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働かない上司が生まれる構造的問題

昨日、とあるセミナーに登壇しました。

盛り上がってたくさん質問をいただきました。

その中で、「管理職が暇していて定時で帰っている」という話がありました。

確かに・・・。働かない管理職の問題。私も若手の頃は常に不満を持っていました。

今日は、この問題を分解してみようと思います。

もちろん、分解したからといって、部下の立場ではどうしようもないのですが、少なくとも事象を整理できると、もやもやした不満(もしかしたら、爆発しそうな不満)をどこに向けたらいいのか、多少のヒントになるかもしれません。

部下の立場からすると、「働かない管理職」はこんな感じで分解できそうです。

非管理職が業務で忙しいのに、現場の仕事を手伝わない。
管理職しかできない調整ごとなど、権限を使う仕事をやってくれない。
上記のコンビネーションにて、早く帰宅する(暇そうにしている)

3つめの「暇そうにしている」ことに焦点をあてて、今日は構造的な理由についてお話をしていきます。

管理職の数が多すぎるという問題


そもそも、管理職の数が多すぎる、という理由。報酬制度が管理職になるならないに紐づいていると、優秀な人に給与面で報いるために、(極端な例では)部下なし管理職に昇格させたりする。報酬制度が硬直化していることに起因する原因です。そうなると、1人の管理職が監督する部下の数が少なくなる。本来、10人に1人でよいものを3人に1人になってしまう。そうなると管理職としての業務量は必然的に少なくなります。

組織の中の特定の機能について、管理職が何人必要なのかは、ケースバイケースなのですが、「誰かを昇格させなければ」という個別事情でチームを細分化することもよくあるのではないでしょうか。そうなると、管理職の仕事をフルでやったとしても、そもそも与えられている仕事が少ないので、暇になってしまう。管理職として監督する範囲が狭いと、影響力を及ぼせずに付加価値をだすチャンスも限られてしまいます。

そのくせ給料は高いわけですから、会社経営としては非効率になってしまいます。個別最適を狙ったのに、全体最適にならない事例だと思います。

管理職の価値の出し方がわかっていない場合


部下が仕事で忙しいのに、管理職は暇している。こういう場合に、本来は、部下の仕事を効率化するために知恵を絞ったり、組織面から改善をするために権限を使うというのが、本来の管理職の仕事のあり方だと思います。部下の立場からは見えていない視点や、リーダーとしての権限や経験値があるからこそ、効率化のアイディアが出てくるはず。ただ、そういう形で貢献すること自体、自分の仕事だと思いが及んでいない可能性があります。

または、具体的なやり方がわからず、単に「残業が多いのは部下自身のやり方が悪いだけだ、なんとかしろ」という。その言葉にはまったく付加価値はないですし、それを言ったところで大幅な改善は見込めません。「(何の改善提案もないなら)黙ってくれていた方がまし」と思う部下もいるでしょう。

これは、管理職という役割に求められている期待値が当の本人に伝わっていないこと、もしくは伝わっていたとしてもやり方がわからない、というスキル面の問題があります。

管理職の役割にミスマッチな人員を充ててしまう問題


そもそも、そうした調整ごとに向かない人や、他人や集団に興味がない人が管理職になっているというミスマッチの問題もあります。管理職の仕事は、リーダーシップや管理監督、部下のコーチングなど様々な非定型業務の組合せです。そうした非定型業務に純粋に向いてない人や、集団全体を見るという視点がそもそも欠けている人など、向き不向きがあると思います。
なので、非管理職の業務については優秀なパフォーマンスを出していることをもって、「ご褒美としての昇進」を許容してしまうと、昇進後の役割を満たせないケースが出てくるわけですね。
そうなると、本来管理職に求められている仕事から(無意識に)目を逸らしてしまう。そのため暇になってしまう、という事象が生まれることになります。


以上、働かない上司が生まれてしまう構造的要因を説明してきました。

働かない上司の下に着いてしまった場合、ではどうするのか、というと、いろいろな対処法があります。チャンスと捉えて前向きに取り組むもよし、異動や転職、自分が管理職にとってかわるという荒技もあるかもしれませんね。

とはいえ、少なくとも管理職という役割に対する理解が深められれば、ご自身の将来のキャリア形成に少しは役に立つかもしれません。この記事がその参考になれば幸いです。

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