こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち/渡辺一史
一言でいうなら、すごい、としか言いようのない本でした。
副題のごとく、筋ジストロフィー患者とその生活に関わるボランティアたちのノンフィクションです。でも、巻末の解説(山田太一)にあるように、「よくある本ではない」。
そもそも中心に据えて語られる鹿野氏が世間的な患者のお手本のような人ではなく、しばしば「わがまま」と表現され、気に入らない(?)ボランティアには「帰れ!」などと罵声を飛ばすような人です。なのに、なぜか少なくない人が惹きつけられる、という。
それは鹿野氏がもともと持