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20,11,16。プロレス本の話⑳

予想以上にスラスラと書き進められたプロレス本の話も今回で20回目。

今回からは総合格闘技の一大ブームの火付け役となったプライド関連の話を書こうと思います。

タイトルバックにUPした本は2冊。宝島社の証言本たぶん最新作「証言UWF×プライド」と柳澤健著「2000年の桜庭和志」です。

「UWF×プライド」のほうは正直ネタ切れ感が強く、書店で見かけて「おおっ!」となった期待通りだったかと言われると微妙です。過去のシリーズに比べると本の厚みも若干薄くなり内容の証言自体も過去本からの引用が目立ちます。ただし「はじめに」に書かれているターザン山本氏の文はプライド隆盛の原因分析として正に的を得た名文で、一時期迷走が目立った氏の久々の切れ味鋭い文章に個人的に唸らされました。

「2000年の桜庭和志」のほうは期待以上の作品でした。桜庭の活躍に的を絞った内容故、前作「1984のUWF」の様に○○に比べて○○の扱いが…な事は無く素直に氏の読み易い構成を堪能できます(若干高田が悪く書かれすぎな気はしますが関係者の証言からさほど酷く書き過ぎではないようです)。

「UWF×プライド」で書かれている通り純粋な競技の場であったかと言われると若干首をかしげざるを得ない試合も存在したプライドですが総合格闘技をお茶の間にまで浸透させ一大ムーブメントを築き上げた功績は否定できません。

もともとは高田対ヒクソンの為に作られたイベントでしたがプロレスラーの人気を燃料に回を重ね、やがて桜庭の大活躍もあってプロレス自体を凌ぐ大人気興行となりました。

高田の敗戦によって地に落ちたかのようなプロレスラーの強さというイメージでしたがUWFインター時代若手前座レスラーの一人にすぎなかった桜庭の活躍で逆にUWFインター若手選手達の総合格闘技への対応力の高さに注目が集まりました。

既にリングスKOKルールの元実力を発揮していた田村潔司や金原弘光。総合格闘技での成績自体は残せなかったもののプロレスファンの「総合でプロレスラーが戦うならこんな風に戦って欲しい」という夢を体現して見せた高山善廣。

過去の証言本を読むとUWFインターの頭脳と呼ばれた宮戸が団体を去った後、若手達の道場での練習に革命が起き、後のキングダムにおいても若手選手の総合格闘技への対応力は相当高いレベルにあったようです。

格闘技を標榜しながらも道場でのスパーリングはあくまで上位選手が決めまくるだけの旧態依然としたスタイルから若手選手同士&他団体の選手までも道場に招き入れての「強くなるためのスパーリング」へと変化していった事で若手達の実力はめきめきとレベルUPしていき、一回目のヒクソン戦の前に道場を訪れた高田がショックを受けるほどだった事も解っています。

かなり夢中になって見ていたプライド時代の話故スラスラ書けます(笑)
もうしばらく回を重ねる事が出来そうなので目に留まった方にお楽しみいただければ光栄です。


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