マガジンのカバー画像

古典ノベライズ

53
運営しているクリエイター

#創作

蟷螂の斧(古典ノベライズ前編)

 昔々の昭和の頃に。  斉田町に住む荘介と言えばこの辺りで知らぬ者はいない、いわゆる札付…

虎穴に入らずんば虎子を得ず(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ から続き)  その後のいわゆる急転直下は、いま思い出しても僕にはなかなか信じる…

虎穴に入らずんば虎子を得ず(古典ノベライズ前編)

「え、僕が付き添うの?」  祖母に監視を頼まれて、祖父が競馬場へ行くのに付き添うこととな…

漁夫の利(古典ノベライズ後編)

(昨日から続き)  スーパーマーケットの中年男性は、特売の鶏肉を手に持った老人の依頼をや…

漁夫の利(古典ノベライズ前編)

 ちょうどスーパーマーケット勤務の中年男性が、黄色に赤字の割引シールを貼るところだった。…

推敲(古典ノベライズ後編)

(昨日から続き) 「きゃ!」  歩きスマホでごめんなさい。  ボーっとしていて、どうやら…

推敲(古典ノベライズ前編)

 あたしは自宅の最寄り駅で電車を待つ寸暇をも惜しみ、手元のスマ-トフォン端末で、推しのライブ映像を見ていた。  人類の全歴史、洋の東西、性別、なんなら犬や猫や馬といった他の種族、あるいはイラストもしくは小説の中だけの存在、はたまたアニメやCG、神話の中の、そのどの存在よりも理想的な男性。  それがあたしの推す地下アイドルの【カンダユウキ】君、通称「ゆーくん」だ。  詳細な形容はしない。  ≪美≫そのものは形を持たないイメージだから、人間の言葉では絶対に説明しきれないの。  

蛇足(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ から続き)  それから50年が経った。  還暦まで会社を勤め上げた武彦は、部下た…

蛇足(古典ノベライズ前編)

 ぽっちゃり気味の小学4年生・太一は、オーバーオールの良く似合う、絵の得意な男の子だった…