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ぽつり2 とある田舎の話

私たち団体は様々な民俗学的なニオイのするお話を各地で聞いているのですが、いろいろな話の中に心霊的な話も混ざることがあります。
一応、私たちのスタンスとしてはそういった怪奇現象や超常現象は否定も肯定しないということなのですが、そう言った不思議なお話の根元には、必ず生きている人間が関わってきていることは間違いがないと思っているのです。

さて、今回は四国の田舎に暮らしていた3姉妹の長女の方から聞いたお話をさせていただきます。

1980年代、彼女は(今後K子さん)妹二人と両親の五人でとあるマンションの7階に住んでいました。決して新しいマンションではなく、少し古いマンションで静かなマンションだったといいます。
一家が暮らす部屋も狭いわけではなく、リビングの他に部屋が3つほどついていてペットも飼うことができたのだそうです。
しかし、そのK子さんらが暮らしていた部屋は、姉妹全員が幽霊をほぼ毎日目撃するほどの幽霊マンションであったのです。

以下は思い出していただいた幽霊にまつわるエピソードです

その1     K子さんが寝室のベットでテレビをつけながら暗い部屋で眠っていたところ、真ん中の妹さんが開いているドア越しに霊を目撃しました。その時の時刻は夜で、ちょうど眠っているK子さんとその妹さんしか家にはいませんでしたが、ベットにはK子さんともう1人髪の毛がとんでもない長さの女性が添い寝いているのです。よく幽霊を目撃しており多少慣れていた妹さんは「うわあ・・・」と思いながらしばらくドア越しに見てから、急に怖くなりリビングに戻りまた部屋を覗きに戻ったところK子さんだけが眠っていたそうです。

その2    先ほどの部屋で末の妹さんが眠っていたところ、ふと複数の人間が小声で話をしている声が聞こえたのだそうです。それが初めてではなく、家族の声ではないとわかっていた彼女は「早く終わって」と思いながらめを閉じていました。しかし、いつもと違い急に金縛りになり目だけが動く状態の中、小声だった声がだんだん大きくなってきました。でも、大きくなるにつれて単に声の大きさが変わっているだけではなく耳元までたくさんの人の声が近づいてきていることに気づきました。非常に怖かったのですが何の姿も見えないのです。
すると、目線の先の押し入れがスーと開き、中から正座をしたおばあさんが笑顔でこちらを見ていたのだそうです。
そして気がつくと朝になっていました。

その3    上2つのような話が、ほとんど同じ部屋(姉妹の寝室)で起こっていたのですが、ある日真ん中の妹さんの「見えて分かる」お友達がこのマンションに遊びに来たところこのようなお話をされたのだそうです。
「このマンションから見えるお墓からこのマンションが真っ直ぐの霊の通り道になってる。ちょうどこの部屋がその道にあって、どこかへ通り抜けるついでにみんなに見えてるんやと思う」

ここまで聞いて、そんなに幽霊話が多いのは、墓地に近いマンションだったのか。なかなか不気味なものなのだなあと思ったのですが、他にもこんなお話をしてくださったのです。

その4  K子さん家族はパグ犬を飼っていたのですが、末の妹さんがそのパグを散歩させていた夕方のある日、いつもの散歩道の田んぼの上を2メートルほどの身長のある少年がかなりの速さで駆け抜けて消えていったのだそうです。

その5  K子さんのお母さんは、近所の保育園で給食のおばさんとしてパートで働いていました。その保育園も少し古い保育園でしたが園児の人数も多かったみたいです。そこの保育園では、お母さんが勤務している時期に一人の男子児童が事故で亡くなっており(K子さんも詳しい理由は知らないとのこと)それからその子の霊を職員や園児、保護者の方まで園で見かけることがあったのだそうです。
園児の世代が変わっても、度々子ども達や保護者から目撃情報があるため地縛霊になっているのではないだろうかとも噂されていました。

その6  真ん中の妹さんが小学4年生くらいの時です。給食の時間に、当番のクラスメイトがお昼の準備をしており、妹さんはスープをもらうために列に並んでいたのだそうです。すると突然に、クラスの何人かが窓を見てとんでもなく大きい声で叫んで怖がっているのです「え?」と思って窓を見ると、窓いっぱいの大きい(おそらく男の子)顔がこちらを見ていたのだそうです。クラス中がパニックになり先生も驚いていたのだといいます。妹さんも窓を見ないようにしたのだそうですが、一瞬でその顔は消えていたのだそうです。

他にも様々な話をK子さんから聞いたのですが、K子さんは「私もたまにマンションで見えてたんよ。やっぱりあのマンションはおかしかったんかな」と最後に言っていました。

K子さんはマンションでの出来事に関して恐怖を覚えていたみたいですが、K子さんの他の家族の皆さんは話を聞く限り、マンション以外の近所で幽霊を見たり、幽霊にまつわる出来事にあったりしているのです。
恐らく、霊の通り道(霊道)となっているのはマンションだけではなくもっと広い地域に及んでいるのではないでしょうか。
真ん中の妹さんの友人は「真っ直ぐ」と言っていたそうですが、もしその霊道があるとしても現実の道と同じく曲がったり坂があったりもするかもしれません。
K子さん姉妹も「あそこら辺はそういうの多かったよね」と大人になり、それぞれ引っ越しをした後でも話をするそうなので、決して3姉妹がそう言った怪異に遭遇しやすいというわけではないようです。
現に、K子さんも妹さん達も地元を離れ、それぞれの場所で生活を始めてからは幽霊を見なくなったといいます。

地域一体、限定的な範囲で多発する怪異というものも理由が謎であります。日本という場所は様々な場所で人が亡くなっているわけですし、その四国の田舎も何か大きい戦や災害、事件があったというわけでもありません。
何か、土地にまつわるいわれや穢れのようなものがあるのでしょうか。

始めにもいいましたが、私たちはあくまでも霊の存在を否定も肯定もしないというスタンスではありますが、このような話を聞くと別の世界の何かが「本当に存在するのではないか」と思ってしまいます。


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