【140字小説】動脈と紫陽花

二人だけの文芸部室で見せてくれたミステリ小説のトリックは私達しか知らない。
原本は既に処分したから、もう誰もそれを知ることはない。
トリックを考えるのは得意なんだから、浮気くらい上手に隠してくれればよかったのに。
彼の頭から流れる血が、贈った紫陽花の色に似ていた。

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