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「どんなものがほしいですか?」5分小説『毛糸川』

水色と白色の毛糸玉を買ってきた。

漠然となにか作りたくなったのだ。

でも買ったきりなかなかやる気が出なくて、机の上に転がしていたら、ポンポンと床に落としてしまった。

急いで拾おうとしたけど、毛糸玉はどんどん遠くに行ってしまう。

私が椅子の上でそれを見ていると不思議なことに、床中に毛糸が溢れて、いつの間にか私の部屋は青と白の毛糸の川が出来ていた。


部屋の壁はとっくに流されて、私は椅子に座ったまま川下に流されていく。

椅子の船は浮き沈みがあり、ゆらゆらとしてまるで観覧車のようだった。

足に触る毛糸の水は初冬だというのにちょろちょろと涼しくて、気持ちがいい。

そのうち私はだんだんと眠くなってきた。


私が目を覚ますと、目の前に毛糸の川が出来ていた。

私はそのマフラーを首に巻いて、寒空の町に出ていって歩き始めた。