見出し画像

田舎の香水

四月の下旬

スーパーマーケットの駐車場で
車を降りると、嗅いだことのある臭いに出くわす
「ああ、来たな、近いな」
と確認するように呟く

買い物後、帰りに来た道とは
別の道を走り出すと
近くの畑で赤いトラクターが堆肥散布し
ローラーで土壌を混合していた
大きな作動音と共に
うっすらとした白い湯気が舞う

こどもの頃は
すぐとなりに田んぼがあって
長くて二週間くらい
この臭いとお付き合いするのだが
誰もがこの堆肥の臭いを
「田舎の香水」
と言っていた

こどもの頃は
このネーミングが
いかにも田舎くさかったので
好きになれなかった

窓を閉め切り
洗濯物は部屋干し
登下校は口呼吸で家の近くを歩いた

で、この臭いが収まるのが
雨が降った後で
なぜなのかは分からない

ある年、中々雨が降らず
次第に気温も上昇して
さすがにきついなと思った時に
家族揃って雨乞いをしたりするのだ

「はやく雨よ、降ってくれえ」

農家の皆さん
農作業お疲れ様です

どうぞよろしくお願いします。