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テレワークの孤独感を掘り下げると、帰属意識にたどり着いた

#日経COMEMO  から、#テレワークに効くコミュニケーション というお題が出ています。

当社も、ここ1年半ほどコロナ対策としてテレワークをほぼ100%実施し、昨年末は50%50%くらいまで戻しました。オフィスの座席数はリノベーションにより50%まで落としていますので、以前のような出社前提の働き方に戻ることはありません。(ちなみにフリーシートなので自分の専用の座席もありません)
テレワーク100%の時には、孤独感の問題は緊急の課題でした。私自身も、2回くらい「つらい」と思ったことがありますし、部下もそれぞれが孤独の波を感じることが多く、その対応に追われた2020年・2021年でした。

孤独感の正体は「自分はこの組織に居場所があるのかどうか」

「自分はこの組織に居場所があるのかどうか」。職場で感じる孤独感は、この一言に尽きるのではないでしょうか。自分の居場所があると強く確信していたうえで「雑談ができなくて寂しい」という表層的なものだけであれば、仕事のパフォーマンスが落ちるところまで自尊心が傷つくことはありません。

ただ、リモートワークの孤独感で苦しんでいる人の話をじっくり聞いていると、むしろ「こんな自分で上司は満足しているのだろうか」「自分がこの場所にいていいのだろうか」という気持ちが核にあるのが分かりました。オフィスワークが100%のころはそんな発言をするとは思えないような快活なメンバーですら、そのような不安感を感じていました。

かつてオフィスワークが主流だったころ。自分の専用の座席があります。管理職は島の長という位置におり部署は固まって座っていたわけです。座席の位置にも意味がありました。「雑談ができる/できない」という表層的な事象の下には、近くにいるからこそ自分の部署の人たちとカジュアルな会話ができる物理的な環境が果たしていた役割も大きいのではないでしょうか。

そして、上司とすれ違った時や帰宅する際の「お疲れ様」という声掛けに自分の存在意義を感じていた。これも物理的に近くにいるから、というのも大きいですね。

このように「ここが自分の居場所だ」という気持ちは、「近くにいること」が生み出すバーバルコミュニケーションに実は支えらえていたわけです。だからこそ「仮想オフィス」という仕組みがもてはやされるのでしょう。

とはいえ、仮想オフィス自体も、「仮想オフィス(があるような会社)は私の居場所ではない」と、疎外感を感じてしまう人を生み出すリスクもあります。ですので、物理的(仮想的にも)に近くにいるという解決策とは別のアングルからデメリットを軽減する。そんな取り組みは、いずれにしても必要になるでしょう。

居場所を感じる声掛けを3倍にする


もちろん1 on 1 ミーティングなど、さまざまなフォーマルな解決策はありますが、管理職に追加の負担が大きすぎると持続できなくなります。ですので、まずは、一言の声掛けの頻度を上げる、声掛けの内容をブラッシュアップする、というのが有効かと思います。

具体的には、「あなたはこの組織に居場所があるよ」ということを感じられる表現をあらゆる角度から編み出して、仕事のやり取りの中で伝えていくというものです。

「●●さんのおかげで(私が)助かりました!」
「●●さんがサポートしてくれるから、他のメンバーが〇〇に集中できるんですよ」
「●●さんの頑張りがチームの他のメンバーに〇〇という刺激を与えていますよ」
「●●さんが良い質問をしてくれたからディスカッションが活性化しましたね」
「●●さんが、ご自身で仕事のレベルを上げるように努力しているのが見えるので、私も安心しています」

これは直接言うのは恥ずかしいので、むしろチャットなどのテキストコミュニケーションに向いている声掛けなのですね。こういった表現をこれまでの3倍にするというのが、私が心がけている事です。

実は、この声掛けは、それぞれのメンバーの立ち位置や存在意義を上司が本質的に理解していないと言葉が出てきません。ですので、部下一人ひとりの存在意義を言語化するという作業が上司側に必要になるわけです。ただ、それ自体は管理職としての本質的な仕事ですので、普段からやっておくと、目標設定や人事評価の際も含めてレバレッジが効くのでやっておく価値はあります。

さらに頻度を3倍に上げようとすると、部下をよく観察していないとできません。声かけが必要なメンバーほど褒めたいところがない、という事情もあるかもしれません。ただ、この「上司が自分の働きを見ていてくれる」というのは帰属意識に直接つながってきますので、時間をかけて観察する価値があると思います。特に、発展途上の方に対しては、どれだけ期待値を下げて良いところを見つけるか、という追加の作業になります。しかし、その声かけがメンバーのモチベーションに与える効果は絶大ですので、むしろ脳に汗をかいてでもやるべきだと思います。

昨今、急激に感染者数が増えてきた中、またリモートワークに軸足を置く必要が出てきました。仮想オフィスに投資できない会社も多いでしょうし、新しいものをやると、なじむための労力もありますので、まずは今の延長線上でできることを目的意識をもって取り組むと良いのではないでしょうか。

#日経COMEMO  #テレワークに効くコミュニケーション

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