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野草食日記 182 土筆とノビルのチヂミ

近くの里山で「もう土筆が出始めているよ〜!」と連絡をもらったのが、3月の第1週。
昨年3月15日に土筆摘みをしたとき、そろそろ終盤に差し掛かっていた記憶があるので、それを考慮しても1週間は早いんじゃないかなと思います。

第2週の月曜日、私も山に摘みに行きました。
実は土筆ってそれほど好きではないんです。
改めてその理由を考えてみると、先端の部分が少し開き加減のものを噛むと、中からもわっと胞子が出てくるじゃないですか。
多分あの感じが苦手なんだなと思い、まだ出始めの先っぽが固めでしっかり閉じているものを厳選して摘んできました。

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                この日は土筆、カンゾウ、アオキの蕾を収穫

更に念には念をということで、小麦粉と卵の生地を纏わせ焼き込むチヂミを作ることに。
小麦粉に助けられて、もわっと感が緩和されそうな気がしませんか?
同じく季節もののノビルと一緒にざっくり混ぜて薄くフライパンで焼き、コチュジャン、醤油、砂糖、酢、韓国唐辛子を混ぜたタレを添えました。
先っぽが固めだったせいか、小麦粉に助けられてか、ほぼ土筆の存在感はありませんでしたが、料理としてとても美味しかったです。

土筆は姿は可愛いけれど、色は地味だし、さほど栄養はないんじゃない?!くらいに思っていました。
季節の風物をしみじみ味わう的な感じ。
春の到来を喜ぶ感じ。
そんな役割なのかなと、なんとなく思っていたフシがあります。

ところがです。
調べてみると、結構栄養価が高いのです。

緑黄色野菜の定義というのは「可食部100gに対してβ-カロテンが600μg (マイクログラム) 以上含まれているもの」ですが、緑ピーマンとトマトのβ-カロテン量はそれぞれ、400μg、540μg。
それに対して土筆は1100μg。

じゃあ、600μgに満たないピーマンとトマトは緑黄色野菜ではないの?!と思いますよね。
ところが一回の摂取量が多かったり、食べる頻度が多いものに関しては、ゲタをはかせて緑黄色野菜に認定するという決まりになっているのですって。

土筆は一度には沢山食べられないし、というより微量のアルカロイド(植物毒)を含むため多量摂取はしないほうが良いというほうが正確ですが、いずれにしても、同量のトマト、ピーマンよりβ-カロテンが多いことはちょっと意外でした。

「野菜ナビ」という情報サイトに掲載されているβ-カロテンの含有量の表を参考までに貼っておきますね。

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この表に土筆は載っていませんが、ちょうど葉ねぎとミニトマトの間くらいですね。


β-カロテン以外ではビタミンEの含有量も注目に値するそうです。
以下に掲載したのは「旬の食材百科」の表です。
土筆は割合下の方じゃない?!と思われるかもしれませんね。
でもサイトをご覧頂くとわかりますが、土筆のあとに延々と他の野菜が続いています。

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土筆は摘んだあとからでも伸びるので、放っておくと頭がほうけてしまうそうです。
なので私のように胞子のもわっと感が苦手な人は、帰ったあとに手早くハカマを取り除いて茹でてしまうほうが良いですね。

甘糟幸子さんの著書「野草の料理」には、土筆の頭に隙間ができて緑の粉が散るようだったら、そこは取り除き、茎だけを利用するのもOKと書かれていました。
その際に気をつけるのは、胞子が出るようになると茎が筋ばり苦味も出てくるので、茎の状態を観察して瑞々しさを感じるものを選び、それ以外は料理に使わないこと。
見た目美味しそうかそうでないか、が判断のポイントのようです。


野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。