『宇治拾遺物語』絵仏師良秀02(原文、単語、訳)
【原文】
「あはれ、しつるせうとくかな。年ごろはわろく書きけるものかな」
と言ふ時に、とぶらひに来たる者ども
「こはいかに、かくては立ちたまへるぞ。あさましきことかな。もののつきたまへるか」
と言ひければ、
「なんでふもののつくべきぞ。年ごろ不動尊の火炎をあしく書きけるなり。今見れば、かうこそ燃えけれと、心得つるなり。これこそせうとくよ。この道を立てて世にあらむには、仏だによく書きたてまつらば、百千の家もいできなん。わたうたちこそ、させる能もおはせねば、ものをも惜