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勝手に賞『なないろ賞』:十六夜俳句


公式審査員賞とは別に、やっぱり好きって叫びたい。
十六夜杯の熱が冷めきってしまう前にちゃんと出しておきたいと…
という事で今回、惜しくも予選通過ならなかったものの中で、私が『大好きだ』と叫びたいご句22選のご句達に『七色賞』お渡ししたく思います:)
(多い?かしら?…ふふふ。でも実はこれでも絞ってあるんです…(笑))
お友達だから…などの色眼鏡なしで、最終選考と同様全てのご句を読ませていただいた上で届けさせていただきます:)


<予選通過されたご句達は公式七田賞へお立ち寄りください。>
    ↓↓↓↓↓


最後に賞状がありますので是非お受け取り下さい。

では!!


(投稿日付順)


● 名月やひとり場末のショットバー :チューダーさん

名月の楽しみ方を知っている大人の秋夜。ものすごく素敵な秋色を醸し出しているご句だと感じます。「一人」の時を存分に素敵だと思わせてくれる…一人名月にガラスを傾け 乾杯と心の中で呟きながら、ふっと笑みをこぼす。自分自身に最高を届ける事の出来る人…まるで最高の友が夜空の上にいるかのように。。。お酒のCMにして欲しく、こんな男性がいたら私イチコロかも知れません。ふふふ。


● 重機にも斧ふりあげる蟷螂ぞ  :せきぞうさん

小さき者に大ききを見る。まさにその通りのこのご句。その体の小ささに物も言わせぬ程の力強さ・勇敢さ。一言…「すごい奴だ。。。」そう呟いて自分を見直す時間を与えてくれる蟷螂。そんな蟷螂に自分がちっぽけにみえて来る程に、勇気をもらえるご句です。たまごまるさんが#俳句でぽんしてくださった作品が本当に私の感じたものそのままで…一人ブツブツ蟷螂を前に呟いてしまう気持ち…良く分かります!せきぞうさんのイラストが最高なんです…やっぱり飾りたくなる…(笑)

ぜひ、せきぞうさんのご句を使ったたまごまるさんのショートショートもお読みください。私の言いたいこと ハッキリ分かります。ふふふ。蟷螂になんだか負けている感。(笑)


● 名月も欠けて三日の朝の風  : 歓怒さん

月の欠けを透き通る透明な朝の風に浮き上がらせている、とても透明度の高いご句だと思いました。月と言えば夜…そんな中、月の消えゆく美しさがはっきりと浮かび上がるものだと感じます。その上、一日を始めるにあたって 背中を押してくれるような心をそっと届けてくださって。清々しい心が生まれし朝…ぴったりの言葉です。白い月を夜空に浮かぶ名月と結びつける人は、同じ月なのにも関わらず そうないと思うのです。月がふと軽くなった様な…そんな朝の気持ちの軽さをさわりと感じたご句でした。


● 蓑虫や君の俳句を抱きしめる :うつスピさん

自分の中に抱くもの…そっと温め続けているもの。蓑虫をもって、じっと大切に抱きしめる心をそっと届けてくださったご句。これを読んで即短歌を詠んでしまいました…
「奥底に抱く想ひをあたためし羽根を夢見る蓑虫や」
この俳句大会における私の想いと重なったご句でもあります。「大丈夫。ちゃんと抱きしめているから…」もうどうしようもなくなった時には、そっと自分自身の蓑虫になってあげたい…そうも思わせてくれる素敵なご句でした。


● 雨上がり朝霧草に時つ風 :リコットさん

とにかく…「綺麗だ。。。」心でそう感じてしまったご句です。情景が映像となって脳内で再生されゆく。ふと耳元に時つ風を感じられるくらいにです。何を想うのかではなく、何を感じるのか…五感を思い切り研ぎ澄ませたくなる素敵なご句です。朝の切れる様な透き通った風を見せてくれ、と同時に秋の足跡の様な感覚で雨の雫が落ちる様を心に刻めます。感覚を澄ませばその音でさえも…本当に美しいご句でした。


● 子の手引く引かれる日も来る散歩道 :オラヴさん

人生の時の流れ…振り返る事の多い中、先を見つめ笑える人でありたいとそう願えるご句です。子を持つ人ならば必ずこのご句と重なる瞬間を誰しも味わうはず。あんなに小さかった手が こんなに逞しくなって…振り返りと同時にいつかまた手を繋げる日を描きながらそっと微笑む事の出来る、そんな時間の中を移動しながら想いを馳せる事の出来るご句でした。
自分の子供達を描きつつも、母に手を引かれ歩いた道をも思い出し、母の年を重ねた手を そっとこの手に重ねたいなと…涙腺が崩れてしまった私です。


● 啄木鳥や豆とあられとガレットと :とのむらのりこさん

俳句…何を伝えたいのか、見せたいのか、どんな心を届けたいのか…色々考えるものですが…このご句はそんな難しい事なしに「音」「感覚」をもってコロコロと転がしたい。素直に、あっ!これ好きだ!と言えるご句。
ぽろぽろとクズが零れる様が見えてきて…木屑ほろほろ豆ぽろり、あられガレット ガリっさくり。のどでゴクリと腹嬉し。ふふふ
俳句は素敵な感性をもって転がすことでも こんなにも楽しさも素敵も生み出せる…言葉にしなくとも それそのまま届けてもらったご句でした。


● ひたむきに今日の命を木槿咲く :あぷりこっとさん

木槿…一日という儚い命。その中でも空に顔を上げて咲く花の健気でいて、かつ生命力の輝きを放つご句。自分の余命を知りえなくとも、今日一日を懸命に真剣に生きようと感じさせてくれるご句でした。日々の小さな幸せを見逃さずに空を仰ぎながら前を向いてゆきたい…いつの日か、木槿の花に美しいと言われるように…。目一杯に花弁を広げ咲く花の「咲き誇り方」もとてもうまく読み取られたご句だと感じました。


● 月の刃を我が身に受けて終夜  :十六夜さん

やんわりと月を女性的に例える事の多い中、鋭利な刃と重なる夜に心情。柔らかな光でさえも痛みだと感じる日だってあるのだと…味方である月でさえも突き刺さる刃だと捉えてしまう程に痛む心…。月が心に突き刺さったまま明けぬ事を忘れたような長夜をすごす。でもやがてきっと朝日は昇るのだと。。。どこかでそう感じられる。夜の欠け月と心の痛みを見事に描き詠まれたご句でした。


● 恍惚の極致野分きょくちのぶんしとねかな  :中岡はじめさん

性の美しさここにありなご句。本能で性を求める事と 本能で愛を求める事…同じようで全く異なる事だと思うんです。色句の中に艶美さがあり、究極の愛を求める様を性をもって描き出していると感じるんです。月を見上げながら体を重ねた人の温もり…深く刻まれるものがあるのだと…性の美しさを届けてもらった気持ちです。はじめさんはエロと言われますが(笑)…まさしく性の芸術的美を私はすごく感じました。


● 名前などどうでもよくて月蛙 :井戸乃くらぽーさん

このご句ですね…「どうでもよくて」これが秋の思想をものすごく良く引き出されていると感じるのです。投げやりの「どうでもいい!」ではなく、「どっちだっていーじゃん…」呟く様に ぽつっと出る感情の欠片。ふと頬杖をつきながら、月を見て「月蛙…」と呟くのは、好き人のそっけない態度…そんな彼の背にぽつりと「ばーか…」と呟くそれに重なるようで。分かりますかね、私のこのご句への大好き感…(笑)!!!


● 手にふはり月にあづけし君の声 :山本てらさん

とてつもなく大切で、大事に大事にしたいもの。色にすれば仄かなピンク色。そっと、そっと…大切な物を自分の両手の中に拾い上げる様なこのご句。手放したくないけれど、守るために月にあづける。月が自分と同じくらいに守り通してくれると分かっているから。「守る」という言葉の強さと優しさを強く感じ、また君への溢れんばかりの想いが伝わってくるご句でした。


● 日記帳ちぎり並べて鰯雲 :チズさん

思い出がぎっしりと詰まった日記帳。それは自分の素直な想いや感情で溢れていて、一つ一つ並べれば喜びも悲しみも、笑顔も涙も…すべてがコロコロと空に転がりゆく。走馬灯…とは流れ行く物ですが、それと同じように私たちに様々な物を見せてくれるご句。イワシ雲…ポコポコと浮かび来る回想は走馬灯よりも普段の秋の日常の中で触れる事の出来る大切な宝物を並べた秋のみ出会える「走馬灯」だと感じられる素敵なご句でした。ちぎりし物が他でもない日記帳であることが、このご句の魅力だととても感じます。


● 自転車に老犬乗せて秋の蝶 : 茉叶さん

誰しも年を重ね老いて行く。それは動物たちも一緒。秋の蝶に重なるヨロヨロの老犬が、自転車籠の中で鼻先をたかぁーくあげながら、風を受け 風の香りを思い切り嗅ぐ姿がはっきりと見えるご句。若かりし頃に走り回っていた様に思い切り。それはライダーだった老人がホームを抜け出し息子のバイクの横のサイドカーに乗って「最高だ…」と呟く様に。「老い」なのに犬も人も…思い描く表情は読み手がつられてしまう程の笑顔で、自転車を漕ぐ人の犬に対する深い愛情までもが手に取れる素晴らしいご句でした。


● 赤とんぼ細身に満つる血潮見ゆ : ワニ_Kさん

なんと情熱的なご句なのだろうと感じたご句です。細くてか弱そう…命短し者…そんなイメージで眺められる蜻蛉の真の姿を見せてくれたものです。トンボの強さ・情熱にやっと気づいけた時にこのご句を口走ることが出来る様な。トンボの真のあり方を見抜いたと、ハッと気づいたその瞬間…体を燃やしながら短い秋を駆け抜ける蜻蛉達なのであると。私もそんな風に赤く光りながら何かに夢中になれる姿で人生を走り抜きたいと、しみじみ感じました。


● 説教に身を固くして鰯雲 : 沙々良まど夏さん

おやじの説教…ふふふ。ながぁーくて、反論するとより長くなるそんな説教。正座をし、握りこぶしをぎゅっと膝の上に揃え目を瞑る。じっと聞いている様で、頭の中では…”早く終わらないかなぁ” ”今日の晩御飯なんだろう…” ”〇〇君変顔してたな、今日…”色々な事をぽんぽん鰯雲の様に思い浮かべて流しては、時間よ早く過ぎろと願う。坊主頭の固くジーッとしている時の思想がそのままそっくり空へと映し出されているかのようです。時間の経過を告げる空がまさに果てしない思想の海と感じられるそんなご句でした。


● 前髪を揃え眉描き風の色 : ひろ生さん

失恋や気分転換…理由が何であれ前髪をぱっつんと切る。これで何かを吹っ切る感じは、『新しい自分感』。そこに眉をキュッと描くと気持ちも心も引き締まる。さらりと吹く風に色はなく、新しい自分を…まっさらな自分をこれから染めに行くぞという「それいけ女の子!」なご句。秋の憂鬱を吹っ飛ばすまさしく女の子応援句だと感じすごく気分が上向きになるご句でした。飛び散る様な感じではなく、心をキュッと引き締める…そんな気持ち。ひろ生さんのこの記事そのものが芸術館です!


● ベンチには遊び疲れし猫じゃらし : キラキラヒカルさん

秋の夕暮れ時の公園のベンチに茎のあらゆる場所で折れている猫じゃらし。お散歩のときに鼻をこちょり、または野良猫と鬼ごっこ。歌に合わせて踊ったり、砂場の山のてっぺんに偉そうに座ったりしていたのかもしれない。あぁ…今日も楽しかった…ボロボロの身体をベンチに横たえる猫じゃらし。言葉のない物の姿だけを届ける事で、秋のネコじゃらしの虚しさを同時に描いているのも素晴らしいと思ったご句です。風がふっと吹くと重み無き猫じゃらしもそっとベンチの上で揺れるのだろうな…。


● 満月とふたり哲学明日見据え : ロイの小部屋さん

満月と一緒に哲学を語る。何とも素敵な組み合わせです。月を見て思想を羽ばたかせることはあります、が 満月を「相手」としてふたり哲学を試みるこの発想がスマートかつ大人な描写を描かせてくれます。月と語らうことのできるその心…月を見上げた時に思想に浸るだけではなく、月と分かち合って共に明日への光を導けるようになれたら…そんな私もまだまだ青二歳…ふふふ。このご句で私が描いた人は夜更かしをしながら原稿用紙に万年筆を押し付ける物書きさんでした。


● 目を瞑り万事眺めや澄む秋に : おとやさん

静かに目を瞑っているのに、眺めるんです!!!心を静めて小さな一つ一つを考えるのではなく、ズームアウトして全体を見つめる。そこには繋がりの無いように思えるもの達が星座の様に線を結び大きな絵が浮かび上がる。心の中の靄までもがすぅーっと晴れ渡り澄んで行く様な。静けさの中にそっと答えを見いだせるご句でした。悟りにも似た感覚をもっと身近に感じられる…澄み渡る秋だから、そっと目を瞑って全ての物を自分の感覚で受け止めたいと:)


● 初紅葉あかごの小さき大あくび : よこがおさん

初紅葉の葉と初めて世界を見る小さな赤ちゃんの小さな手が重なり、愛おしさが溢れるご句です。小さい小さいあくびなのに、それはそれは大きく口を開けながら…赤子だけの時に感じる一つ一つの動きにいつも笑顔がこぼれてしまう大人の視線を 本当に暖かくにじみ出る様に届けてくださったご句。笑い皺も悪くない!そう優しく もう一本しわを寄せてしまえるご句でした。私赤ちゃん大好きなのですが…もう子供は…ふふふ。孫を待とうと思います。その時にはこのご句がそっと浮かぶのだろうな:)


● 黄昏に犬と微笑む栗羊羹 :さいとうT長さん

深い橙色に染まる太陽が沈み行くのを目にし、ふと立ち止まる人と犬。私には二人の背中が見え 太陽が地の下に沈みかえってもなおじーっと立ち尽くしたままの二人の姿。ふと紺色に染まりゆく中、お互いに顔を見合わせニカっと笑う。あの太陽…栗羊羹の栗みたいだったね!!そんな言葉を発しなくとも同じことを考えて、「かえっておやつにしよっか!」ふふふと笑い帰路につく。とっても素敵な風景を見せてくれたご句でした。
犬と人の関係性…言葉を交わせないはずなのに、このご句からは通った心がとても感じられ、「愛犬」以上に深いソウルメイト的な関係が見えました。

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なないろ賞受賞おめでとうございます:)

しっとり賞状をお持ち帰りいただければと思います。


十六夜杯(18)
これからも素敵なご句を届けて頂ければ嬉しいです:)



また、

参加してくださった全ての歌人殿へ。

という事で、感謝状を公式七田賞の投稿で贈らせていただいておりますので、そちらも是非お忘れのないよう、お受け取りいただければ光栄です



皆様もお自身の好きを叫び届けてみませんか?
好きは十人十色… お自身の感性を持って好きだと感じたご句をそっとラブレターの様に十六夜杯ポストへ出してみてください:)。


七田 苗子より

     心を込めて。。。

素敵をありがとう。

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