日本酒の用語で「冷や」というものがあります。

これもよく誤解される言葉なのですが、本来「冷やしたお酒」を指す言葉ではないんですよね。

「冷や」の教科書的な意味

冷蔵庫のなかった時代に生まれた言葉で、温めて飲む「お燗」に対して、温めていない常温のお酒を「冷や」と呼んでいたそうです。

なので、「冷や」は常温のお酒であり、冷やしたお酒については「冷酒」と呼ぶのが正式とされています。

つまり、冷酒と燗酒のあいだの「常温」=「冷や」というのが教科書的な意味です。

「冷や」の実際

でも、やっぱり「冷」という漢字が使われていたら冷たく冷やしているイメージになっちゃいますよね。それが自然だと思います。

現に、(それが正式かはさておき)飲食店などの現場では「冷や」は「冷酒」と同じ意味でつかわれることも多いです。

言葉にこだわる方は『「冷や」って注文したのに「冷酒」が来たじゃないか!』となることもあるようです。

「いいかい?冷やといったら常温(20℃近辺)の意味で、冷やしていたらそれは冷酒というんだ」といったように。

冷やは本当に温度を指す言葉か?

でも、よく考えると、「冷や」のもともとの意味って単に「温めていないお酒」ですよね。

温度帯として常温(20℃近辺)であるかどうかまではそこには含めなくていいんじゃないかな?と僕は思ったりします。

きっと冬は冷たかったり夏はぬるかったりしたでしょうし、それらをまとめて表した、割とおおらか(おおざっぱ?)な言葉なんじゃないかな。

(対して「冷酒」の方は15℃で「涼冷え」、10℃で「花冷え」といった具合に5℃刻みで名前が変わるほど、温度帯をしっかり指定した言葉です)

保管温度と提供温度

そもそも、冷蔵庫が当たり前に普及している現在では、日本酒は冷蔵庫(5℃くらい?)保管されていることが多いかと思います。

そこから出してきたお酒は当然常温より冷たいわけですが、これを「冷や」と呼んでも別にいいかな?と思っています。

(提供のために保管温度から更に冷やしたのならやはり「冷や」ではなく「冷酒」と呼びたくなりますが)

もちろんこの場合は温度帯としては「冷酒」のゾーンに入るので、「冷酒」と呼ぶことには何の問題もありません。

つまり、この場合「保管温度そのままで提供した」という面を強調すれば「冷や」と言っても別に良いし、「提供温度が冷たい」という面を強調すれば同時に「冷酒」であるとも言えるのではないか?という考え方です。

常温の温度帯を指定したければ普通に「常温」といえば良いだけの事ですから、あえて昔のおおらかな言葉を使うのであれば、おおらかに「温めなくていいよ」くらいの意味で考えるのがいいのではないかなと思います。

もちろん教科書的・試験的には「冷や」=「常温」なんですけどね。

(そもそも飲食店さんで冷蔵庫に保管しているお酒を「常温」でと注文するのは酷かなと思います)

まとめ

・「冷や」=「常温」は現代に則していないのでは?

・温度帯を指す言葉は「冷酒」「常温」「お燗」でいいのでは?

・「冷や」は「加温操作していない」の意味でいいのでは?

という感じです。

※あくまで僕個人の見解です

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