組織開発の要点【成果の測量】 (後編)

組織開発の要点シリーズ最終回です。

ビジョンとマイルストーンは決まった!ではその後どう実行に移し、活動を継続させていくのか?という際に活動の成果を測る”指標”の設計が必要だというお話をしていました。(前回)

世の中には、活動指標(先行指標)、成果指標(結果指標)という概念がすでにあります。

【意外と難しい指標決め】
活動指標を採用すれば、積み重ね型の右肩上がりの成長を測量によって表現できます。しかし、組織規模が大きい場合には各課置かれた事業環境やスタートラインが異なる為に、具体的な活動を定める上で苦労します。

一方、成果指標はいわゆる外向けの指標です。
労働災害ゼロ、トラブルゼロ、といった製造業でよく示されるゼロ目標や、固定費〇〇%削減といった目標が並びがちです。ゼロ目標は一度でも案件が発生してしまうと目標未達となり、事案が発生してしまった後のモチベーション低下あるいは隠蔽を招きがちです。また削減目標は基本的に削減代が大きな項目から取り組まれますので、どんどん削減余地が小さくなり自らの首を締める形になります。

積み上げ型の活動指標の先に、成果指標が達成されるケースが理想的です。が、組織が大きくなると、推進室で全てを一元管理するのは困難になります。だからと言って成果指標も活動指標も各課管理にすると、全体で実施している一体感が生まれません。

【”意識指標”の考案】
そもそも指標はなぜ必要なのか?それは「掲げたビジョンとマイルストーンを定期的に思い返したり、目標に対しての現在地を意識してもらう為」です。であればその意識レベルの状態を測量すれば良いのではないか?というのがアイデアの発端です。

測量頻度はいくらが良いのでしょうか。人が変化を認知するには3点以上のプロットが必要ですので、四半期に一度ぐらいが良いと考えています。世の中の人事評価も、年1回から年2回、そして四半期に1度のペースへと変化し、小さくPDCAを回すスタイルが主流になりつつあります。それに呼応したシステムにしたいなと。

【現場課長へのヒヤリング】
最も繁忙感の高い製造課長3名に、意識指標の導入とその測定手法についての素案を整理し、ヒヤリングを実施しました。その反応は半分想定通りで半分想定外。私の考える理想の形で直ちにシステムを導入することは難しいことを悟りました。その理由に触れることができたのは私が組織開発に従事して最も良かったことの1つであり、性質上このNoteで表現することはできません。しかし、今回の中期計画策定と実施の成功云々に関わらず、今後の人生で打破しなければいけない大きなテーマであることは間違いないです。

【部長検討会発意の結末】
ヒヤリング結果を反映し、受け入れ可能な形で意識指標とその測定手法を提案しました。細かな運営手法は別途調整が必要なものの、事業所全体で取り組んで行くことが決定しました。
自身のステージ変更により、私が関与するのは一旦ここまでとなります。
発意者と実行者が異なる形となりました。

【人の流動性の高まる組織の中で】
最後の数週間は、キーマンとなる方に今後を託す活動を展開しました。
「いくらいいものが出来ても、それを実行する人が納得しないと棚上げ状態になるのが世の常だ」組織のトップである事業所長の言葉です。
私に限らず、おおよそ3年周期で人は移動し、組織を構成するメンバーは入れ替わっていきます。そのような状態の中で、「先人の残した作品を受け継ぎ、ブラッシュアップしていきながらさらに高みを目指す組織にするには何を意識すれば良いのか?」は常に意識していかなければならないでしょう。

自身の関与は一旦終わり、と表現しながらも前任者のフォローは必要だと思いますし、その頻度とやり方については今も考え続けています。

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