歌が上手いだけで説明出来ない、この感動は何だろう？？

こんにちは！ボイスコーディネーターの日高です。

【音楽がいつも側にあった】

　物心ついた時から、音楽が身近にありました。
特に洋楽が好きだった母や兄の影響で、中学生の頃からずっと、洋楽にのめり込んで今に至っております。

　父だけは、演歌一筋でした。そんな父は同僚や上司の家に私を連れて行き、なぜか皆の前で私が、都はるみの『北の宿から』などの演歌を披露するのがお決まりパターンでした（笑）。

　その頃はまだ4〜5歳の園児だった私ですが、3歳からピアノを習っていた事もあり、大体、2〜3回ほど聴けば覚える事が出来ました。今はそんな素晴らしい記憶力は何処へやら。。（涙）

　当時は小さな子どもが演歌を歌う物珍しさもあって、皆さんに大変可愛がって頂いた上に、常に拍手喝采、更にはお小遣いや頂き物まで。。有難い事に今思えば、ちょっとした営業のようでした。

【歌声に魅せられて】

　私が中学生の80年代頃はアイドル全盛期。ジャニーズのトシちゃんや、マッチ、聖子ちゃん、明菜ちゃん、チェッカーズetc。。洋楽好きの私にとっては、なかなか同じ趣味の友達は周りにおらず、皆に合わせて一緒にキャーキャー言っておりました（笑）。

　高校に入って、Bon Jovi 、A-ha、Van Halenなどのファンをやっと見つけ、一緒にライブへしょっちゅう出掛けたものです。

　
　そして、様々なジャンルの歌声を聴き込んでいくうち、ある女性シンガーの歌声に衝撃を受けました。

　『Whitney Houston』

　世界的歌姫、ホイットニー•ヒューストン。

　当初はとにかく歌が上手い、素晴らしい！！という感動だけで胸がいっぱいでした。

　特に、スーパーボウルでの国歌斉唱。聴いたことのある方は沢山いらっしゃると思いますが、国歌を聴いて涙が出るなんて。。自分でも驚きました。

　何故、こんなにも歌声で感情を揺さぶる事が出来るのか。

　そして、『なぜ？なぜ？』がどんどん膨らみ、更にいろいろな歌声にのめり込んでいきました。

　マイナーであっても心に響く歌声のシンガー、世間で圧倒的人気のミュージシャン、ジャンルを問わず洋楽全般から日本のポップス、オペラ、演歌まで。。

【歌声の不思議】

　いろいろと聴き込んでいくうちに不思議な気付きが浮かんできました。

　技術は申し分ないけれど、何だか心に迫るものがない。『上手いな』『基礎や練習もしっかりこなしてるんだろうな』とは思うけれど、また聴きたいと思うような感動はない。。

　逆に、ピッチも度々外しているし、上手いとは言えないが心に迫る何かがある。また聴きたいという思いに駆られる歌声があるのです。

　そんな中、技術も、感動へ導く何かを持ってる事も、容姿もステージングも、とにかく何もかも完璧に思えたホイットニーはいつの時も、正に不変の歌姫でした。

　ホイットニーのように歌いたくて、ピッチはもちろんのこと、英語の発音、リズム、息継ぎのタイミング。。とにかく聴き込んで歌ってみる。。の繰り返し。そして自分の声を録音してみて、どん底。。の繰り返し。歌えば歌うほどホイットニーの偉大さに圧倒されていました。

　【絶対的歌姫の哀歌】

　ある時期から、ホイットニーが薬物の影響で、表舞台に姿を見せなくなります。

　何とか復活を遂げたというニュースに心躍り、久々に登場した彼女の歌声に、違う意味で衝撃を受けました。

　艶やかで張りのあった声は明らかに弱々しく、高音は辛うじて出るものの苦しそう。快活な印象は消え、肌の色ツヤも別人のようでした。それでも流石にピッチは正確で、元々のセンスが変わらない事は伺えました。

　しかし、あの唯一無二の歌声。。大切な宝物を無くしてしまったようで、本当に本当に残念で仕方がありませんでした。

　元々ホイットニーの発声法は、喉を痛めやすいと言われていました。高音も地声で張り上げる、天性の成せる技。ゴスペルシンガーの母に連れられ、幼少期からずっと、教会で歌う中で自然と培われたのでしょう。

　薬物を過剰摂取した後遺症というのは、私自身が経験していないだけに、実際のところ、声にどのような影響があるのかは計り知れません。ただ、彼女の中のエネルギーが枯渇してしまっていたのは十分過ぎるほど、その声から伝わってきたのです。

　それでもライブやテレビに出られるレベルまで戻す為に、懸命に調整を重ね、相当な努力と覚悟をもって臨んだに違いありません。

　ホイットニー•ヒューストン、享年48歳。もし、今も生きていてくれたら。。世界中で感動を与え続けてくれていたことでしょう。私の耳からあの素晴らしい歌声が消える事はありません。

　

　【人生が作る歌声】
　
　
　皆さんそれぞれ歩んできた道があって、それぞれ経験してきた苦労や喜びがあって、抱いている思いがあって。。そういった全てのエネルギーが、声や歌に反映されます。

　歌の技術が上手いだけでは、人の心に刺さらないというのは、そういった見えない部分のエネルギーが声に大きく反映されるということです。

　私が、『ボイスコーディネーター』と名乗らせて頂いているのは、もちろん、技術的な事も組み合わせてお伝えしますが、一人一人の持ち味、魅力があり、そういった技術面以外の大切なポイントをプラスしながら、総合的に組み合わせていくことで、『あなた』の歌だから、『あなた』の声だから聴きたい、『あなた』を表現して欲しいからなのです。　

　ホイットニー程の波瀾万丈な人生ドラマはないかもしれませんが、皆さんそれぞれ、必ず感動のドラマがあるはずですから。

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