見出し画像


一人で耕す事は出来るかもしれないけど
硬いと疲れるし
手も大地も痛いから
誰かに鍬をふるうのを代わってもらわないと
無理な時があったかもね

傷が空気に晒されると痛いのと同じで
掘り起こされたところは
しばらくの間は痛い
ゆっくりにするために
必要だった事があるのかもね


私がしたのは人間の排除
森に入る事を良しとはしなかった
たとえそれで里山が荒れても
本来そういう流れだと思うから

けれどそれは理想の話で
そんなことはどうしてもしきれない
私だって人のカタチをとってるのだから
どうしたってしきれなかった


それでもよほど


踏み硬められた土地を耕すより
容易く私は軟らかくなったと
思うよ

私は固めただけだから

硬められたわけじゃないから

どちらも堅く強いのとはちがうけど

固めたのは軟くなるから

硬められたのは脆くなるから


脆さが怖くて
鍬をふるえないから
たくさんの手が必要だった
のかもしれない

良い方向だとわかっていても
そこにいく道がみえていても
それは知らなければ
やはり怖いことだと思うから


私はしらない

だって私は森だったんだもの


だけど大地は繋がっているから
遠く遠くの根が発するものを
私の森は感じ取るよ

葉を落として
虫達がやってきて
鳥が集まって
動物が入り込んで

沢山のことが集まっては遠ざかって
また新しくやってきて


私の土は 
そういう土なんだもの

 
たまに憧れるの
人が手を加えて
優しく育てた土

硬い土もきっと
それに
憧れるの
私なんかより
何倍も
近いから
何倍も


でもね
やはり私は違うと思うの
どんなに優しく掘り返してもらっても
私は人の手を加えながら
良くなる土じゃない

遠くでそっと見守って
正しく観察してくれて
そうやって育っていく土だから

私のは
本当に
ただの憧れ
少し夢をみたいだけ


だから
微かな伝わりでは
その苦しみも
悔しさも
悲しみも
怒りの熱さも
わかりきることは出来ない


それでも


耕す鍬の先から
振動を受ける大地から


受け取って欲しい


到達するまでに
時間がかかっても


私達は繋がっているから

だから葉を落とす
集まるみんなでつくっていく
そうして豊かになっていく
そうして解れて
花咲く大地







サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。