#アートシンキングの学校 自分のいびつさを体感する

今回の「アートシンキングの学校」は、オンライン演劇を題材にアートシンキングのサワリを体感するものでした。

アートシンキングというと、つかみどころがない概念だし、どう訓練したらいいかわからない。ただ、そもそもアートに触れないとアートシンキングはできるわけないのです・・・。なので、アートに触れたときに湧き上がるものを通じて、アートシンキングを体感するセッションです。

さて、今回のパフォーマンスは、私の大好きなmizhenのオンライン演劇でした。演劇といっても演者は画面に登場せず、ずーっと部屋の一角が映ったまま。「8つの言葉」という作品で8人の登場人物のモノローグが続きます。それぞれ、画面に別のフィルターがかかって、同じ部屋の一角がさまざまな色や形で歪んでいきます。

今回は、ワークとして、視覚を起点に触覚をActivateするのを促されたので、私は、湿度とか肌触りを感じることができました。

これがアートシンキングとどうつながるか。今回は、正解を探さずに、自分の「いびつさ」を受け止めて表現する、というテーマでした。

一つの作品を見ても喚起される感情や言葉は人によりさまざま。チャットに流れる参加者のコメントを見ていても、ひっかかるところは違うし解釈も違う。自分がどんなことでどんなインスピレーションが沸いたかは、比較してみるとユニークさがわかるし、「やっぱり自分らしいな」と思うところも。

日常生活で人と接していても、言葉にできない「その人らしさ」ってあると思います。「●●さんが△△するって”らしい”よね」ということを言いますよね。無意識に出てしまうその人なり「らしさ」や「空気感」、それが「いびつさ」なんだと思います。

ここで、アートシンキングをビジネスに活かすという観点を意識してみると。

会社にも「らしさ」や「空気感」があります。それに魅力が感じられると、それは「ブランド」を形作っていきます。いろいろな会社に出入りする仕事をする方ならぴんとくるかもしれません。同じ業種でも、「らしさ」が違う。言語化するのも難しいし、意図して作られているわけでもないから、なおさら魅力になる。

では、この「らしさ」をどう作るのか。顧客に好かれるために、自分らしさを捨てて、好かれる態度を取ろうとすると、魅力が半減してしまうというパラドックスがあるので、なかなか難しいところです。ただ、会社にいると、「類は友を呼ぶ」というか、「なんかいいね」と思うものは意外と共通しています。となると、まずは、属する人たちが「いびつさ」を素直に出す環境があるか。それが第一段階かもしれません。それが人と人とを呼び寄せて、同じことに魅力を感じる人が集まって、組織としての「らしさ」ができていく。

一方で、演劇家の藤原さんのトークを聞いていると、感情をとらえる物差しの目盛りが細かいなぁと思います。ここはアーティストの才能のなせるわざで、それがあるから創作ができるのだと思います。

ではアーティストでない私たちが、「空気感」を創作するとしたら、どうしたらいいか。すぐには方策が思い浮かびませんが、もしかしたら、普段、私たちが使わない物差しを使える外部のクリエイターなどの助けを借りた方がいいのかもしれません。

書いていて、ブランドになるほどの「いい空気感」を、意図的に作るのは、そうそう簡単ではないな、と気づいてしまいました。だからこそ強いブランドは、真似できないし、無理にまねしようとすると偽物感が出てしまうのですね。

最後に、今回のパフォーマンスですが、美術館の映写室で見ているような気分になりました。Zoomというデジタルツールですが、間違いなく場の空気感を作ってました。もはやここまでツールが進化すると「オンラインだと伝わらない」というのは古いと実感。オンラインのサービス開発で、空気感を感じるサービスづくりにチャレンジしてみたくなりました。



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