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(小論文練習)

数学や芸術分野など、特定の分野で特別な才能を持って生まれた子どもをギフテッドという。先月、文部科学省の有識者会議が提言をまとめ、このような児童に対する支援策が2023年度から本格化するようだ。

ギフテッドに対する支援は、対象児童を分けて指導する「取り出し型」と、他の子どもと一緒に学ぶ「インクルーシブ型」に大まかに分類できる。今回の有識者提言は「インクルーシブ型」に近い考えであるが、それで正しいのか、考えてみたい。

確かに「インクルーシブ型」にも問題はある。他の子どもと一緒に学びながら、特別な才能を持った子どもをサポートするのは、現場の先生にも負担が増える。一斉教育に慣れている日本の子どもたちの間では、特別扱いする子どもがいることに対する違和感も出てくるだろう。しかし、それでもなお「インクルーシブ型」での教育が、日本のギフテッド支援には適していると考える。

理由は1つ。ギフテッドに対する支援もさながら、日本の教育全体を「インクルーシブ型」に変えていくべきだからだ。ギフテッドとは別に、特別支援を必要とする子どもの数も増えている。そういった子どもたちがそれぞれ「取り出し型」として別教室で学ぶようなことになれば、クラスは画一化し、多様性は失われる。支援が必要な子には別に先生が、必要ない子は自分である程度勉強を進めることができるような環境を用意し、全体での活動は「話し合い」や「実験」など、実際に子ども主体で学びを進めていけるようなプログラムになれば、多様な子どもたちが一緒に学ぶこともできる。子どもにはそれぞれ皆特別な才能がある。それをお互いが認めた上で、一緒に学ぶ楽しさを感じることこそが、学校教育で最も必要なことではないだろうか。

以上より、今回の有識者提言の「インクルーシブ型」に近いギフテッド支援は、正しいものだと考える。



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