今さら、思考の整理学を読みました

ある有名な本、しかしタイトルしか知らないような本を、今さら読んでみるということは、とても大事だと思います。
今さら、という周りの目を気にするような態度をそれこそ今さら実践するというよりは、今さらと何の根拠もなく揶揄してくる人たちに対して、so what?と投げかけてみましょう。
根拠が欲しいのであって、攻撃が欲しいのではないのです。
そして、今さら、という文言を口にする人は、今何をしているのかを見てみましょう。今さらを認めない態度では到底受容できないようなあらゆることを行っているはずです。ある一つのいまさらという評価で、全体をぶった切るということはやめにした方が良さそうです。
むしろ、今さらと思われるようなことを今さらやってみることの重要性ということもあるかもしれません。
例えば、今コロナの影響かどうかわかりませんが、今さら芸人がyoutuberになっていることが散見されます。今さらかよ、というよりも、その今さら何をどうやっているか、見てあげてもいいかもしれません。
批判は言葉によってなされますが、言葉に頼り切ると、批判の力は弱まってしまいます。他者とどうかかわるかということは、言葉をどのように他者に投げかけるか、ということでもあります。
前置きが長くなってしまいました。

読むのは三回目で、一度目は面白くていっきに読んで、唸っていた気がします。
二度目は、メモをとって、噛みしめるように。
そして今回、三度目はまだ読んでいる途中です。

ご存知のお方も多いでしょうが、『思考の整理学』は表紙が小難しそうな感じです。何より著者の外山滋比古というのも難しそうな漢字が使われています。

この本は、とてもいいことばかり書いている割に読みやすいです。多分一度読んだだけでは、一気に読んで達成感に包まれて終わります。多くの読書の場合それでいいと思います。

しかし、この本のすごいところは、忘却をおすすめしていることです。
なんでもかんでも覚えてしまうことは、そのこと自体の困難さもさることながら、アイディアや何かしらのひらめき、というものは、自分から切り離して、つまり何かしらに書き込んで、寝かせて忘れて発酵させて、ある日読み返してみると、旨みやらえぐみやらが混然一体となって、とてもいいですよ、ということです。

ハウツー本では、記憶する方法は学ぶことができるのかもしれませんが、その流れに反抗するような内容でとてもクールですね。

知識というものをそのままため込むよりは、排出してしまったり、知識自体を有機的につなげてから排出してしまったり、とかく排出を勧めている本です。
こうやって文章を書くということに対しても、何かまとまってから書く、ということではなく、とにかく書いてみるのである、とおっしゃっています。
なので、それを真似てみて書き始めてみたのですが、途中で冒頭の『今さら』についての考えがひとりでにでてきました。単なるブックレビューのつもりだったのですが、なかなかどうして、いい効果を得ました。
もちろん書いた後に、見直して、読み直して、修正しないといけないのですが、まぁこれはメモみたいなものなので、しばらく寝かせて、『そのうち』まとめなおします。

直接的には身体がどうのこうのと書かれていませんが、著者の思考というよりは、身体の試行錯誤の軌跡が蠢いているので、なんだか体を動かしたくなる本です。コロナやなんやらで、ステイホームしている皆さん、体を使って頭を整理してみませんか。

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