MBA生活振り返り2018年7月 〜交渉術〜

こんにちは、組織のChange Agentを目指すMasamiです。NUS(National University of Singapore)でのMBA振り返りシリーズ12回目です。 

他大学へのExchange Programを経験し、NUSの強み・弱みを認識することができました。ネゴシエーションのクラスでは学びがたくさんありました!今もかなり意識しています。

それではどうぞ!

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 概況
NorwayでのShort Exchange Program@NHHのグループプロジェクトが無事に完成し、シンガポールに戻ってきました。NUSMBAでNegotiation and Conflict Managementの授業を取りながら、学業の妨げにならない程度の頻度でインターンシップを続けています。新制度での社内一般留学内定者とMBAとは何かについてお話しました。

 Short Exchange Program at Norway
NHHでのSummer Schoolでは Natural Resource Management: The Norwegian Model のコースを受講して、我々のグループプロジェクトは “The Potential Role of Norwegian Hydro-Based Electricity as a Battery” というテーマでした。ヨーロッパが太陽光発電や風力発電のような再生エネルギーに力を入れれば入れるほど、電力供給のピークに偏りが発生していますが、ノルウェーの持つ豊富な水資源をバッテリーとして活用することで、この課題を解決しようというアイデアがあります。具体的には、風力や太陽光で発電された余剰電力をダムに設置されたポンプの動力として活用し、下流の水をダム上流に組み上げを行います。一方で夜間や風の吹かない時間、すなわち太陽光や風力発電が機能しない時間帯に、水力発電を行い、電力供給のばらつきを抑えるというものです。
チームメイト4名で、このアイデアのメリット・デメリットを精査しながら、ノルウェー政府がどのようにEU諸国からの要求に答えて行くべきかについて提案を行いました。評価はプレゼンテーション(20分+質疑応答5分)とレポート(本文で3500-4000word:A4 10枚程度ボリューム)の両方で行われました。
これまで口頭でのプレゼンテーション機会は恵まれていたものの、真面目に“レポート”として仕上げる機会は少なく、情報の引用のルールなどで私の理解が足りていない点があり、欧米から参加しているチームメイトにフォローしてもらう場面が何度かありました。彼らは剽窃に携わることを回避する為に、剽窃チェッカーなども日常的に活用しており、意識の差を感じました。MBAホルダーの基礎スペックもアジアと欧米の大学卒業者の間では違いがある可能性があります。

 Special Term2 クラス
Negotiation and Conflict Management
NegotiationではCoursera というオンラインサービスで受講したことがあり、おおよその予備知識はあったのですが、理論だけでなく、より実践的なスキルを身につけることを受講目的としました。
クラスの構成もNegotiationがメインで、1対1、2対2、4対4のNegotiationを数多くこなします。シチュエーションやテーマも豊富であり、例えば、1)待遇の交渉 2)売買 3)エージェントとしての交渉 4)労使協定などがあり、毎回違った学びがあります。
特に印象的だったのは、労使協定に関する3度(x年、x年+3年、x年+5年)に渡る交渉です。私のチームは労働組合側で、1回目と2回目は関して他のグループよりも高い条件(福利厚生、賞与、ベース賃金等)で合意を得ました。しかし、2回目にやや強欲なネゴシエーションの進め方で利を得過ぎた為に、Management側から感情的な反発を買い、3回目の最もシビアな交渉に置いて、マネジメント側から妥協点が引き出せず、交渉決裂(→ストライキ)になってしまいました。
情で訴えることは、交渉手段の1つではありますが、何度も顔を合わせる相手に対しては、逆効果になること。アンカリング(一発目の提示で高い基準を定めて、心理的な基準点を作る)も複数の交渉項目がある場合には、不適切であること(単に強欲と捉えられる)を学びました。テクニックに捉われず、コンテキストを正しく理解することが大事です。
また、相手のBATNA( Best Alternative to Negotiated Agreement)を見誤ると、間違った戦略を立ててしまい窮地に追い込まれることを経験しました。相手の出すシグナルを見逃さず、交渉中にも修正する柔軟性を持つ大切さがわかりました。特にチームで議論する際には、一種のグループ心理が働いてしまうので、チームとしての前提の見誤りを発覚した際に、どう他のチームメンバーとコミュニケーションをとって正しい方向に持って行くかが重要であり、また難しい点であると感じました。実際に、相手のシグナルを察知できず、事前に協議したチーム方針に固執したチームメイトが、交渉を難しくした場面がありました。ブレイクタイムを提案して、相手のいない場で立て直しを図る能力も大切です。

 Internshipの状況
継続して日本M&Aセンターのシンガポールオフィスで働いています。6月末から現地採用者3人ほど新たにオフィスに加わり、賑やかになっています。
私は主にシンガポールというマーケットの魅力を日本のお客さんに伝えるための資料作りを担当し、シンガポール政府が提供するData Source(GDPとその内訳、各産業のトレンド等)や、一般公開されている2018年度国家予算資料を参照しながら、今後シンガポールのビジネスはどうなっていくのかについて整理しました。
M&A案件については、建設業、建築デザイン、食品製造・販売、自動車リース等、幅広い業界についてこれまで関わり、SPEEDAで各種業界の状況、トレンドについて理解を深めながら業務を行なっています。正直、SPPEDAを活用すると会社概要、財務諸表(B/S、P/L、C/F)、詳細財務(原価明細、借入明細など) 、IRデータの入手に加えて、競合会社との比較が非常に手間なくできるとは知らなかったので、新鮮な驚きでした。導入価格については知る立場にはありませんが、経営企画に携わる部署は初期リサーチの効率性を上げるために導入を検討する価値があると思いました。

また、個人的には従業員の思想をヒヤリングするのが面白いです。日本からタイのマーケットを開拓するためにシンガポールオフィスに来られた方は、日本ではM&Aの仕組みがほぼ構築されつつあるので、日本のマーケットでのM&A“仲介者”として付加価値は下がっていると考え、まだ仕組みの整っていないアジアに自分の付加価値を求めていると話しており、非常にエネルギーを感じました。“付加価値”を意識して行動されている方はインプットの質も高いです。
シンガポールでは転職による給与アップが一般的なので、3−4年のスパンで仕事を変える人が多いです。前職がKPMG(コンサルティング会社)という方は、仕事の質に加えて、自身の持つネットワークを重視されています。良い仕事をして、良い関係を続ければ、自然と良い案件に恵まれる(紹介される)。良い案件を持つと、新しいクライアントと出会う可能性が高まり、また活躍の場が広がる。プラスの循環に自分が入れるように行動されています。

 新制度留学制度候補者との対談
新制度で留学候補生に選ばれた方からコンタクトがあり、Skypeでお話しました。出発点が自らの意志ではなく、上司からの指名ということで真に内側から沸き起こるモチベーションを得るには時間がかかる印象を持ちましたが、MBAとは何かについて、自身の体験談を語って参考にしていただきました。
会社としての意気込みを感じ、自身の活力にもなった時間でした。毎月作成しているこのレポートも、MBA留学の一例として、今後フル活用できれば嬉しいです。

 データサイエンスと機械学習の勉強会
今月度の日本人MBA学生でデータサイエンスと機械学習の勉強会は1度だけの開催となりました。求める技術水準やアプリケーション先が異なると、取るべきステップも当然異なるので、勉強会というよりも、各自の学びのシェアにとどまる可能性が高いです。自身も具体的なテーマ設定がボヤけているので、現状、動機付けに弱い状況です。

 来月からの予定
8月からは2年目に突入です。新しく2018 intakeの仲間がNUSMBAに入ってきます。第3セメスターに入り、私は3つの選択科目を取得し、この単位が無事取って12月に卒業となります。インターンシップも学びがある間は続ける予定です。
また、8月7日(火)に前の職場に業務(昇級面談)として一日訪問できる機会をいただきました。配慮に感謝しつつ、皆さんと会えることを楽しみにしております。

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以上です。

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私のプロフィール。振り返りシリーズ初回前回号。次回号。MBA総括

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