司法試験 短答 合格率の推移

R3年司法試験を受験された方、本当にお疲れさまでした。

短答合格発表までもう少しですが、予備校等の解答速報で自己採点をされた方も多いのではないでしょうか。

自己採点で足きりをクリアし、合格点ボーダーも余裕をもって超えていた方はまず一安心といったところでしょう。

もっとも、足きりはクリアしたものの合格点ボーダー前後に位置する方は気が気でないかと思います。

例年合格点ボーダーはどのあたりで、合格率はどのくらいか、という質問をいただきましたので、短答合格点・合格率・足きり合格率、全体平均点・合格者平均点の推移をまとめたものを作成しました。

ソースは法務省・司法試験の結果・短答式試験の資料です。集計は175点満点となったH27以降で行っています。

足きり合格率の推移

画像1

短答試験には①足きり合格と②短答合格の2段階があります。

①足きりは各科目の40%となっており、40%を下回る科目が1科目でもあれば不合格になります。短答不合格になると論文の採点すらしてもらえません。

各科目の満点が民法75点・憲法50点・刑法50点ですので、
各科目の足きり40%は、民法30点・憲法20点・刑法20点です。

毎年受験生の10%ほどが足きりになっているようです。
R2は非常に短答が難しくなった年(特に民法)ですので、足きりにひっかかってしまった受験生が多く出たようです。

②短答合格は、足きりのように科目ごとでも毎年一定の基準があるわけでもなく、3科目合計(175点満点)の合格点が毎年発表されます。
後述しますが、近年の合格点は、H27,28が114点、H29~R1が108点、難化したR2は93点でした。

短答合格率の推移

画像3

合格率は年々上昇しています。

合格者数の枠縮減よりも受験者数の減少スピードが速いので、自然と合格率が上昇しているといえます。

R2の受験予定者数が4100人だったのに対し、R3の受験予定者数は3733人となっています。ここからさらに採点対象者は1割ほど減ることが予想されますから、令和3年の採点対象者は3200人程になるでしょう。

そのため、順当に行けば今年も合格率は上昇し、78~80%程になると思います。
一部考察では論文合格競争率が2倍を下回らないように短答合格水準を決定しているとの話もあります。この考察によれば、今年の合格者数を縮減しても1400人程度確保するのであれば、短答合格率は85%を上回るのではないかとのことです。

合格点・全体平均点・合格者平均点の推移

画像4

R2は短答式試験が非常に難化したということもあり、全体平均点・合格者平均点ともに前年度より10点程低下しました。

もっとも、合格点は前年度より15点も低下しています。
R2は足きり不合格者が多く出たので、合格点を大きく引き下げることによって、短答合格率の確保を図ったものと思われます。

令和3年 短答試験

以上を踏まえると、まず令和3年の短答式試験の合格率は上昇するものと思われます。

全体の難易度は去年ほどではないと聞いていますので、去年よりも合格点は上昇するでしょうが、例年の110点前後を上回ることはないでしょう。

予備校の出している全体平均点が高いとの話も聞きましたが、予備校の自己採点を利用している方は皆短答に自信があるか、ボーダー付近で不安を抱えている人たちだけです。足きりを覚悟した人や、ボーダーは超えていないと確信した人は自己採点しないことが多いでしょう。そのため、サンプルに偏りがあると思ってください。正確な全体平均点は必ず下方修正されます。

短答式試験合格発表まで不安はあるでしょうあが、あとは天命に任せて、今は気分転換になること、将来を見据えて勉強しておきたいこと、進めておきたい活動などをやっておきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?