見出し画像

【サロン連載小説】Jewel of love.SS『天然さくら色』〜Chapter3〜


本編『Jewel of love.』 Chapter 1は、こちら


1話〜6話まで無料で配信しています。ぜひ、お試し読みを。


では、唯ちゃん視点のSS『天然さくら色』、前回の続きを更新します。


画像1


たったったっ。


急ぎ足で、マンションの階段を降りる。


せんせぇが黙りこくってるから、あたしは気まずくなってしゃべった。


「アリスさんて、えらいきれーな人ですなぁー」

「うん、すごくきれいな人だよね」

「あの目、びっくりしましたわ。宝石みたいって、あんなんやな」

「…………………………」


せんせぇがますます黙りこくったから、あたしは焦った。


ああ、せやな。せんせぇにしたら恋敵やもんな。


ほやけど、せんせぇ、あたしかってかわいそうやで。


せんせぇが電話とったりするから、映画もケーキも、全部おじゃんやんか。


「あの人、無邪気すぎる」 


唐突に、せんせぇがそう言った。


その横顔にかすかに悔しげな影をみて、あたしはますますブルーになる。


せんせぇ、まだ負けたの悔しいんやな、あの人に。


ほしたらなんも協力することないんちゃうかな?


そう思うのに、せんせぇは歩きながら首をひねってあれこれ考えとった。


「うーん、あの人の行きそうなとこ……」

「ほっといても、いいかげん帰ってきそうやけどなぁ」

「そうね、でも意地っ張りだから」


画像2


別れた恋人っていうのは、いったいどういう感じなんやろ?


恋人がいたこともないあたしには、想像もつかへんねん。


だからあたしはただトボトボと、せんせぇのすぐ後ろをついて歩く。


せんせぇがこんくらい、あたしのこと考えてくれたらええな。


いつか、いつかでええから。


なんて。


「あ……」


せんせぇが、ふいになにか思いついたように立ち止まった。


そしてなんとなく眩しげに、もうすっかり傾いた午後の太陽を見上げる。


「なんか、わかったかも……」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


さて、凛々子はいったい、どこにいるのでしょうか。

続きは、こちらです。

画像3

初登場のときの唯ちゃん。まだツインテールも短くて、子供っぽいですね(^^)


『Jewel of love.』作 南部くまこ/絵 いばらき Since 2017/5/26
※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。


サポートありがとうございます。いただいたご支援は、聖クロス女学院物語の執筆およびKDP出版の制作費とさせていただきます。(*^▽^)<ありがとうだよ!