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リスニングの秘密…それは「外国人は虫の声に情緒を感じない」ことにあるのかもしれない。

なみのリズムのアサコです。

以前、とある本を読んでいて面白い記述を発見したんです。それは、リスニング学習の大ヒント(になるかもしれない!?)、ちょっとしたネタ。それは何かというと…、

アメリカ人にはセミの声が聞こえない!」というものです。

これがなんでリスニングにつながるのかって?関心のある人は、記事を読み進めてください^^

さて、セミの声ですが…。

「あんなに大声で鳴いているのに、セミの声が聞こえないなんてありえない!」日本人だったらそう思うはず。

でも、外国人の中には、セミの声が聞こえていない人が結構いるようなのです。正確に言うと、聞こえてはいても、認識していない。虫が鳴いているなと認識したにしても、雑音としかとらえない人が多いらしいんです。

下記のサイトを見てみてください。外国の人がセミの鳴き声にどう感じているのかがわかります!

パンドラの憂鬱 海外「日本人に同情します」 日本のセミの鳴き声に外国人がショック

世界の大半の人は、虫の声に情緒なんて感じない…らしい。


私は九州に住んだことがあります。夏になるとクマゼミの声がすごいんです。ヒグラシの鳴き声にはうっとりとする私ですが、さすがに、クマゼミのうるさすぎる声には情緒を感じませんでした・・・^^;

ミンミンゼミ(アブラゼミでしたっけ?)やヒグラシの声を聴くと、夏の楽しかった昔の記憶が思い起こされたりしますよね。特に、ヒグラシにはもの悲しさを感じます。

もしセミがいなくなったら、夏の季節感は大幅にそがれてしまうことでしょう。

これはセミだけの話ではなくて、他の虫についても同じです。日本人は、秋の虫のコオロギやキリギリスの音色にも情緒を感じますよね。しかし、多くの西洋人は、一般的に虫の声を雑音としかとらえないようで…。

西洋だけでなく、世界の中でも、虫の声に情緒を感じる人々というのは少数だそうで、日本人はその少数の部類に入るらしいです。

で面白いのは、このことが言語にも関係がある!ということなんです。

なぜ日本人は虫の声に敏感なの?

そこで疑問がわいてくるわけですが、なぜ日本人は虫の声に敏感なのでしょうか?

そして、なぜ西洋の人々は虫の声に鈍感なのでしょうか?

そのヒントになるのに、
日本人はクラシック音楽をどう把握するか-音楽は何語?-

という面白い本があります。この本によれば、日本人は「音の揺らぎ」に敏感なのだそうです。

確かに、言われてみれば…。

セミの鳴き声の中でも、「ミーンミーン・・・」「カナカナカナー・・・」の、特に、「ー」や「・・・」 の部分に趣を感じているような気がしませんか?

この音に対する感じ方については、音楽を考えるとわかりやすいです。

日本の伝統音楽を見てみると分かるのですが、雅楽にしても演歌にしても、音を伸ばし、ビブラートをかけて音を揺らすことが多いですよね。

音を伸ばし、それを揺らすことで気持ちを込め、表現をする。それが日本人の表現形式なんだそうです。

ちなみにネットを調べてみたところ、「『君が代』は外国人には不思議な旋律に感じる」ということについて説明してある記事がありました。↓

話題:君が代はなぜ外国人には不思議な旋律に感じるのか

日本の民謡もそうですが、日本古来の音楽はメロディーそのものが単純で、音を伸ばす場合が多いです。拍子も2拍子か4拍子しかありません。でも、西洋の音楽は、リズム豊かで変拍子のものも多いです。

それだけ、日本の古来のメロディーと、西洋のメロディーは異なるということ。そしてそこには、民族による音や音楽に対する感じ方の違いが、顕著に表れているということなのでしょう。

音楽の違いは、言葉の違いにも密接に関連している

更に面白いことに、音楽の違いは言語とも関係があるのだとか。

これも上記で紹介した、傳田文夫さんの本に書いてあったことなのですが、音を伸ばしてゆらがせることに情緒を感じる日本人は、日本語においても音を伸ばすことで感情表現をする傾向があるようです。

おしゃべりをしながら気持ちを表現しようとするとき、語尾を伸ばすことってよくありませんか?

「なるほどね」というときにもっと気持ちを込めようと思ったら、「なーるほどー!!」と伸ばして言いますよね。

リアクションの方法として、「えーっ!」とか、「わあーー!」とかいうのもありますよね。

ちなみに、スウェーデン人の前で「えええええーー!!」と言ったら、笑われた記憶があります。私たちにとっては普通のリアクションですが、その言い方が彼女にとってはおかしかったみたいなのです^^;彼女は、日本人の真似をするのにまさにこのリアクションを使っていました。

音のとらえ方のちがいは、英語のリスニングや音楽の習得にも影響している!

さて、問題なのは、こうした日本人の特性が、英語のリスニングの習得や西洋音楽の習得にも影響しているということなんです。

私は、日々英語を教えるという職業柄、リスニングにおける外国人と日本人の音のとらえ方のちがいについて、いろいろ本を読んだりして分析をしてきました。

なので、音を伸ばすことで気持ちを表現する、という日本語の形式にはかなり納得がいきます。

音は、伸ばしたら必ず母音になりますね?

「わーーーーーーー」と言ったら、伸ばした母音は「あ」になります。
「うえーーーーーー」と言ったら、伸ばした母音は「え」になります。

日本語では母音を伸ばして気持ちを表現するということは、私たちは母音に敏感だということなんです。

日本人は明らかに、子音より母音を優先して音をキャッチする傾向が強いです。でも、英語では母音よりも子音の方がずっと多い。そのギャップにより、日本人は子音がなかなか聞き取れないと言われています。

結果として英語のリスニング、つまり英語の音の聞き取りに苦労することが多いわけです。

(母音を伸ばして気持ちを表現することについて、英語でもIt’s sooo beautiful!という感じで、強調して母音を伸ばすことはありますが、日本語の比にはならないでしょう。)

リスニング学習も西洋音楽も、リズムが大事

英語は、音を伸ばすよりも、強弱のリズムとイントネーションで気持ちや意味の違いを表現します。その意味で、英語では音の揺らぎよりも、リズムの方がずっと大事なんです。

英語では、音を伸ばすか伸ばさないかに意味の違いはありません。(※間違いやすいのですが、例えばleaveとliveは、「イ」を伸ばすか伸ばさないかの違いではなく、母音の発音の仕方そのものが違いますので注意。)でも、日本語では「おじさん」と「おじーさん」では意味に大きく違いがあります。英語にはこうした表現の違いがありません。私の知人のアメリカ人は日本語が少し話せますが、「聞いたよ」というべきところで、「きたよ」と言っていました。彼の中では、「聞いたよ」と「来たよ」の差が明確ではないのです。

傳田さんによれば、英語と日本語のこのギャップのせいで、日本人の音楽家は西洋音楽を習得する際にとても苦労するそうです。

日本の表現形式を無意識に用いて、音をゆらがせてしまう傾向があることが原因だそうです。だから、西洋のリズムにうまく乗れないのです。どうしても、リズムに遅れがちになってしまいます。

音楽をやったことのある人なら、きっとおわかりですね!?

私自身、高校生の時に吹奏楽部でオーボエを吹いていたことがあります。気持ちを込めて演奏しようとし、音を揺らがせるということは実際によくやっていました。ほどんど無意識です。でも、それをやると決まって、先生に注意されたものです。当時はなんでダメなのか、全くわからなかったけれど、今なら納得です…。

西洋のクラシック音楽なのですから、日本伝統音楽風に表現してはダメだったのです!!!

変拍子のメロディーにうまく乗るのにもとても苦労しました。これは私が下手だからと思ってましたが、それだけではなかったのかもしれません^^;日本人はそもそも、複雑なリズムが苦手な傾向にあるんですね。

日本の曲って、4拍子の単調な曲が多いですから。それに比べて、ヨーロッパは3拍子とか、ロシアでは5拍子の曲が多いそうですよ。

さてさて、今回の記事では、セミの声の話から語学の話にぶっとびました。でも、実はそこに、西洋音楽や西洋の言葉を習得するヒントがある、ということがわかりましたか?

面白いですよね!

クラシック音楽の習得やリスニング学習のカギを握るのは、日本語と英語の表現形式の違いです。両者の習得に苦労している人がいたら、音の揺らぎではなく、リズムに耳を傾けるようにしてみてくださいね。

リスニングのヒントはまだまだ記事でお伝えしていきますので、応援よろしくお願いします!!!


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