マガジンのカバー画像

くまこのくまの庭 〜蜜の幸せを探そう〜

小説家・南部くまこの公式サポーターズサロンです。 オリジナルの百合小説や既存作品のSSのほか、執筆の舞台裏や、ゆるりとしたプライベート日記などなどを配信します。 占星術や天然石の…
¥300 / 月
運営しているクリエイター

#小説

桜散る朝に。  #百合短篇

桜散る朝に。 #百合短篇

都内はもう散り急ぐ桜。

むかし書いた桜の短編を思い出したので掲載します。

『くちびるピアニシモ』のシーナと神谷によく似たふたりのお話。

もっとみる
ゆりぜん7巻、配信スタートしました。

ゆりぜん7巻、配信スタートしました。

こんにちは、南部くまこです。

百合×薬膳カードノベル『ゆりぜん〜サロン白百合のあったか薬膳ごはん』最新話が、本日スタートしました。自宅待機応援で、一週間前倒しの更新です。

7巻は毎日がんばりすぎてイライラが止まらない、働くママさんのお話。

なぜかイライラして怒りっぽい、疲れてるのに眠れない、わけもなく涙が出る……そんな人は肝気鬱血なのかもしれませんよ?

白百合先生がお悩みを解決します!

もっとみる
[新型コロナ対策]食料備蓄、わたしの場合。

[新型コロナ対策]食料備蓄、わたしの場合。

こんにちは。南部くまこです。

新型コロナウイルスCOVID-19が、だいぶたいへんなことになってきました。

万が一感染したら、たとえ無症状でも14日間(2週間)は自宅待機が求められます。そして自分が感染しなくても、たとえばオフィスの同じフロアに感染者が見つかれば、いきなりその日から自宅待機を求められるということもあるのではないでしょうか。

というわけで、最低でも14日間(2週間)の食料備蓄

もっとみる
[SS最終話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

[SS最終話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]



満開の桜の花の夢を見た。

春の陽射し。視界いっぱいの薄いピンク色。

きっと優花さんは桜が好きだと思う。

夢の中で優花さんは笑ってた。

あたしも笑っていた。

優花さんは缶チューハイを、あたしは桜の花びらが浮かんだあったかいお茶を飲みながら、二人は満開の桜を見上げて笑っていた。

幸福な画像がふいに歪んで、あたしはあわてて目をこらす。

まだ消えてしまわないで。

せめて、夢のなかだけで

もっとみる
[SS第5話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

[SS第5話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

「絶対やってるよ、あの二人」

レイナは断言した。

放課後に久しぶりに遊びに来たレイナの部屋。

あたしは正直言ってへこんでいた。

「あの人、嘘つくと鼻の上に皺が寄るの。だから、すぐわかる」

「……思い込みはよくないよ」

「何もないよって言った時、思いっきり皺、よってた」

「……信じようよ、レイナ」

優花さんと先輩は、先輩が回してる二丁目のクラブで知り合ったってことだった。

……それ

もっとみる
[SS第4話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

[SS第4話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

週末、レイナから「ごはん食べよー」と電話が入った。

やたら、ご機嫌な声。

どうやらカノジョさんと一緒にいるらしい。

レイナのカノジョはうちの学校の先輩で、いまはセミプロのミュージシャン……っていうんだろうか。ちょっとしたハコでライブをしたり、二丁目のクラブでDJなんかもやっていて、地元ではわりと人気があった。

気さくな人だけど、正直いって、あたしにはかなりチャラく見える先輩だ。

音楽性と

もっとみる
[SS第3話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

[SS第3話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

「22でしょ? そりゃ前のヒトくらいいるよ」

レイナが呆れた声を出した。

あれから不眠症気味のあたし。

トボトボ歩くあたしの手を引いてくれるレイナ。

いつもいつもすいませんねぇ……

「今日は病院の日?」

「うん」

「じゃあね。また入院しないでよ」

「おー……」

自信ない。

いつか優花さんにジュースをおごってもらった外来のソファに腰かけて、名前を呼ばれるのを待ちながら、あたしはた

もっとみる
[SS第2話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

[SS第2話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

彼女の部屋にはプレステがない。

土曜の昼なんて、テレビもロクなのやってない。

本とか好きに読んでいいよと言われても、看護の専門書か、ぜんぜん趣味の違うファッション誌、それかあたしが苦手な恋愛小説ばっかで、いまいち手を伸ばす気になれず困ってしまった。

約束の時間が過ぎても、優花さんは帰ってこない。

鍵は置いてってくれたし、自由に出かけていいんだけど、あたしはなんだか部屋から動けなくて閉じこめ

もっとみる
[SS第1話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

[SS第1話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]

「まさか、みなみがあのヒトとつきあうなんてねー」

「あのヒトとか言わないでよ。ちゃんと優花さんって名前があるんだから」

「はいはい。ナースの優花ちゃんでしょ。なんか、やーらしー」

「なんでよ!」

学校からの帰り道。

レイナは、飽きもせずに何度でもあたしを冷やかす。

仕方ない。あたしはさんざんレイナを追いかけてたんだから。

あんなにぐちゃぐちゃしてた気持ちが、すうっと溶けたことに自分で

もっとみる
[第12話] 百合ナース! 〜かわいいあの子〜 [サロン連載]

[第12話] 百合ナース! 〜かわいいあの子〜 [サロン連載]

まったく高見沢先生の能天気ぶりには呆れちゃうけど、おかげで落ち込んだ気持ちが上向きになったのは事実。

なんだかんだ言ってかまってくれるのが、あの人流のやさしさなのかもしれない。

夜勤明けの朝の空気に、吐く息が白い。

不規則なシフトにも慣れてきた。

もう一年以上、恋人がいないことにも。

「ふふっ」

うつむいてマフラーに顔を埋める。

18年間ずっと恋人がいなくて当たり前だったのに、一度恋

もっとみる
[第11話] 百合ナース! 〜かわいいあの子〜 [サロン連載]

[第11話] 百合ナース! 〜かわいいあの子〜 [サロン連載]

「見ーたーでーーーーーー」

ナースセンターに戻ってじゃぶじゃぶ顔を洗っていると、背後から、いじわる~な声が聞こえてきた。

「高見沢先生、今日宿直だったんですか」

「わっ、キッチンペーパーで顔とかふかんといて。イメージ、くずれるわぁ」

「ほっといてください」

優花ちゃん、かわいかったのになーとかなんとかブツブツ言う高見沢先生に、ツーンとして見せる。

別に怒ってるわけじゃないけど、ちょっと

もっとみる