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野草食日記 337 イノコヅチと人参・栃の尾揚げの胡麻和え

山菜、野草の料理法というと、まず天ぷらとよく言われますよね。
アクが強いもの、歯触りや喉越しが良くないものはとりあえず天ぷらにしてしまえば間違いない。
でもね、天ぷらってそうそう毎日食べられないです。

野草でもベニバナボロギクのようにそのままお浸しや炒め物にして美味しいものはいいのですが、そうでないものは天ぷらの時以外は自然と出番が少なくなる。
イノコヅチもそんな野草の中のひとつです。

イノコヅチ、スベリヒユ、アカザ、ヒメジョオン、シロツメヒユツユ 夏の七草

これは第二次大戦が終わる約2ヶ月前の昭和20年6月20日、食糧がなくて食べることを推奨、発表された7種類の夏の野草です。
シロツメヒユツユは、シロツメクサ、スベリヒユ、ツユクサですね。
日本学術振興会学術部・野生植物活用研究小委員会が選定したもののようです。
ラインナップを見ると、美味しいから食べるというよりは極度の食糧難で追い詰められた様子が垣間見られるなぁという印象を持ちます。

さて、今回のテーマであるイノコヅチ。
初めて食べた時の感想はこんなものでした。

「殊更特徴的な味や香りはなくボソッとした感じ」
食べられはするけれど、可もなく不可もなく。
歯触りもちょっと固め。
なので、これを書いた後も他の柔らかく食べやすい野草に混ぜてかさ増し部隊としての位置付けとなることが多かったです。
昨年4月、天ぷらで食べると意外にも「とても美味しい」とわかったものの、上記のような理由で、食卓に上る回数はどうしても少なめです。

これから夏に向かい、イノコヅチの全盛期を迎えます。
他の野草に混ぜることなく、もう少しイノコヅチの持ち味を料理に活かせないだろうか?!と思い、まず作ってみたのがこれ。

イノコヅチとネギを細かく刻み、シュレッドチーズと一緒に栃の尾揚げに挟んでオーブントースターで焼いたものです。
これはイノコヅチの量が多く、モサモサ感が気になります。
イノコヅチ少なめでチーズを多めにした方が喉越しが良かっただろうな。

この失敗を糧に、翌日作ったのがこの胡麻和え。

柔らかな中にパリッとした食感をあわせもつ焼いた栃の尾揚げに、柔らかく煮た細切りニンジン、
擦った白炒りごまに味醂、醤油、水を合わせたゆるめのペースト。
これらを少なめイノコヅチと一緒に和えてみた。
ペーストは多めに作り、更にあと乗せしてある。

特に何のインフォメーションも与えず、胡麻和えに箸を伸ばした夫、
「これ美味しいね!」と。
本当か?!と訝りながら、私も食べてみました。

確かに、イノコヅチの食感の固さはあるのですが、なかなかいい具合です。
葉の量を少なめにしたこと、小さめに刻んだこと、人参と栃の尾揚げの柔らかさに助けられていること、ペーストを多めにしたことが相乗効果となり、イノコヅチの食感自体がアクセントになっている、そんな印象でした。

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なな艸 (ななくさ)
野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。