と書いた。



23時。屋上。夜風が心地よくて鼻歌を歌った。

あぁ。なんの未練もない。

この1ヶ月本当に本当に充実していた。

普通ならここで もっともっと と求めてしまうのだろう。

でも私はもう満足した。
だから“大人”にならなくてもいいのだ。

23時45分。私は携帯を開く。私宛てに手紙を書く。

23時55分。眼下に広がる光達。あぁ、なんて美しいの。


23時59分。私はたぶん微笑んでいた。これが私のハッピーエンドさ。


午前零時。


景色が逆さに降ってきた。


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あとがき。

こんなに潔の良い死はあるのでしょうか。
いや、何処かにはきっとあるのでしょう。

彼女がこう思うまでに、どれだけのことがあったのでしょう。
でも、私の頭の中にやってきた彼女は、もうすでに決めていたのです。
説得のしようもありませんでしたし、説得する気もありませんでした。

彼女が見たビルの上からの夜景はとても綺麗でした。まるで夢のようでした。
それは不満だと思っている人間という生き物が生み出す光でした。

綺麗だけど嫌いなのよ。と頭の中の彼女は笑いました。

私は彼女の言葉を指を動かしガラケーで書き上げました。
その後、彼女が自分に宛てて書いたメールが入った携帯電話はどうしたっけ?と思ったのですが、あの晩あそこにもう一人いたんです。

彼はとても若くて、そして揺らいでいた。
でも、彼女の彼女への手紙は彼に響いたのです。

その結果は私は残念ながら知りません。
だって、彼は私に語りに来てはくれなかったんだもの。
彼女も落ちるとこまで教えてくれて、その後の人間らしい始末については知らなくていいし、書かなくていいよと言いました。
そんなもの書いたら『大人』みたいで嫌なんだそうです。
彼女は何になれたのかなぁと
数年経った今もたまに思い出します。


私が書く物語は、たまにこうして、登場人物が遊びに来て語ってくれたものだったりします。

ある日突然『そ…っかぁ…だから…』みたいな感じです。

私の思考の中に彼女のような私がいるのかもしれません。
しかし彼女はこの世界での終わりを選んだので、この世界での彼女の続きはもうみれません。
それだけなの。
それだけ。
だから、その手前までの彼女の選択を私は静かに見つめました。
そして、潔くて気持ちが良くて、ただ、ただ、そのものだったから……

何も手を出さずにみおくりました。


人によっては私のこの思考に嫌悪感を抱くでしょう。
悲しみの心の深い人や、人が好きな人は辛い物語に感じるかもしれません。

私は私が書くもので誰かを不幸にしたいわけではないけれど、受け取り手すべての心をどうこうはできないのです。


これをここまで読んでくれたあなたが、これから選んでいく選択が、あなたのあなたらしいハッピーエンドに繋がっていますように。

たとえ、誰にわかってもらえなくても、あなたのハッピーエンドは間違いなくハッピーエンドでありますように。

サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。