組織開発の要点【成果の測量】 中編
前回、成果の測量指標について考える対話は波乱を引き起こしたお話をしました。今回そこからのリカバリーのお話になります。指標は人々の行動にも影響を与えることをあらためて感じとったとき、その制定の難しさを思い知りました。その当時の心境は以下のツイートが示しています。
経営は人、事業は人。雇用のポートフォリオは時代と共に進展し、人材の流動化が進んでいます。このツイートは、今の組織開発活動が人事制度評価へも繋がっていることを意識したもので、人材とその雇用形態が多様化するにつれて評価制度も変化するのは必然であることを意味しています。HR界隈のトレンドを見る限り、これが正確!と人事評価制度というものは今の世には存在しません。つまり、人事制度とまではいかなものの、活動の測量指標を作ることは、それぐらい難しいことなんだと自覚した瞬間でした。
もう少し具体的に書くと次のような心境です。
・MVVを描き、ビジョンに至るマイルストーンを描くというのは、バックキャストなりフォアキャスト、ある程度ポジティブな想像力とフレームワークを活用すれば、ファシリテーターの存在下で比較的ロジカルに実施できる。
・しかし、そこに至る進度を測る“指標”を考えるのはその具体的な算出方法も意識しないといけないし、ある期間での人々の行動に影響を与えるためにその帰結についても考慮しなければならない。
・そういった意味で考慮すべき内容は膨大であり、ロジカルに積み上がらない可能性が高い。これをかといって、「アートだ!」といってごまかす気もない。
・ただ、この達成度合いの計測の難しさが、組織開発が上手くいかない大きな要因かもしれない。ビジョンはみんなでワークショップを作って決めた。でもそれで?と後が続かず頓挫する例が多い。
さて、この前後で前に進むためにたくさんの寄り道をしています。今思えば”成果の測量”という観点では決して最短コースではない思考錯誤でしたが、個人的には新たな分野との出会いを楽しみました。その1つは社会科学のお話。
組織開発の対象規模が大きくなるにつれて、直に会議で対話する幹部メンバーだけでなく、そのメンバーの後ろにいる何十人もの従業員の方々を意識する必要性を何度となく感じていました。
人の行動に影響を与えるものに、組織文化がありますが、その組織文化の上位概念(として僕は考えてみました)である、社会規範・世論というものはどのように形成されていくかに興味を持ち、文献を読み漁っています。
そして、MBAで学んだ行動経済学との関連をここで思い出しました。
そして、ナッジについて思いを馳せます。
後に、指標の一環としてサーベイ手法を思いつくのですが、そのサーベイの質問文を考案する際、ナッジを取り入れたメッセージの選択を意識しました。経済産業省でもMETIナッジユニットを2019年に結成しており、比較的新しい分野です。
はい。寄り道はここまで。
この段階では何を具体的な指標にするかは、まだ定まっていません。
世の中では、活動指標、成果指標という言葉が市民権を得ていることは様々な文献を読んで頭で理解しました。
でもそのような指標では、各課置かれた事業環境やスタートラインが異なる事業所では上手く機能しないのは自分の中で明白でした。(だから行政も困っているんだろう)
そこで初心に戻り、「なぜ我々は指標が必要なのか?」を再度考える時間を設けました。そう、ブレイクスルーはここにあったのです!!!
続きは次回に。
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