BTS（防弾少年団）、そして韓国への想い。

週１で通うテニスコートへ向かう途中、必ずBTSのアップテンポな曲を聴く。
「Dynamite」を聴くと踊りたい衝動にかられる。
最高にテンションがあがってくる自分に酔っている。
BTSのパワーとリズムを駆使し、私はテニスを全力でプレーする。

そして、テニス後の疲れた身体をいやしてくれるのもBTSのミュージックだ。

”Life Goes On”という素晴らしい楽曲で「Chill out 」する。

Chill outは20年前から使われていた言葉である。
夜中のクラブで強いリキュールを飲み激しくダンスした後、朝方に穏やかな音楽を聴ききながら水を飲み、ソファーでだらりとリラックスした時間。
頭を冷やし落ち着かせ、穏やかなローテンションな気分を楽しむことを「Chill out」という。

最近の若者は「チる。」というらしい。

それにしてもBTSの ”Life Goes On” はBTSメンバーのコーラスやアコースティックギターサウンドの心地よさ、悲しみとあたたかみの調和した歌詞、すべて完璧に近いサウンドである。

「予告なしに止まってしまった世界」
「足跡が消された街」
「見えない出口」

これらの歌詞は新型コロナで変わってしまった日常を生きている、今の私たちの心を見抜いているかのようで悲しくもある。

しかし、BTSは”日々は続いていく”というずっしりと重くとも暖かいメッセージを投げかけ、未来に向かって手を差し伸べる。

BTSは2021年ビルボード・ミュージック・アワードで4冠を達成した。
彼らの本物のクオリティーは世界のミュージックシーンを制覇したのだ。

私は同じアジア人として本当に誇りに思う。

BTSの音楽やNetflixにおいての上質な韓国エンターテイメントを楽しんでいる現状とは裏腹に日韓関係は冷え切っている現状である。

過去にBTSのメンバーが原爆のキノコ雲のTシャツを着ていたニュースをみた時はさすがに日本人としての民族感情を抑えきれない自分がいた。

以前もBTSはナチスに似た服装でパフォーマンスをして問題になっていた。

そう、彼らは別に韓国の愛国史観にコミットして原爆Tシャツを着ていた話ではないと考えられる。

「過去の負の歴史なんて俺らにとっちゃ、単なるファッションのネタですよ。」

こういう価値観を表明しているのだ。

これはトランプ政権においてのQアノンやオルタナ右派といった勢力が支えた価値観と同じであり、歴史をファッションとして扱うことはグローバルに公認されている。

アメリカでの調査では若年層が民主主義に対する誇りが低く、逆に権威主義への憧憬が高い。
それは彼らがファシズムや共産主義といった「民主主義ではない体制」を知らない世代だからである。

BTSはミュージックシーンでアメリカの若者の心をつかむため、負の歴史をファッションに取り入れたマーケティング戦略の一つだったかもしれない。

しかし、BTSの楽曲が素晴らしいものには変わらない。
ナチスとヒットラーを信望したワーグナーの音楽が美しいことと同じように。

ただ私は一人の日本人としてBTSのメンバーにこのように話したい。

「その日本に落とされた2発の原爆キノコ雲の下には約7万人の朝鮮人の方々がいて、うち4万人が被爆死したことは知っていて着ていたのかい？」

「もちろん学校では教えてくれない事実だから、知らないだろうね。
でも、、日本が朝鮮を統治していなければ、広島と長崎にもそんなに多くの朝鮮人の方々がくることはなかったことも事実だよ。
その批判は受け止めるし、いち日本人として謝罪いたします。」

私はネトウヨのように韓国人の反日感情に反応しない。

Netflixの韓国ドラマを見続けていくうちに、朝鮮の人々が持つ「恨」という根強い意識を学んだからだ。

古代から漢族や蒙古族の支配されてきた歴史があり、16世紀の豊臣秀吉の朝鮮出兵や、その後は清の侵攻を受け従属し、日清戦争の戦場となり、日韓併合により日本の植民地となった。

それは長年の他民族による支配を脱することができなかった恨み、悲しみ、憤りだ。

それは日本に向くと同時に韓国の支配者層にも向けられている。

このような長年にわたり、韓国人の心に染み付いた「恨」の感情を理解せず韓国と向き合うことはできない。

1965年の日韓基本条約において合計して8億ドル（現在価値で1080億ドル）を韓国へ支払っていても、徴用工や慰安婦問題は平行線をたどるだろう。

お金では「恨」の感情はおさまらない。

しかし、これからの日本少子化や産業の未来を考えると隣国の韓国との経済的・文化的交流は大きな希望である。

日本と韓国が様々な分野(特に半導体)で連携することができれば、中国やアメリカに依存しない東アジアの経済圏としてお互い豊かさを享受できるのではないか。

もともと古代朝鮮半島の南部の任那（みまな）という国は日本人（倭人）が暮らしており、朝鮮半島の優れた技術や文化、仏教は朝鮮との交流で伝えられた。

そして、百済という朝鮮の国が滅亡した際には、多くの百済人が日本へ移住し帰化した。

DNA鑑定が気軽にできるようになれば、自分自身の中の朝鮮半島系の割合などすぐ出ててくるだろう。

特に、山口県や鳥取、島根の人々からは朝鮮半島系の割合が多く出てくるに違いない。

山口の長州藩の人間は論理的で激昂しやすい傾向が歴史的にも証明されており、朝鮮の血が多く含まれている可能性が高い。

また、出雲の阿国に代表されるように出雲には朝鮮系美人が多いとされている。
王朝時代から京都のお公家さんたちは、女奉公人を出雲から呼ぶ伝統があったという。

韓国は儒教の国である。

日本人が韓国の人たちに対して尊敬の念と礼儀をわきまえた態度で接していけば、日本人への「恨」の感情を少しでもやわらげることかできるのではないだろうか。

K-POPや韓国ドラマが当たり前の日常になった日本の若者が、古代から近現代にかけての日韓の歴史をより勉強し、新たな日韓の未来が開けていくことを祈りたい。

コロナが終息したあと、私と妻はソウルへ旅行に行くだろう。

伊達公子さんオススメの韓国の定食屋さんで韓国料理をめいっぱい堪能するのが目下の目標である。

司馬遼太郎先生のこの「韓のくに紀行」は是非読んでいただきたい。
司馬先生の愛のこもった韓国人論(それは同時に日本人論)であり、アジア論であり文明論でもある。

街道をゆく ２　韓のくに紀行