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愛も勇気も言葉も母乳と同じで、出さないと体に悪い。

話しかけた自分の声が雑踏にかき消されただけなのに、相手に無視をされたと思ってしまう。
そんな勘違いをしてしまうときは、相当弱っている。
さっき私は弱っているんだと自覚した。自信がなくなっているのかもしれない。
自信って筋肉みたいに、日々刺激を与えていかないと、どんどん減っていくものらしい。

年末に上京し、家も仕事も新しくなった。
慣れるのに3カ月ほどかかり、だんだん職場で「あれ、おもてたんとちがう…」と思うことが増え、もやもやを持て余しているうちに、初夏に体調を崩した。
とにかく体を休めようと、1年半続けたピラティスをやめ、もともと多くなかった外出をさらに減らし、週末はほとんど家で過ごすように。

信頼している人から何気なく言われた言葉に、はっとした。

「どんどん人から離れている気がする。せっかく東京に来たのに」

確かに、活動の8割は家と職場の往復で占められている。
たまに会う友だちも、地元時代から仲が良かった子ばかり(ばかりといっても数人だけ)。
職場から帰ってきたら出汁をとって味噌汁をつくってご飯を炊き、週末には寝具を洗い、気が向けば果実を酢に漬ける生活。
家族と電話したり、ラジオを聴きながら本や「dマガジン」の雑誌を読んだり。なんて気ままなていねいな暮らし…?
いや、なんだかすごくさみしいかも。
私の生活、登場人物が少なすぎないかい、とおののいた。

最近、よく一人でいると、「アンパンマンのマーチ」が頭に流れてくる。
作詞したやなせたかしさんは、
「何が君のしあわせ? 何をしてよろこぶ?」と問いかけ、
夢を忘れず、涙をこぼさないで、と励ました後に「だから飛ぶんだ」と背中を押す。

「いい言葉だなぁ」としみじみしたら、何が自分の幸せで喜びなのか思いを馳せずにはいられない。
心と頭に漂う言葉をとりあえず書き連ね、このお盆休みでようやく手応えを感じた。(それは改めて書こうと思っています)

小さい時に大好きだった「アンパンマン」。
私の贔屓は、しょくぱんまんとかまめしどんだったっけ。
小学生になって時々見る程度になったら、見るたびに「え、また新キャラ増えたの!?」と驚いた。
アンパンマンは、愛と勇気だけを携えて助けを求める人がいればどこまでも飛ぶ。仲間が増えるのは当然だ。

ユーミンが「才能は母乳と一緒で出さないと体に悪い」と言うように、きっと愛も勇気も出さないと体に悪い。
出していないと、出にくくなる。

アンパンマンに導かれ、とりとめもなく自分の内面の言葉を書き出したことには、意味があったのかもしれない。だんだん、出会いたい人たちがいそうな場所へ出かけたくなってきた。
愛も勇気も言葉も、出していたら出るようになってくる。

きっと今は、トンネルの出口付近。
アンパンマンのマーチを登場曲に、ほほえんで次のステージへ向かおうと思う。

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