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「外国嫌悪は許されない」それはいいけれど、アジア系が嫌いという《感情》は、大統領令《=紙》だしても消えないと思いますが…。 ●アジア系への新型コロナ差別と闘う大統領令に、バイデン氏が署名。「外国嫌悪は許されない」


新型コロナウイルスの影響で増加したアジア・太平洋諸国系のアメリカ人(AAPI)への差別やヘイトクライムに対し、バイデン大統領が毅然とした対応を取る姿勢を示した。
バイデン大統領は1月26日、AAPIへのヘイトクライムや人種差別に厳しい対応を取るよう連邦機関に求める大統領令にサインした。
ホワイトハウスで開いた会見で、バイデン氏は大統領令について次のように説明している。
「本日、連邦機関に対して外国嫌悪、特にパンデミックの間に急増したアジア・太平洋諸国系アメリカ人に対する外国嫌悪と闘うよう指示しました。こういった外国嫌悪は許されるものではなく、アメリカ的でもありません」
「司法省にはアジア・太平洋諸国系コミュニティーと連携してヘイトクライムを防止するように求めました。また保健福祉省にも、新型コロナウイルス対策の中で外国嫌悪廃絶のために最善を尽くすように求めました」
新型コロナとともに増えたアジア系へのヘイト
2020年初めに新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、アメリカではAAPIの人たちに対する人種差別的な攻撃が急増してきた。
アジア系アメリカ人が経営する店舗では急激に客数が減り、多くのアジア系アメリカ人が人種差別的な中傷や、身体への暴力、サービス拒否、職場での差別、人権侵害などの差別を報告してきた。
幼い子どもを含むアジア系アメリカ人の家族が刺される事件も起きている。
AAPIへのヘイトや差別を加速したのが、トランプ前大統領の言動だ。
トランプ氏は新型コロナウイルスを「中国ウイルス」「カンフルー」と呼ぶなど、アジア系の人たちへのヘイトを煽るような発言を繰り返してきた。専門家は、大統領の言動がAAPIへのヘイトを加速したと指摘している。
AAPIへの差別や嫌がらせや暴力に対応するために設立された「ストップ・AAPI・ヘイト」は、2020年3月からアメリカ各地で発生した人種差別などの事例を集めてきた。
同団体によると、3〜8月までに寄せられた人種差別などの事例は2583件。この数字は自主報告によるものなので、実際にはもっと多いと考えられている。
ストップ・AAPI・ヘイトは26日、大統領令を歓迎する声明の中で「新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、多くのアジア系アメリカ人が、ヘイトや暴力を報告し、恐怖を感じながら暮らしてきました」とAAPIがこの1年置かれてきた苦境を綴った。
そして「その中で最も憂慮すべきなのは、ヘイトが前大統領の人種差別や外国嫌悪的な言動、そして彼の政権による政策によって、加速したことです」と前政権の責任を訴えた。
ストップ・AAPI・ヘイトは大統領令を歓迎する一方で、人種偏見をなくすための政策の導入やトランプ政権が導入した外国人差別的な大統領令や政策の撤回など、さらなるアクションも求めている。
20日に大統領に就任した後、バイデン氏はトランプ前政権が設けた差別的な政策の撤廃を続けている。
これまでに、イスラム圏からの入国制限の解除やトランスジェンダーの人たちの軍入隊禁止を撤回する大統領令に署名している。


© ハフポスト日本版
【引用終わり】
「外国嫌悪は許されない」それは確かにそうです。
しかし私は、アジア系が嫌いという《感情》は、大統領令《=紙》をだしても消えないと思います。
そんなに紙に文字を書けば簡単に人々の感情が変わるのならば、1960年代に公民権法が成立しているのですから、アメリカでは人種差別はなくなっているはずです。
ですから、私はこの大統領令での具体的な「人種偏見をなくすための政策」の中身の方に興味があります。
その具体的な政策によって、現実社会の嫌悪感情を鎮める事に効果的がありそうか、なさそうかが考察できるからです。
この記事では、バイデン大統領は今までに「イスラム圏からの入国制限の解除やトランスジェンダーの人たちの軍入隊禁止を撤回」したとありますが、少なくても私はこの2つの政策では、アメリカ人の心にあるという「アジア系が嫌いという《感情》は消えない」ような気がします。
それなのに、なんでこんなことをするのでしょうか?
それはあるいは「…ヘイトが前大統領の人種差別や外国嫌悪的な言動、そして彼の政権による政策によって、加速したことです」と、アジア系へのヘイトの発生はトランプ氏が悪かったからだとされてしまったので、外国嫌悪は許されないと紙に書いておけば、今後アジア系に対するヘイトが発生しても、「悪いのはトランプ氏でバイデン大統領ではない」という世論が作れるからのような気がします。
早い話がバイデン大統領は免罪符を買ったのです。
なんかなあ、トランプ前大統領が1月6日の米国議会襲撃事件で弾劾訴追されていますが、その容疑は「ツイッターで、言外に襲撃しろ」と民衆を煽ったからだそうです。
ついでに1月の8日の「”お尋ねの皆様へ、1月20日の就任式には出席しません」というツイットーは、「自分は出ないから、大統領就任式も襲撃しろ」という意味に読めるから、トランプ氏は大統領就任式を妨害しようとしたそうです。
つまりトランプ氏の弾劾容疑は「トランプは『襲撃しろ』とは一言も言っていないけれど、我々は言ったと判断する。だから、トランプは有罪だ」という恐ろしいモノです。
「疑わしきは罰せず」の法の精神はどこ行ったのでしょう。「汝裁くなけれ」というイエスキリストの言葉は、忘れられてしまったのでしょうか?
トランプ前大統領が、「魔女狩りだ」というのもうなずけます。何でこんなことを恥ずかしげもなく言えるのだろうと不思議です。
ただニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は01/28 07:05 NEWSポストセブンの【共和党が「トランプ・チャンネル」にビビって「弾劾無罪」早くも確定】というコラム記事の中で、以下のように述べています。一部引用します。
【トランプ氏が長いアジテーション演説で、支持者たちに議事堂に乗り込むようけしかけていたことは紛れもない事実である。実際に議事堂に押し入った支持者たちの証言からも、演説の影響は間違いない。
それは民主党支持者であろうと共和党支持者であろうと一目瞭然なはずだ】
私は、襲撃の責任があると弾劾裁判にかけるにたる「紛れもない事実」とは、「襲撃しろ」という言葉を現実に発したかどうかだけだと思います。
しかし、佐藤則男氏は『「演説の影響は間違いない」と理由をつければ、我々は言ったと判断できる。民主党支持者であろうと共和党支持者であろうとこう判断すべきだ』と言外に述べているのです。
私は、欧米のリベラル左派と呼ばれる人たちは、人種差別反対運動が法的平等を達成した後で、差別というものが人々の感情の域にまで来てしまっているのだから、「もはや人々に命令できない。お願いするしかない」と気が付かないために、恐慌状態に陥って、魔女狩りを始めてしまったような気がします。
つまり、立法運動をしていた時には、勝利して立法すれば「これからは、この法律を守れ」でした。
しかし、法律を作っても感情からくる差別は残ります。
すると相手は感情ですから、人種差別はやめましょうと「お願いして、気を変えてもらうしかない」のです。
何しろ感情というモノは、本人の命令にも従わずに勝手に心に浮かんでしまうモノです。ですから他人が「○○さんの心浮かぶな」と感情に命令したって、感情が従うわけはないのです。
この事が解っていないから、米国リベラル左派の人達は、自分達が、いけないと感じる感情を持っているような気がする人間を攻撃してしまっている訳です。テレパシーがないのだから、その人物が本当はどんな感情を持っているのかは、解らないにもかかわらず…。
だからこの人達は、自分達が善なる行為をしていると思ってトランプ氏に冤罪を着せようとしているのです。
本当に恐ろしい事です。
だから、バイデン大統領が免罪符に署名した事は、生き残りの為の知恵なのかもしれません。
ただ、こんな人たちがアメリカの主導権を握っている間は、日本はどうやって付き合っていけばよいのでしょうか?
日本の免罪符はどこにあるのでしょうか?
「踏まれても 蹴られても ついていきます 下駄の雪」、
下駄の雪とは、「力のある者についていく者のこと」で、決して尊敬を集める存在ではありませんが、こんな恐ろしい人達からは頼りにされる友人として共犯者にされるよりは、たいして役に立たない下駄の雪と軽蔑されていた方がよいような気がします。

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