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祝‼️川崎フロンターレ優勝! 「ウチダメンタル」から選手のメンタルについて考える。

我らが川崎フロンターレは歴代最速優勝に並び、4試合を残して2年連続4度目の優勝が決定した。

さすがに4度目となると我々サポーターも優勝慣れしてしまい、2017年の初優勝のときのような興奮に包まれた熱狂はなかった。
選手もサポーターも含め、かつての鹿島アントラーズのような「常勝軍団」のメンタルがついてきたとも言える。

その鹿島でプロデビューし、日本代表、ブンデスリーガのシャルケにおいて不動の右サイドバックとして活躍したウッチーこと内田篤人さんの以下の本について書いていきたい。

私は毎週かかさずDAZNにて「Atsuto Uchida’s FOOTBALL TIME」というウッチーの番組を観ている。
ウッチーは番組内でも彼自身のメンタルについての考え方を語り、その思考法はアスリートだけでなく一般人にも有効だと思えた。
この本を読んでよりウッチーという人間性、アスリートとしての思考法をより理解できたように思う。

私が参考にしたのは以下の3点である。

ウッチーが考えるメンタルとは
✅メンタルとは強弱ではなく、上下である。
✅メンタルで大事なのはなるべく感情の上下する振れ幅を小さくし、一定にすること。
✅良いことも悪いことも想定内に入れ、感情を入れすぎない。

ウッチーのメンタルメソッドはあらゆる感情の振れ幅を少なくすることの一点につきる。
言い換えると、最高の瞬間や最悪の事態に一喜一憂しないこと。
優勝した時でさえ歓喜の感情をセーブするということになる。
それは人生のあらゆる彩りというものを失くしてしまうことであり、生きている実感を押し殺すような過酷なメンタルマネージメントとも言える。

しかし、アスリートとしての選手寿命は短い。
プロサッカー選手においては26歳が平均的な引退時期だと言われている。
若く引退する選手は心技体の心の部分で折れてしまった選手が大半であろう。

シャルケの主力選手としてチャンピオンズリーグでベスト4まで行った日本人は内田篤人だけである。
ウッチーは様々な感情を押し殺し犠牲にして、一定のメンタルを保ち海外でトップパフォーマンスを維持してきたのだ。

この本には代表的な選手のメンタルタイプが3つ書かれてる。

①常に高いテンションでアゲアゲなメンタルを維持していける本田圭佑、長友佑都
②真ん中あたりのテンションで常に安定している長谷部誠
③低いテンションで淡々とメンタル維持する本人の内田篤人と遠藤保仁

一般人には長谷部誠のように中庸なメンタルを維持し、感情の振り幅をなるべく小さくしていくことが現実的である。

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では、川崎フロンターレでメンタルが安定している選手を考えてみたいと思う。

①高いテンションタイプ

レアンドロ・ダミアン

→ブラジル人らしくラテン系の陽気な気質でメンタルが安定している。
プレーにおいてもDFやGKへ猛スピードでプレスをかけ、長い足でスライディングしている姿はチームを鼓舞させている。
自らボールをあげてからのバイシクルシュートを常に狙い、決めてしまうダミアン。失敗しても何のその、何回でもチャレンジするメンタルは凄いの一言。
接触プレーでは大げさなリアクションと甲高い声でアピールするが、それはブラジル人特有のマリーシアであり頭は冷静である。
プレーはいつもハイテンションMAXの選手でありながら、他のブラジル選手をまとめる心強い兄貴でもある。

②真ん中テンションタイプ

脇坂泰斗

→副キャプテンとしてチームメイトを常に気配り、マスコミにも上品な対応をみせる王子様。日常生活においてもサッカーでもスマートな対応をとっている印象がある。
プレー面においては、敵に寄せられても慌てないメンタルと圧倒的なテクニックでするりと切り抜けるターンが特徴。クールな印象受けやすいが、Line liveなど積極的にファンと交流する姿勢が高感度爆上げでステキ。
審判や敵チームに対して激しい抗議をするような場面を見たことがない。しかし、味方のゴールセレブレーションには必ず参加してチームを盛り上げるバランス感覚の持ち主。

③低いテンションタイプ

大島僚太

→4度のJリーグ優勝、2度の杯制覇においてのセレブレーションで、いつも隅っこで目立たないように佇んでいるシャイボーイ大島君。
あまり喜ぶ姿をみせてくれないが、素晴らしいミドルシュートを決めたあとの遠慮がちなガッツポーズにキュンキュンする。
現役時代のウッチーと同じように最近は筋肉系の怪我苦しみ、長いリハビリ期間を何回も乗り越えて人間的な成長を遂げている。それは今年ブレークした橘田健人に対してノートをみせながら熱心な指導をしていたというエピソードにも現れている。
個人的には現在のJリーグにおいてイニエスタに匹敵するくらいの選手だと思っている。
家長が以前「イニエスタより俺は遼太とやりたい。」と言ったとか。
実際に等々力で僚太がボールを持ち軽くボディフェイントを入れただけで時空が止まるという、ありえない瞬間を私は何度も観てきた。
この本でウッチーが言及している低いテンションで感情の振れ幅が少ない選手の現役代表が大島僚太かもしれない。

*番外編、メンタルが心配な選手

旗手怜央

→どのポジションもこなせるサッカーセンスは今後の日本サッカーを引っ張っていく逸材。
家長に触発されたかどうかはわからないが、最近のプレーにおける体幹の強さと強いキックを蹴れるフィジカル強度がJリーグレベルを超えている。
おそらく来年は海外チームへ行くことだろう。
ちなみに、なぜか小林悠の三男とそっくり。

ここからが心配な点。
先日の優勝決定で唯一泣いていた選手が旗手である。
嬉し涙はいいが、問題はその涙の頻度である。
三笘、田中碧が抜けたあとのJリーグ広島戦で引き分けた試合で悔し涙を流して以降、結構な頻度で試合後に泣いている姿をみせている。
おそらく主力で同期の2人が抜けた穴を自分が埋めてチームを勝たせるという強い責任感と感情が入りすぎているせいだろう。
試合前に旗手は気合いが入りまくって自分やチームを鼓舞している。しかし、プレーが上手くいかずチームも結果を出せなければドーンと気持ちが急降下してしまう。
ウッチーは「感情が乱高下する選手は、プレーの波も激しくなってしまう。」と言っている。
まさに優勝後の1−3で負けた鳥栖戦で旗手のプレーは低調であった。試合中に敵選手や審判にオラオラ系で文句を言っている姿を見ると一層心配になってしまう。
正直、この状態で旗手が日本代表に選ばれてしまったことに私は一抹の不安を感じている。
このベトナム、オマーン戦は負けられない戦いではなく、絶対に勝たなくてはならない試合である。
この状況で代表に呼ばれた旗手の気合いは最高潮に達していることであろう。
もしまだ慣れない左サイドバックで自らのワンプレーのミスで失点したら、彼の精神が崩壊しかねない。
もし出場機会があれば、気負わずなるべく平常心を保ちながらいつも通りのプレーをするだけの気持ちで臨んで欲しい。
できればこの「ウチダメンタル」を何度も読んで欲しいと切に願う。

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メンタルメソッドも学べ、中田英寿や岡田武史との対談など面白さもつまった「ウチダメンタル」はサッカー好きには必読書だと思う。

私のように日々の生活で感情を上下に揺さぶられ、怒りや不安、後悔に苛まれている人が多いことだろう。
そんな時に一呼吸をおいてウッチーのメンタルの捉え方を思い出すことで、感情の振れ幅を少なくできるのではないだろうか。


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