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日々考えている事のキレハジ

 ミュージックチャージというのは、要するに形の無い当日券のような物で、ジャズのお店なんかに行くと2〜3000円は支払う事になるわけです。大抵はそれプラス飲食代という事になるわけですが、お店によっては別途テーブルチャージが付いたり、飲食代がシンプルに高額というケースもあるわけなので、下調べせずに行くと「なんじゃこりゃあ?!」という金額になっていたりするかもしれません。かといって、コーヒー一杯だけで居座っていたりするとお店の人が嫌がる場合も当然あるわけなので、ミュージックチャージが3000円前後の場合は、最低でも5000円は使う事になると思っておいて間違いないと思うのです。
 現代のジャズミュージシャンのほぼ全員が受け取るライブのギャラですが、それは大抵の場合「ミュージックチャージの何割か×動員数÷出演者数」という事になります。これをチャージバック制といって、要するに歩合制です。そして、動員数に関わらず定額のギャラが支払われるライブの仕事もあります(ギャラ制)。 大きく分けるとこの2種類が主流なのですが、ミュージックチャージ制なのかギャラ制なのかは、お店によって違うと言って良いと思います(もちろん例外も多くありますが)。俺がこの仕事を始めてから約20年になりますが、15年前はギャラ制のお店が7割で、ミュージックチャージ制のお店は3割程度だったと思うのですが、現在はその比率は逆転しているように思います。
 今年計画していた事がいくつかあります。以前やっていた企画やチームを再始動させたり、フェスを開催するという計画もありました。春頃から順次始めていって、ジャンジャンやってこうと。 しかし、コロナウィルスの影響で、ほぼ全てがおジャンになりました。残念だけどしょうがない事なので、準備だけ進めています。いつできるのか…。
 
 ここまでなぜお金の話やら下世話な事を色々と書いたのかというと、大きな壁の存在をいつも感じてきたからなんです。
 30代の後半に、今の人の感覚に合う面白い事を面白い人を巻き込んでやれないかな〜と考えて、色々と企画をやりました。テスト的な部分が大きかったので、確かに荒っぽい部分はありましたけれども、感触は良かったと思っています。ただ、やはり予算をどう組むかというところで、いつもグッタリしていました。当たり前ですが、結局ミュージックチャージ的・チケット的な物が予算の大半を占めるわけで、(細かい経緯は省きますが)これじゃあ根本的に何にも変わらないじゃないかと思ってきました。個人の人気不人気や宣伝手段ついての問題ではなく、全体の骨組みに問題が出てきていると感じています。

 ミュージックチャージというものが、新規のファンの方との間にバリアを作っている部分があります。今の世の中、5000円払えば他にも楽しめるコンテンツはいっぱいあるわけです。果たしてミュージックチャージ制っていう"物差し"が、今の感覚に合っているのかな?と思っています。もちろん全面的に撤廃すべきだ!と思っているわけではなく、来ていただくファンの方々にとってある程度ライトな感覚で楽しんでもらえて、余暇の過ごし方として気楽に選んでもらえる物として受け入れてもらうには、新しいビジネスモデルのような物が必要な気がします。


 ここまで書いた話はあくまでも入口の話に過ぎないので、これだけでは説明不足です。実際にはもう少し複雑ですし、一口にミュージシャンと言っても仕事にも働き方にも様々な形態があるので、理解されにくい部分はあるだろうと思っているのですが、ジャズのライブシーンに限定して考えると、今とこれからのための「新しいビジネスモデル」が必要です。何か一つあれば、シーン全体がブワッと息を吹き返すと思うのだけど。誰かそういう分野に強い方はいないものだろうか…という話。

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