廣瀬みちるちゃんと宅間善之くん生配信ライブ

船橋coquelicotのライブ配信をはじめて、はや数ヶ月。自分の機材を持ち込んではいるものの、あくまでお店の配信なので俺の方から色々と書くこともせずにいました。
 とはいえ、新しい出会いがあったり、久しぶりの顔も見れたりと、自分にとっても良いことが色々とあったりします。船橋の店とはいえ、関東一円の素晴らしいミュージシャンが毎晩ライブをやっているこの店は、オープンしてまだ間もないものの少しずつ愛されるお店になってきました。コロナのこの時期にあっても頑張って踏ん張っています。
 まあそういう話は置いておいて、せっかくなのでここで内容の特に素晴らしかったライブ配信を紹介しようと思います。
 忖度無しの「なみへい基準」でオススメしたいものを、解説込みでご紹介します。生配信をご自宅で楽しんでいただける時代になっちゃいましたので、せっかくですからジャズの楽しみ方なんかも添えておきます。ぜひご一読を。

【見どころ解説】
 宅間善之君は、同い年です。そして、現在の日本の若手〜中堅どころのヴィブラフォン奏者として、一流の演奏家という評価を受けているナイスガイです。実際に彼の生演奏を聴いたのは、15年ぶりくらいなのですが、噂に違わぬ実力です。
 そして、廣瀬みちるちゃん。もはやちゃん付けをするようなキャリアでもないのですが、性格の良さ、品の良さ、美しさ、演奏力の全てを高いレベルで持っている数少ないピアニストの1人です。
 彼らについて褒めすぎのように見えるかもしれませんが、全く忖度無し。

 演奏の見どころはというと、特に目についたのは宅間くんのペダルの素晴らしさ。残響とかサスティーンとか言いますけれども、ヴィブラフォンは残響の長い楽器です。音がよく伸びる。そしてパイプの上の方(鍵盤の裏側あたり)に回転するファンが付いていて、終始くるくると回ることで、残響にヴィブラートが付いてより美しい音色になっているわけですが、その残響の長さのコントロールが素晴らしいなあと思います。
 アンサンブル的な観点でいうと特に、スペースってものすごく大切なんです。宅間くんはスペースを細かくコントロールすることで、みちるちゃんのピアノとのシンクロ感を巧みに表現しています。シンクロ感ってものすごく大事で、大きい音を出すとか、派手な演出的展開を作るとか、そういうことよりはるかに大事だと思います。そういう事をあの演奏の難しそうな楽器で涼しい顔をしてやっている感じが、彼の彼たる所以かなあと思われます。(アンサンブルとは関係ない部分ですけれども、後半冒頭の宅間くん1人の局面での演奏で、残響を意識的に『グッ』と止めているところがあります。ああいう判断が、後に続く演奏の可能性を広げるものだと思います。)
 そして、みちるちゃんはバランス感覚が卓越してるなあと思います。エキサイティングになる局面でも、しっかり大人の顔で手綱を握っている感じで。そして、配信を前提とした演奏への配慮も素晴らしく、音量の強弱についても高い意識で演奏してくれています。まったりしすぎず、ストロングスタイルになりすぎず、それでいてしっかりと展開をつけた演奏なので、かなり楽しめます。
 他にも色々と特に素晴らしい部分があるのだけど、演奏についてはこの辺にしておきますが、2人の会話や振る舞いもとても安心感のある空気を作っていて、比較的に客席との距離の近いこの環境では丁度良い感じだなあと思います。なんだか上品で、みんなが大好きなこの感じ。結果的に、ライブを観戦しているお客様方も良い感じなんだよな〜。そういうもんですね、やっぱり。

 色々と小うるさく書きましたけれども、楽しんでご覧いただく一助にしていただければ。即興で様々な判断をしながら演奏する比率の高い「ジャズ」には、囲碁や将棋にも似た駆け引きのようなものがあります。そういう部分でも面白がって聴いてもらえると、より楽しんでいただけるはず!ぜひ!

【大切なお知らせ】
 ライブ配信をご覧いただくにあたり、お店への支援の意味も含めて「投げ銭」をお願いしています。本来ならば一定の料金をいただくようなシステムにするべきでもあるのかもしれませんが、現状あるシステムや法整備ではなかなか判断の難しい事が大いにあります。今後、もっと良いシステムができてくると良いなあと思いつつ、ご協力をお願いいたします。

「コクリコット河村留理子PayPal」→https://www.paypal.me/coquelicotlulu

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