【コンピテンシーが強力な道標になる時代】

5月末を迎え、今年度の目標設定を上司と既にされた方も多いのではないでしょうか。

組織の中で、ある程度の権限と自由を与えられて活動するには、一定の評価を得ていることが必要になります。

では、評価とはどうされるのか知っていますか?

近年では、人事が職種/階級毎にコンピテンシーというものを定めています。

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「コンピテンシー(competency)」とは高い業績を上げる人材の行動特性のことで、ハーバード大学のマクレランド教授が、1970年代に提唱した人事管理の概念です。 ... コンピテンシーは職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性で、社内の人材育成や評価基準、採用面接などに活用されています。
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それなりに大きな企業であるならば、評価基準を可視化するためにある程度整理されているはず。

じっくりご覧になったことはあるでしょうか?

当然、時代の変化に応じて、コンピテンシーそのものも変化しますので、ここに記載されていることは絶対的ではありませんが、それでも日々の活動の上での道しるべとなります。

にも関わらず、現場叩き上げの人材が職位者になった場合、このコンピテンシー存在そのものを意識していないことは多いに起こり得ます。

そのような中で目標設定面談を行うと、単にその目標は”定量評価できるか?”と一年後の評価の場面を想像した質疑に終わってしまうことが多く、面談そのものに期待する真の効果には遠く及びません。

しっかり読んでもらうとわかると思いますが、人事部は綿密にシミュレーションし、組織の求めるコンピテンシーを明文化していることに気づくはずです。この理解を元に、定められた期間での目標とアクションプラン、そして達成基準を明記することは、あなた本人の一年の計を立てること他なりません。それができている人とできていない人の行動と結果の質に明らかに差が出るのは疑いのない事実です。

人は反射的に思考し、行動してしまう生き物です。それはThinking Fast & Slowのような名著にも詳しく記載されています。
反射的に生きているだけでは、スマートには生きれません。

【人からシステムへの拡張】
さて、次のコンピテンシーで語る対象を人からシステムに変えてみましょう。

私は現在R&Dに所属していますので、ステージゲートについて考えてみたいと思います。

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ステージゲート法では、開発プロセスを複数の「ステージ」に分割し、次のステージに進むにあたり、一定の要件がクリアできているかを評価する「ゲート」を設置します。最終的に、ゲートを通過した製品を市場へと投入するのです。
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ステージゲートは、実験室のアイデアレベルのテーマを事業テーマとして認定するまでにクリアするべきゲートで、近年は事業寿命の短命化や、競争の激化によりR&Dの加速が求められています。
大きな意味でのR&D(イノベーション)のマネジメントの観点から、このステージゲート数を細かく設定し、会議の回数が増える傾向が見られる場合があります。
しかし、単にチェックを細かく入れたら良いかというと、もちろんそうではありません。もし仮に、その事業の肝となる技術の評価のチェックポイントがきちんと定まっていない場合、そのプロジェクトに関わる人の熱量を会議によって散逸させていることすらあります。

ここで言及したいのは、人材に対して階級毎にコンピテンシーを定めているならば、このゲートに対しても各ゲートで求める技術およびその他の項目に対して、明確なチェックポイントを企業として持つことが重要だということです。

ここでは技術に的を絞りますが、技術の判断をする人は必ずしも技術者とは限りません。むしろ技術者でない方が多い。しかし、世の中で事業構造をどんどん変えながら成功している会社は必ずこのステージゲートの各ゲートで求める技術レベルのチェックポイントを有しています。

私はここに切り込むのがR&Dに在籍するこの数年の大きな目標の1つです。その成功事例は自身のテーマで作り上げたいと思います。

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