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その場の流れを操る魔法使いに出会った話

「友人に優しくしなさい、人を卑下するのはいけません。」そんなことは当たり前のことだと思って育ってきた。人と比べている暇があるのであれば高いところを目指しましょうと言う親の教育の下、ひたすら上をみて生きてきた。と自信満々に言いたいけれど、ひたすら適当に生きてきた。それでも、自分が頑張った時にだけレベルアップができるし、何も努力なしに人より優れることはできないと当たり前のように思っていた。ゲームを全クリするのだって、レベルアップをしないとラスボスだって倒せるようにならない。そう、人生はRPG。人生は、なんならドラクエ。

適当人間極まりない私が、数年前とある男に出会ったのである。出会ってからすぐに、良く一緒に飲みに出かけるようになった。彼との大きく異なる点と言えば、彼には恋人がいて、私にはいなかった。(たった今、何故全世界に向けて私がシングルであることを公表してしまったのか・・・という問題が絶賛勃発し全私が泣いているが、とりあえずそっと蓋をしてそのまま海に流しておいていただきたい。)

この男、魔法を使うのである。この男、魔法使いサリーちゃんをしのぐ程にマハリークマハーリタなのである(以下、この男をサリ男と呼ぶ)。二人で話している時は普通なのに、集団で行動をすると途端に魔法を使うのである。そう、やはりマハリークマハーリタなのである。

ある日、私とサリ男と共通の友人Bと飲んでいたのである。友人Bがトイレに立った後、サリ男は何故か「この前もちょっと色々あったんだけど、俺、浮気は彼女にばれなければ問題ない派なんだよね。」と言い放った。あれ?いつの間にそんな派閥にわかれて争いをしていたの?ばれなくても問題ある派と、ばれなければ問題ない派?何を戦ってるの?派閥に分かれて何しようとしてるの?それって2大勢力なの?与党と野党みたいに?と、突然の所属派閥宣言に唖然としている間に、友人Bが席に戻ってきた。「何の話ししてたの?」と聞く友人Bに、ふと私が「サリ男が、浮気は彼女にばれなければ問題ない派だって話だよ」と答えたのである。そして、その時、サリ男は呪文を唱えたのである。

「おい、やめろよー。そんな風に言ったら、俺が悪いやつみたいじゃーん」と。

え?あれ???何その強力な呪文・・・マハリークマハーリタが可愛く聞こえるくらい、その呪文強烈じゃない?

さっき、確かに・・・言ったよね?浮気は彼女にばれなければ問題ない派だって言ったよね・・・(震え声)

聞いたままにリピートしたんですけど?あれ?・・・・

状況を把握しようとして少し黙ってしまったその一瞬にして、「サリ男はそんな風に言っておらず、私が意図的に悪意をもって悪く情報を伝えた」といった空気が出来上がったのである。キューピー3分間クッキングより出来上がり早ぇよ。マジ何が起きてるんだよ。まだオープニングテーマ流れてる位の段階だよ。

え?マヌーサ?またマヌーサ????私、マヌーサにかかりやすいの?えっ、てかサリ男もあなたも幻?他の皆にも見えてるの???

きょとんとしながら、ビールをクイッと飲んでやり過ごそうとした時に、またふと強い呪文が唱えられたんだよ。

「あんまりそういうの良くないと思うな?」

え????何、なんなの?殺しに来てる?ナニコレ、ザラキ?何が良くないの?なんなの。お前の浮気の隠ぺいの為に、私殺されるの?なんなの?

その場はとりあえずやり過ごし、その日は帰宅をしたのだが、家に着いた私はもう瀕死状態。なんだったんだろうか、あの魔法使いは。

その後も幾度か一緒に飲む機会もあったのだが、完全にマウントをとられていた上に、周りの印象操作も巧み行い、私への周りからの印象が悪化したところで、こちらからフェードアウトさせてもらったのである。

今でも思うけど、あの時、どうやって返答をしていたら正解だったんだろうか。今でも謎である。

人生はドラクエ。まだまだ修行が足りないのであった。








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