見出し画像

詩を書くに至った理由

みなさんはなぜ詩を読みますか?またなぜ詩を書きますか?
詩といえば谷川俊太郎しか知らなかった私が、なぜ今詩を書いているのか。
今日はその理由について書こうと思います。

学部時代法学部に入学した私は思いました。
しくじった、と。
お堅い法律の授業には全然興味を持てなかったのです。入学すると民法から勉強を始めますが、大体最初は抵当権などについて勉強します。でも、10代の私には抵当権について全然興味を持てなかったのです。多分、周りの学生たちも興味を持っていた訳ではなかったのでしょうが、法曹を目指すという強い意思を持っている方が沢山いました。
一方で、文学部は楽しそうにフランスの詩など勉強しているではありませんか!サブの科目でフランス文学論などを取っていましたが、これがメインでできたらいいのにな、といつも思っていました。さりとて転部する勇気ももてず、フランス語の勉強にひたすら熱を入れる日々でした。

フランスに留学すると、そこには様々な専攻の留学生がいました。もちろん、フランスという国を選ぶ方達ですから、仏文科の生徒が多くいました。その中に一人、フランス詩のマラルメの研究をしていた人がいました。
私はいいなあ、と遠くから眺めているだけでした。
当時私はリヨン政治学院に留学し、フランスの歴史、政治史などについて勉強していました。バリバリのキャリア思考で、詩を勉強するなんて考えもしなかったのです。やりたいことをやれるなんて、羨ましい。私には、できない。そう思っていました。

30代になり、思いました。
やりたいことをやらなきゃ、本当に人はいつか死んじゃう、と。
でもやりたいことがすっかりわからなくなっていた私は、途方に暮れていました。

そんな時、留学時代の友人と会う機会があり、勧めてくれたことがありました。
「那美ちゃんは言葉づかいが小粋で上手だから、エッセイでも書いてみたら?」
確かに言葉遣いを褒められることは間々ありました。
でもエッセイ?私が?
エッセイを書くほどの自信は正直ありませんでした。そこまで文章を書いたことがない私は、でも折角褒めてもらったのだし、何かしたいと思いました。

そこで、詩を書いてみることにしました。
詩は短文で自分の思いを結晶化することができる。
推敲を沢山せず、自分の思いをありのままに表現することができると思ったのです。
早速詩を書き始めると、思ったよりスルスルと言葉が浮かんできました。
恥ずかしいという思いと闘いながら、ココア共和国に投稿したのを覚えています。

そして、翌月、傑作集に選ばれたとの連絡をいただきました。
今まで自分にはやりたいことはできない、無理だと思ってきたけれど、やりたいことをやって、人からも認められることってあるんだ…。
そう、心から驚きました。

詩は、私にやりたいことをやる勇気をくれました。
自分を表現することの第一歩のポータルとなってくれました。
これからも詩を書き続けたいと思いますし、
また詩に限らず自分の表現を沢山していきたい。
今はそんな勇気を持てています。

詩に感謝を込めて、今日も浮かんだ言葉を紡いでいます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?