温泉旅行くらい行きたい
すっかり春ですね。4月会議のご報告です。
4月会議では、来月の会議(総会)はみんなで温泉旅行に繰り出そう!という話が議題に上がりました。
いかにも暢気な議題なのですが、その中で、組合からいくらかお金を出そうということになり、じゃあいくらまでならOKかという話になりました。
我々には現在、開業時に比べれば比較的潤沢な資金がありますが、しかし大きな余裕があるわけではないのが実情です。
どれほど旅行にお金を使って良いものか。少しの沈黙の後、ある組合員から「我々は一年頑張りましたよ!あまりお金を溜め込んでいてもダメですよ。使わなくちゃ!」という発言がありました。他の組合員も特に異論なく、「じゃあ1人あたり1万円くらいなら良いか」と落ち着きました。
やった、温泉だ!と嬉しい気持ちの一方、組合に最近参加したばかりの私からは「かなりすんなり決まったな」と不思議にも見えました。開業期の小さい経営体の、しかも利益に直接的に関係ない12万円というのはまあまあの額だという感覚があったのです。
僅かばかりの金を温泉旅行に使って良いのだろうか…?
前月の記事では「ゆるく楽しく働く」と「儲けて厳しく働く」のどちらを選ぶべきかという話題を取り上げました。ハードに事業拡大することがこの組合の目的なのか?という話でした。
今回の旅行についての決定は「ゆるく楽しく働く」という組合の性格が色濃く出た結果のように思います。
たとえば開業期のベンチャー企業でもこのような社員旅行があったりしますが、それは、社員同士の関係性を深めて業務上のコミュニケーションの改善を図るとか、あくまで利益追求の一途として位置づけられます。
一方で今回の我々はそれとはちょっと違い、「温泉旅行に金使えないようじゃちょっとやってる意味ねえよな」という雰囲気での決定でした。
事業を大きくしたいのなら、広告費、施設設備費、大きいテナントに移るための貯蓄などお金の使途はいくらでもあります。しかし我々は「温泉くらい行きたいやろう」というノリみたいなもので決めました。
これが正しい選択なのかは正直言ってわかりません。ロジックで切り詰めようと思えばいくらでも切り詰められる隙間だらけの決定です。
しかしこの隙間こそが、協同組合の醍醐味ではないでしょうか。利益追求のロジックと距離をおくことで、隙間のようなものが生まれ、メンバーはその中での選択を迫られる。
これが協同組合の特色の一つであり、旅行なり経営なり、組合員が色々と物事を決めてみる面倒臭さが協同組合をやってみる醍醐味です。
こういう意思決定は複雑で難しく、ややもするとなにも物事が進まなかったりしますし、だめなだけでは組織が普通に潰れます。ですがその難しさを乗り越えて、ちゃんと食える、そういう組合が増えていけば、面白い動きが社会に生まれるのではないでしょうか。
「大人になるにつれて、楽しいときは短くなるのだろうか」という井上陽水の諦めムードな問いに対しては、断固抵抗のため、組合で色々と検証していくぞというポーズです。
まあひとまず温泉いってきます!
文責:原
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