蔵を作るには?
前回につづき、「蔵」の話題です。
蔵を新築したいというお客様
昔、
「『蔵』を新築したいが、どうしたらいいか?」
と相談を受けたことがあった。
え? 蔵の改修ではなく、蔵の新築?
蔵に魅力を感じていて、新しく作りたいという話だった。結局、その話はボツになったが、「蔵ってどうやって作るんだろう?」と、今まで考えたこともない宿題を頂いた。
先輩建築士に頂いたちょっと古い専門書
以前に、先輩建築士の方が事務所を閉めるからと、古い建築本をいくつかゆずって頂いた。
その中の1冊がこの本。
当時の一般的な木造住宅の図面の描き方から、構造計算や設備設計、積算の方法まで書いてある、教科書的な標準仕様書的な本だ。
現在、新築住宅を設計しようとする時には、だいぶ仕様が変わってしまって参考にならない。
でも古い住宅を改修する時には、こんなふうに建てられていたのか、とかなり参考になる。
土壁の仕様も何種類か載っていて面白い。
蔵についての記述が
そしてなんと、その本に蔵についての記述があった。
おお、この地方による違いも気になる。誰か研究した人はいるのだろうか。
では、土壁の構造はどうなっているかというと
などなど、各仕様が書かれている。
壁厚20~30cmって、かなり厚いな。防火のためにはそれくらいいるのか······。
柱は13.5~16.5cm角の木の柱らしい。普通の住宅は、10.5~12cmだから、それに比べるとかなり頑丈。
(一般の方は、外部から見ると、土壁や石積みだけで建てられているように見えるかもしれない。が、ほとんどの土蔵は、骨組みは木で作られている。)
そして、土蔵の参考図まで載っている。
これを見れば、新築で土蔵を作ることができる!?
でも、実際はこれができる職人さん(特に左官)が、なかなか居ないだろうから、難しいんだろうな。
と思ったら、本にも書いてあった。
そりゃそうだよね。鉄筋コンクリート造だったら、手間も工期も短縮。防火上も強度上も問題なし。
でも、あのお客様が欲しかったのは、コンクリートの蔵ではないんだろうな。
ということで、まだまだ蔵の研究は続く?かも?
地方や時代によるバリエーションも気になる。また、わかったことがあれば書こうと思う。
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