見出し画像

店員に、閉店の寂しさの共感を求めたくなる現象について

みきてぃ総合研究所に「店員に、閉店の寂しさの共感を求めたくなる現象」検討会が発足しました。

ほぼ毎日カフェに行く私。
2021年に東京に戻ってから、徒歩圏内にあるブルーボトルコーヒー→星乃珈琲店→コメダ珈琲店→猿田彦珈琲店を転々としている。
贅沢な浮気性だと言われるけれど、飽きっぽいので仕方ない。数日前に見つけたのがこちらの珈琲館。

「良いカフェを見つけた」と思っていたら、店内の貼り紙によると、5月末で閉店するらしい。まだ数回しか来ていないのに…。

隣の席の初老の男性が、モーニングセットを運んできたアルバイトの男の子に、「残念だなあ。ドトールは混んでるし、あっちは高いし。ここ、気に入ってたのに」と話しかけている。

バイトの男の子の反応は薄く、聞き流している。「ボクは、この店に特に思い入れがナイので」ということか。

この珈琲館との関係は浅い私だけれど、見つけて数日で「閉店」と聞いて、軽いショックを受けている。

たとえば、これから仲良くなれると思っていた同じクラスの女の子が、「もうすぐ転校するの」と言い出したときぐらい。
あるいは、運命の出会いかと思った男性に、婚約者がいるとわかったときぐらい(妄想です)。

というのは、さすがに大袈裟すぎるし、私はまた別のカフェに行くのみですが、それでもやはり寂しい。

そういえば、閉店の寂しさというのは、コロナ禍のニューヨークでも散々経験した。

マンハッタンの35ストリート辺りに住んでいたとき、近所に時々のぞくブティックがあった。
コロナ禍で街の様子がおかしくなり出した頃、店員さんとワイワイ言いながらオススメの洋服を数点選んだ。
そして、店員さんが、レジでお会計をしながら「We are closing!(もうすぐ閉店するから)」と言ったときのショック。ショップ店員が天職、みたいな彼女に「これからどうするの?」と聞いたら、「I don’t know!」って笑ってたっけ。

こんな感じで、「We are closing.」という言葉を何度、見聞きしたことか。
そしてまた、「閉店」かあ。

隣では、初老男性が、水を足しに来たバイトの男の子に、再び、「残念だなあ」と語りかける。男の子から共感を示す態度はなく、水だけ入れて静かに去って行く。見事なスルー力で、残された初老男性は、ただの独り言おじいさんになっている。

私の斜め前の席に座っているのは、20代らしき女性。慣れた様子でモーニングセットを注文し、ポーカーフェイス。常連に見えるけれど、「閉店のことを知っているのだろうか?」などと考えてしまう。

私はお会計の際に、衝動的にアルバイトの女の子に、「閉店なんですね」と言いそうになり、その言葉を飲み込む。「閉店します」の貼り紙があるのだから、「閉店なんですね」なんて、確認する必要もない。
じゃあ、なに?今の衝動なに?

そして、「こういうことを言いたくなるのが、おばさん、おじさん以上である証(あかし)なんだ」と思う。

これにて、みきてぃ総合研究所「「店員に、閉店の寂しさの共感を求めたくなる大人現象」検討会を終了します。

✏️本業はマジメにインタビュア&ライターしています。



最後までお読みいただき、ありがとうございます✨💕