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金で苦痛を買ったから

私はどちらかというと、演劇の舞台を観ることが嫌いだ。大げさで、嘘っぽくて、クオリティの低いイメージがあるからだ。

2年前まで役者を志していた私は、今でも演技のレッスンに通っている。演じたいから、というよりは、自分の心のリハビリのためだ。
そこで出会った人たちの舞台は、誘いがあれば観に行くことにしている。
この1週間で、お芝居を二つ観た。
一つはブラックホールに吸い込まれるくらい、惹きつけられた。
もう一つは、早く帰りたくてたまらなくなるほど、つまらなかった。
お金払って何で苦痛感じてんだよ
腹が立ったので、面白い舞台とつまらない舞台の差を、考えてみた。
主な違いは、2つ。

①観客にリアクション・参加の自由があるか

観客に喜怒哀楽、どう反応するかの自由が与えられているか。
演じている役者からの、
【ここ、面白いシーンですよっ】
【涙なしには、観られないでしょ!】
などの、笑えよ・泣けよの圧は、観ているこちらには、かなりシンドい。
こちらの静かさに焦り、
さらに空回りしていく様を観ると、
(ぎゃー!勘弁してくれー!)
と、いたたまれなくなるのだ…。

夢中にさせてくれるお芝居は、そういう圧がゼロ。
こちらが笑っていようが、泣いていようが、
無反応だろうが、演じている彼らは動じない。
そして、私たちがどっと笑った時には、その反応をとって、臨機応変にその笑いを膨らませてくれる。
空気を共有する仲間として、瞬時に受け入れてくれるのだ。

②想定外、予想以上の提供があるか

ベタベタな演技、決まりきった台詞回し、
段取り丸出しの動き方。
お約束通りに話し動く姿を、興味津々に見続けられる人はいない。
予想外の、意外な展開や反応を見て初めて、
(おっ?次は何が起こるんだ?)
と、前のめりで集中しだすのだ。

映画は、舞台より多くの人に見られている。
それは、生身の人間のいる舞台より、
映画の方がリアクションのプレッシャーから自由でいられるからだと思う。
視覚的にも、映像の方がバリエーションが豊富で、意外性が創りやすい。

私は、映画が好き。
でも、リアリティの質のうんと高い、
生身のお芝居観るとき、
私は観客ではなく、目撃者になる。
目撃すると、価値観を揺さぶられ、
自分の人生を、もっとリアルに生きたくなってくるんだ。

★おまけ★
上記の、本当に面白かったのは、
ウソのホント』という舞台です。
風俗ビルの人間模様を描かれています。9/30(日)まで東京の下北沢でやってるので、
もし興味をもたれたら、観てみてください(^^)

宣伝の報酬とかもちろんもらってませんし
まわしものでもありません。

ただ、面白いものは共有したい。






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