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ワンポイントタトゥーを入れた。

Hola!
先日(といっても数カ月前)、ブエノスアイレスで太ももにワンポイントタトゥーを入れました。今日はその時の話を書きたいと思います。

そもそも私は大学生だった10年前くらいからずっとタトゥー入れたいな~と言っていました。単純にお洒落という理由が7割くらい、タトゥー(に限らず様々なメインストリームでない文化とか人と違うこととか)に拒否反応を示す日本社会が息苦しいからちょっと反抗したいみたいな気持ちが3割くらいだったと思います。
でも日本ではまだまだ偏見が強いタトゥー、知り合いで入れている人もほとんどいないので話も聞けず、
将来後悔するかな?とかめっちゃ痛いんかな?金属アレルギーあるけど大丈夫かな?MRI撮れなくなるの?とか考えて、また彫師さんもなんとなく怖いイメージがあり、踏ん切りがつかないでいました。

アルゼンチンは世界の中でもタトゥー入れてる率がかなり高い国だと思います。特に若者は、半分くらいがなにかしら入れているのではないかというほど。
そんな中、同僚や友人から体験談を聞いてタトゥーに関するあれこれも身近なものになり、またこの歳になってもまだ入れたいと思っているから将来後悔することもそうないだろうという思い、そしてアルゼンチンにいる間は公共の場でも隠さずに過ごせて良いという思いがあり、よし、入れるなら今でしょ!となりました。

デザイン

モチーフは、シカと決めていました。
私の生まれ故郷、奈良のシンボル。
プラス、子供の時から一貫して心の拠り所である「自然」をモチーフに取り入れたいと思い、角が木になっているデザインにすることにしました。
海外(南米)に1年以上の期間実際に住んで、閉鎖的で同調圧力が強く何事もきちんとしていることが求められて息苦しい日本社会と比べ南米はいい意味で適当でおおらかで良いと思うと同時に、いかに自分が故郷を愛していて日本の土地や人に愛着を持っているかということに気づかされました。
私は外国を旅してその土地の生活様式や人に触れるのが大好きですし、客観的に見て日本が一番良い国だとかも全然思いません。一方で生まれ育った土地の自然、街並み、言語、音楽、食べ物といった「大人になるまでの間に常に周りにあったもの」は自身のアイデンティティーの一部として強烈に刻み込まれており、そこ以外の土地は心から安らげる終の棲家にはなりえないのだろうなと感じます。
先日、アバター2を観にこちらの映画館に行ったとき「すずめの戸締り(西題 Suzume)」の予告が流れ、その瞬間日本の田舎町の情景になんとも言えない懐かしさが溢れて、涙が出てきました。びっくりです。
素晴らしい自然とか街並みは世界中にあれど、
あの「雨が降ったあとの湿った土と葛の葉の匂い」とか、「田植えがすんですぐの青臭い水田と傍の学校から聞こえるチャイム」とか、「住宅地でどこからか聞こえる笑点のテーマソングとどこからか漂うサンマを焼く香り」みたいなのは日本にしかない。
そしてそれがどうしようもなく恋しくなる。
因みに、大人になってから移り住んだ大都会東京にも、私は真の親近感を抱けていません。なんだかんだ、「地元愛が強い」人間なんでしょうね。
….話が少し逸れました。
ということで、故郷のシンボル「シカ」を日本で受け入れられづらい「タトゥー」として身体に彫るという行為は、「生まれ故郷大好き」&「日本社会しんどい」という自分の中の相反する気持ちの表現でもあったりします。

とかなんとか理屈つけてみたり。

写実的なデザインよりもシンボリックなのが良いなと思っていたので、顔の部分は輪郭のみ、角の一部を立体的にすることにしました。線画が生命を得て立体化する途中….みたいなのをイメージしています。

デザイン性だけならもっと他に彫りたいものもあったんですが、デザインの好みは時とともに変わるので、意味も重要視したいなと思った結果です。
因みに大学の時は見た感じの好みだけで蝶を入れたいとか言っていた記憶がありますが、今はそれにしなくてよかったなと思っています(笑)

場所・大きさ

本当は肩か足首あたりに入れたかったんですが、日本帰った時にオフィスでノースリーブとかサンダル着用できなくなるの不便なので支障が出ない太ももにすることにしました。あと温泉も好きなので、いざというときでかい絆創膏で隠せるくらいのサイズ。
隠しやすいというだけならば腰とか背中でも良かったですが、入れたもともとの動機の半分以上がタトゥー可愛いやん!なので、水着じゃなくともショーパン履いたら見える位置に決めました。
上記のとおり、入れたい気持ちが大きいけれど日本社会のあれこれを無視して生きる決意があるわけではないので、めちゃくちゃ現実的なこと考えて入れてますw

ショップへのコンタクト~当日

タトゥーショップはたくさんありますが、技術力の高低だけでなく得意とするタトゥーのデザインもそれぞれ異なるため、自分のテイストに合うショップを選ぶことが大切です。
こんなデザインのを入れたくて~と、腕と脚全面にタトゥーを入れている現地の同僚に相談したところ以下のショップを教えてくれ、インスタにアップされていた作品もとても好みだったので、ここで入れることに決めました。

自分で描いた大まかなデザインとデザインの意図等をショップにメールし、施術の日時を決めます。このショップは事前打ち合わせをメールで行ったうえでデザイン案を施術当日に彫り師さんから提示、要望に合わせて修正を加えた上で実際に彫るという流れでした。(もちろん、出てきたデザインが気に入らなければキャンセルできます。)
実際、当日出てきたデザインは思い描いていたものとけっこう違ったのでその場であーだこーだ注文を付けて変えてもらいましたが、掘り師さんは全ての要望にとても親切かつスピーディーに対応してくれました。

施術

デザインが決まり大きさと位置の調整も終わると、いよいよ施術です。
因みに担当の彫り師さんは、20代後半くらいの可愛いお姉さんでした。
プリンターから特殊な紙?に出力されたデザインを皮膚にぺたっと貼ると図柄が転写され、それに沿って彫っていきます。
太ももは痛みが少ないと聞いていたので心配していませんでしたが、実際、想像以上に全然痛くなかったです。会議中睡魔に襲われた時にシャーペンで手とか足つついてるくらいな感じ。
約6センチ四方のサイズですが、30~45分くらいで終わりました。

施術後~定着まで

施術後はワセリンを塗ってラップのようなもので施術部位を包みますが、これは帰宅後1-2時間で洗い流すよう言われます。
あとショップで言われたことは、1-2週間は泡で優しく洗って保湿することと、2週間程度日焼けを避けること。
日本のウェブサイトでは当日~数日は飲酒ダメと書いてあるものも多いですが予定があったため聞いてみたら 別に構わないよ、と言われたので当日は控えめに飲みました。(しかも翌日には事情あって浴びるほど飲んでしまったのですが、とくになにもなかったです。お勧めはしません。)
3-4日で痒みが出てきて、ポロポロと皮(かさぶた?)が取れ始めます。施術直後は細かった線が少し滲んで太く見えるようになり、徐々に肌になじんでいきます。
私は施術後数日ケアを怠っていちぶ軽い炎症を起こしてしまい、少し心配しましたが、幸いひどくなることも色飛びもなく治癒しました。
3週間~1ヵ月程度で完全に定着し、完成です。
世界でひとつだけのオリジナルタトゥー、とても気に入ってます。

施術直後の写真。今は馴染んですこし薄く・線が太くなっています。


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