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上司部下のコーチングは成り立つのか?

最近はone on one meetingも一般的になってきました。one on one meetingは、厳密にいうとコーチングではないですが、部下の話を聞く、という観点では近しいものですし、中身としてコーチングのテクニックを使うことが求められていたりします。

ただ・・・ 私自身は、上司がコーチングをしようと声かけをしてきたら、「気が進まない・・」と思ってしまうのが正直なところ。若手の頃は上司に構ってもらえるのが純粋に嬉しかったのですが、今は「余計なことを言われたくないなぁ・・」とか「アドバイスされたくないなぁ・・・」という気持ちの方が強くなってしまいました。

みなさんも、例えばこんな風に思ったりしませんか?

本音を話したら、後々、自分の不利になるのでは?

評価者だからこそ、良い面を見せたい。

行き詰まっていることを知られたくない。

自分ひとりで解決できることを示したい。

いかかでしょうか? 部下の立場だったらこう思いますよね?

さらに、上司が部下である自分を思い通りに動かすために、無理して話を聞こうとしたり、白々しい褒め言葉をかけてくるのも、シラけてしまう。

そういう本音の方もいるでしょう。

なので、個人的には上司・部下の関係性でのコーチングには懐疑的だったのです。

一方で、私自身は外部のプロのコーチングを受けて社会人人生最大の転換に活かせたこともあり、コーチングというテクニック自体には絶大な信頼があります。

なので、直属の上司に対する特有の心理をうけとめたうえで、なんとかコーチングのテクニックを使いたい。そう思って、試行錯誤してまいりました。今日は、そのコツを紹介しようと思います。

コーチングのテーマを限定して合意をとる


上司とのコーチングだからこそ、部下は「強制的に変化を求められる」というプレッシャーを感じるものです。だからこそ、コーチングのテーマは、部下にとって「心から課題と感じているものだけ」に限定するのがコツです。この「限定する」というがとても大事。限定するからこそ、そのテーマ以外に逃げ道がある。ということですね。できるだけ話がそれないように、自分から「そういえば・・」という感じで他の課題まで広げないよう気をつけましょう。あくまでコーチングは部下が自発的に設定した課題に限定する、コーチング中も注意が必要です。

コーチングセッションの期間を設定する


いつ終わるのかわからない始め方だと、部下の方も気が進まないものです。延々と変わることを求められる。かなりのプレッシャーですよね。気が進まない部下は、何か理由をつけてセッションを延期してくるので、結果的に自然消滅になる場合も。

なので、「まずは週1回、1ヶ月で4回やってみましょう」「続けるかどうかは、後で決めましょう」というように、回数や期限を明確にします。

そうすると、コーチングに及び腰な部下の合意を得やすくなります。

コーチング中に「あと◯回の約束なので、次回までのアクションを考えませんか?」と、ペース設定を踏まえたアクションの発案を促しやすくなります。部下の進捗が良い場合は、最終回から逆算することで、ペース設定もできたりします。

さらに、うまくいかない場合でも「もし成果がでなければ、そのまま続けるオプションもある」ということで、お互い気持ちが楽になります。

コーチングの基本に忠実に


上司部下のコーチングとなると、上司はある意味「答えを知っている」という立場です。本来は、「コーチされる側に答えがある」というスタンスであるべきですが、ついつい「こうしろ」「ああしろ」とアドバイス(指示)してしてしまう。上司だからこそコーチに徹することが難しいのです。

まず、話す分量は、上司:部下=2:8くらいになっているかどうか、しっかり自制すること。これ、かなり難しいですが、踏ん張って頑張りましょう。

そして、相手が自ら行動を起こそうとするアクションの内容について「そうじゃない、もっとこうした方がいい」という形で上書きするのは控えましょう。アドバイスという善意で伝えたとしても、自発性を削ぐことになります。「結局、上司は自分の思い通りにしたいだけだ」と思われる結果になります。

上司だからこそ、コミットメントを取りやすい


では、上司からのコーチングのメリットは何でしょうか。最大のメリットは、「実行のコミットメントと、定着支援ができる」ということです。

例えば、「今後、〇〇という行動をとることにします」と部下自身が発案する。外部のコーチだと、それに対して応援はできても、細かく行動の進捗確認をして、着実に実行するようにサポートすることはできません。

一方、上司の場合は、その行動をとっているか日々観察し、順調であれば賞賛し、忘れていればリマインドをする。日々の業務と同じ関係性で、部下は「仕事として」自分の決めたアクションを確実に実行する状態に持ち込みやすいのです。

さらにいえば、部下の決めた行動について、期限を設定することを促したり、途中経過の報告を求めることもできます。それにより、コーチングを通じて部下自身が変化を起こそうとしたマインドを定着させることができるわけです。

この行動へのコミットメント強化が上司と部下のコーチングの最大のメリットですね。

縦の影響力のプラスとマイナスを意識すること

上司部下の縦の影響力は、コーチングの場面ではネガティブに働きやすいのですが、定着支援という点では縦の影響力が使えます。

ただ、だからこそ、コーチングの際の傾聴がとても大事。ここで部下本人からしっかり話を聞き出し、自分自身でアクションを考えてもらう。そうでないと、単なる「矯正」になってしまい、コーチングの良さを引き出せません。

ということで、上司部下のコーチングはとても難易度が高い、と思うのですが、one on one meetingでこのテクニックが使えるようになると、自立自走する部下の育成にはとても役にたつ。マネージャーにとって、コーチとしてのスキルを上げる価値は大きいと確信しています。

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