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「私は悲劇のヒロイン症候群?」 作家・岸田奈美さんに教わる、悲劇を喜劇に変える“ボケ&ツッこみ力”

私そこそこがんばっているのに、なんで幸せになれないんだろう?
周りはみんな幸せそう。私はこのまま幸せになれないのかな。

そんなふうに思っている人は、もしかしたら多いかもしれません。過去の出来事や現状がつらくてしんどい人もいますよね。

突然ですが、作家の岸田奈美さんを知っていますか?数々の難局に幾度となくぶつかりながら、文章を毎日書いて書いて書きまくり、泣き笑いの人生を歩み続ける女性です。彼女のしたためる嘘偽りのない文章は、多くの人に元気を届けています。

そんな明るくしたたかな岸田さんに教わる力が、悲劇を喜劇に変える“ボケ&ツッこみ力”。ネガティブな気持ちに陥ったとき、あなたを助けてくれる力になることでしょう。

見ず知らずの人に「悲劇のヒロインになりたいだけじゃないの?」と言われた私

「悲劇のヒロインになりたいだけじゃないの?」

20年前くらいにインターネットで掛けられたこの言葉。ずっと頭にこびりついて今でも離れません。

当時私は大学生で、分厚くて重いノートパソコンを持っていました。ポストペットというメールソフトが大流行していて、ご多分に漏れずどハマり(※契約したプロバイダがたまたまSo-netで、もれなくサービスが使用でき試しにやってみようってなっただけ)。

で、ポストペットで知り合った人たちとのチャットのようなツールでの交流もとても楽しかったんです。(↓これはだいぶ今っぽいけど、こんなやつ)

おそらく、そこで何かしらのかたちで出会った男性に話しかけたか話しかけられたか、何かの流れで人生相談のようなことがはじまったのだと思います。私が実兄に12年に渡って兄妹間虐待を受けていたことを話し、その影響を大きく受けて悩んでいるんだといったことを聞いてもらった気がします。

で、ハタチ女の辛気臭い話にイライラしたんだろうな、「きみ、悲劇のヒロインになりたいだけじゃないの?」と一蹴されました。それはもうおもしろいほどケチョンケチョンに。

だって、見ず知らずの人にテキストでズタボロにけなされるんです。チャット終了後そりゃあもう悔しくて悔しくて、わんわんおえおえと泣きました。今思えば、相手の時間を奪ってネガティブな話を聞いてもらったんだから、まあ至極当然ですよね。にも関わらず思ってしまいました、「お前にわたしのなにがわかんねん」と。

傷口にハバネロを塗られるレベルでしんどい思いをしたはずなのに。20年ほど経った今でも、冷蔵庫にこびりすいたシール跡のように頭のすみからこびりついてしまい、忘れたことがありません。

なぜでしょう。

それは、「悲劇のヒロインになりたくないけど、なってしまっているのではないか」と自覚があるからかもしれないから。

実兄に12年間毎日ボロボロに否定され続けて、そのあと恋愛依存して精神ズタボロ他人軸、結婚したものの離婚して、死産して、ストーカー被害に遭って。今は申し分なく暮らしているのに、自分がわからずウジウジして。(あれ?今書くと大したことのない人生?)

かっこ悪いのはわかっている。でもね、好きでそんな状態にい続けたい訳じゃない、どうにか抜け出したいんだよ私だって。

作家・岸田奈美さん。書くことで悲劇を喜劇に変える。

いきなりですが、新進気鋭の作家・岸田奈美さんという女性をご存知ですか?

中学生のときに起業家のお父様を亡くし、車椅子ユーザーのお母様とダウン症の弟さんを家族に持つ女性です。この一文だけで“大変”だろう家庭環境であることが容易に想像できます。

さらに、岸田さんいわく“通常の人があまり経験しないような不運なことが次々に舞い込んでくる”という稀な運の持ち主でもあり。

普通の人ならパタッと行き倒れてしまうような怒涛の日々を、持ち前の行動力と飛びっきりのスマイルで切り抜けるのです。

この岸田さんがとにかく明るい。元気をもらえるんです。どんな不運な出来事も“笑える”文章に変換して発信、“今を懸命に生きる”そんな岸田さんには濃いファンと応援団がたくさんついています。

とにかくかっこいい。素直で明るいキャラクター、行動力があって家族想い。度重なるアクシデントに辛気臭いツイートをすることだってもちろんあるし、そのリアルな人間臭さには魅力があふれ、“今”に食らいつく岸田さんを思わず応援したくなります。あの出来事、どうなったのかな? 事態は好転したのかな?って気になってつい見に行ってしまいます。

そして、岸田さんも一方的な発信では終わらせません。読者との交流だって1分1秒たりとも忘れない。

過去にどんな事情があったって、今がどんなに苦しくたって、絶望感に打ちひしがれるときだって。文章にすることで客観的に自分を取り巻く環境を表現し、ちょっとひねって喜劇に変えることで、自分を救っています。

岸田さんの文章を見てわかったこと。今の私に足りていないものは、現状をおもしろおかしくツッコむ視点と、自分の気持ちに対する正直さなのだと痛感しました。

沼におぼれてしまわないために。とにかくあきらめずに書き続けていこう。

どんな人にだって、人知れず悲しいことや苦しいことを抱えています。無意識に“キラキラしていた”自分と比べては、今の“みじめ”な違和感を覚えて必死にもがいて生きている人たちがほとんどではないでしょうか。

たった一度きりの人生、楽しくハッピーに過ごすも、ネガティブにドロドロに過ごすのも、その人次第。

どうせなら、物事をネガティブに捉えるんじゃなく。大いにツッコみながらたくさん笑って進んでいきたいなと気持ちを新たにしました。

さっそく試しに、「ちびまる子ちゃん」ナレーター・キートン山田さんさながらのトーンで自分をツッコんで、1日を締めてみようかしら。


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