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リモートワークで成果を出す組織「分解する」「頻度を上げる」を意識しよう

当記事は、日経新聞の紙面で取り上げられました。



リモートワークでの評価について、そろそろ組織の管理職として本格的に向き合う時期に来ている。ここまで急にリモートワークに振り切ってしまうと「成果さえ出していれば、勤務時間中に業務外のことをやっていても評価されるのか」という疑問が出てくるのも当然だ。リモートワークに軸足を置いた時に、成果や評価はどのように定義していけばいいのだろうか。

私のチームは30名ほどの企画・制作系の部署だが、今は100%近いフルリモートになって四ヶ月経過した。組織の長として最近感じるのは、リモートワークの管理の仕方にこだわるより、「管理」されなくても組織のメンバーが成果を出したくなる行動様式を浸透させて行く方がいい、ということだ。


目標を分解して日々の業務にひきつける

定量的目標は、自分の職務と関連性がなさすぎると全く効果がない。新卒入社数年目のメンバーに事業部全体の営業目標を置いても、自分の日々の業務から遠すぎるし、自分の力でコントロールできない要素が多すぎて、目標として機能しづらい。したがって、各自の日々のタスクに落とし込める数値目標(中間指標)を作るのが良いだろう。そうでないと、フリーライダーが生まれてしまうし、リモートワークであれば尚更サボりを誘発してしまう。

数値目標に落としづらい業務でも、例えば業務に慣れるフェーズのジュニアメンバーには「2ヶ月で〇〇について差し戻しがないレベルに到達する」などの、質と量のハイブリッドな改善目標も有効だ。

また、数値目標も年間目標だけ作って月別がないとピンとこないように、中間指標も時間軸を短く設けた方がいい。時間軸を適度に短くすることで、中だるみを防ぐことができるし、達成感を感じる頻度が短い方がリズムが作りやすくなる

期待される振る舞いを目に浮かぶレベルまですり合わせる

企画職の場合、部門間の調整も重要な仕事だ。調整の上手い人だと、スケジュールもスムーズに行くし、意見の吸い上げや方向性の絞り込みをして、スピードを早く進めることが出来る。リモートワークだとそういった調整をしている場面を上司が垣間見る機会が減るので、「頑張ってるのに評価に取り込まれないかも」と不安になる人もいるだろう。

上司と部下の間で、「次の会議は意見の吸い上げが目的だから、〇〇という観点で仕切って欲しい」のような目先の目標を持ち、後で結果を共有すれば、部下の調整が上手くいったかどうかの確認ができる。段取りの改善なども、「前回の教訓を生かして〇〇について取り組もう」などと、目先の目標設定を意識的に行うと改善が進みやすい。
要所要所で上司と部下でこのようなすり合わせをやっておくと、部下の方も自分の貢献や進化が共有できて達成感が湧くだろう。


承認欲求をこまめに満たす機会を設けて、成果を実感してもらう

そもそも仕事の段取りについて、どの程度期限を明確に区切っているだろうか。ジュニアレベルへの指導となると上司は期限を区切ることを意識するが、シニアレベルになると中間マイルストーンも含めてお任せにしてしまってないか。

同じオフィスにいると阿吽の呼吸でそれでもいいのだが、リモートワークの時には「いつまでに何をやる」という日付や時間を明示的に握る方がいい。人は明確な期限があるとサボりづらいし、段取りをきちんとこなす達成感は中毒性がある。周りから必要とされたり感謝される機会が増えれば、承認欲求も頻繁に満たされるので、承認欲求が満たされてやる気につながるサイクルが短くなる。そうすると、リモートワークでも成果が出せている実感を感じることが出来るだろう。

このように、成果の中身を、時間軸や振る舞い方、段取りの細分化などで具体化していこう。そうすれば、何が出来てどこに改善点があるのかが可視化しやすいし、上司と部下で前向きに話し合うことができるだろう。マイクロマネジメントを恐れて放任してしまうより、育成や改善の観点から方向性をこまめにすり合わせをして、達成したら都度褒めたり労ったりする。達成しなくても、前向きに取り組んでいることを認めて励ます。人の「必要とされたい」「認めて欲しい」という欲求をテコにして、いわゆる「管理」の必要性を減らしていく取り組みだ。

実はこのようなやりとりはオンサイトでも変わらないのだが、リモートワークでは尚のこと分解して頻度を上げるとよいだろう。一見、管理職の負担が増えるように見えるかもしれないが、逆にこれをやる事で、部下がきちんと仕事をしているか監視する、という不毛な業務をしなくて済むようになるはずだ。
なによりメンバーが達成感を感じて嬉しそうにしているのを見る機会が増えて、管理職の自分のモチベーションに還元されるのは大きなメリットであろう。


↓こちらの記事、リモートワークについて「日経COMEMO」と日経紙面で紹介いただきました。


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