お気に入りの本屋さんが閉店する

ショッピングモールの中の本屋さん。

久しぶりに行ったら、あと三日で閉店という看板が掛かっていた

割と広めで、パッと見はよくある本屋さんなんだけど、平積みにされてる本のチョイスとか、ジャンルの分け方とか、なんとなく、なんとなく私に合っていた。
少し奥の方に行くと、色んな分野の専門書があるのも面白かった。

素人の私は
「プロはこんな本を読むのだな」
と変な好奇心に駆られて毎回立ち寄っていた。

文章にすると、それほど個性がある本屋さんじゃない。

けど、なんとなく私に合っているのだ。



私の本屋さん好きは小学生の頃からだ。
週6日習い事をしていた私の唯一の休みは、日曜日。

午前中は近所の図書館に行き、自宅でお昼ご飯を食べてから、近所の本屋さんを4件ほど回るのが好きな1日の過ごし方だった。

成長しても休みの日に本屋さんに行くのは変わらなかった。

仕事で疲れてる時も、結婚して子供を産んで育児でストレスを溜めている時も、本屋さんに行くとリフレッシュできた。

旦那は、私のエネルギーが切れそうなとき、家族で本屋に行き、1人で本を見ておいで、と言って子供を見ててくれる。


でも、私は、自分自身のことを本好きではないと思っている。

なぜなら、読みたい本しか読みたくないから。

できたら、ピンときた文章しか読みたくない。

読んでみて「なんかダメ」と思ったらすぐ読むのをやめる。

本の中だけでも自由でいたいのだ。


なぜなら、私は人に嫌われるのが嫌いなのに、人と関わるのがへたくそなので、何かしたつもりがなくても嫌われることも多いからだ。

アドラーの「嫌われる勇気」も読んだし、いつかは「嫌われたっていいじゃない」と心の底から言ってみたいが、今は正直嫌われるのが嫌いだ。



だから、本の世界の中だけでも、私は自由でいたいのだ。

誰にも迷惑かけないし。

図書館でも、同じ本を50回借りることはあっても、全ての本を読むようなことはしないのだ。

私は本好きではない。


渋くてカッコイイ本好きのように

「狭くて昔からある本屋が好きなんだよね」

とは言わない。

若いとき、さんざん御茶ノ水近辺をうろついて、古本屋さんを巡ったけど、昔からある本屋さんだから好きだとは思えなかった。

広くても狭くてもいいし、新しくても古くてもいい。

私の判断基準は、平積みの本や本棚に揃ってる本の種類。

本屋さんの売上にも関わるので、話題の本や売れてる本が中心になることが多いけど、その中でもちょろっと店の個性が出る時がある。

そのちらっと見えるところで好き嫌いが決まる。

「売上なんて関係ない!店長の好きな本しか置きません!」

という本屋さんに行ったこともあるけど、それはそれでニッチ過ぎて、私には合わなかった。

話題の本もあって、売れてる本も置いてて、でも、少しだけお店の人が「この本、売れるかもしれないなー」「この本も良さそうなんだよねー」くらいのバランスで個性が出ていて、そのうえで私のフィーリングに合う本屋さんが好き。

つまり、とってもわがままなのだ。




そんな私に合う本屋さんの1つが、あと三日で閉店する。

実店舗の本屋さんが厳しいのは今に始まったことではないけど、やっぱり寂しい。

私もAmazonでよく本を買うけど、一目惚れする本と出会えるのはいつも実店舗の本屋さんだった。

今までの私の購入履歴とも、「この本を買った人はこちらも買ってます」という紹介もない。

今までの私とは関係ない本もたくさん置いてあるから、ビビっとくる本に出会えることも外れてしまうこともある。

「これも時代か」

と心でつぶやきながら、今日も「ビビッ」と来た本を3冊ほど購入して帰路に着く。

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